災害時における障害者らの支援体制について話し合うシンポジウム「災害と障害者支援」が2日、神戸市中央区の市勤労会館で開かれた。災害時要援護者に対する仙台市や宮城県石巻市など東日本大震災の被災地の取り組みや法令の整備状況などを報告した。
仙台市で発達障害者の自助活動などを支援している「発達支援ひろがりネット」の中嶋廉代表は、東日本大震災で自宅に一人でいた自閉症の長男(15)が近隣住民に支援されて無事だった事例を報告。中嶋さんらは震災前から中学校区単位で防災計画を作成し、住民の9割以上が参加した安否確認訓練を通して障害者ら災害時要援護者の支援に備えていたといい、「普段から地域で連携することが特別なニーズを持つ人の避難支援を担う基礎になる」と話した。
また、石巻市福祉総務課の久保智光課長と高橋幸主査は、津波被害を伴う地震において要援護者支援の課題を提示。同市では02年の台風被害をきっかけに市内の要援護者の把握調査を実施したり、支援マニュアルを作成していたが、震災では要援護者を支援する立場の民生委員ら自身も避難が困難な状況で安否確認なども十分に行えなかったという。
その結果、要援護者名簿に登録されていた7241人のうち300人以上が犠牲になり、安否確認を行おうとした民生委員7人も死亡した。久保課長は「要援護者ごとの事情に応じた支援プランを作ることが必要。そのためには地域で助け合うことがカギになる」と指摘した。
さらに、神戸大の大西一嘉准教授(防災福祉)は要援護者名簿を福祉団体などに開示できるようになる4月施行予定の改正災害対策基本法を受け、神戸市で条例化が進んでいる状況を報告。大西准教授は「神戸市の条例案は名簿を地域で共有することを盛り込むなど画期的だが、中身が伴わないと意味がない。行政が後押しして地域の中心となる人材の育成など支援体制を構築すべきだ」と話した。
毎日新聞 2013年02月03日 〔神戸版〕
仙台市で発達障害者の自助活動などを支援している「発達支援ひろがりネット」の中嶋廉代表は、東日本大震災で自宅に一人でいた自閉症の長男(15)が近隣住民に支援されて無事だった事例を報告。中嶋さんらは震災前から中学校区単位で防災計画を作成し、住民の9割以上が参加した安否確認訓練を通して障害者ら災害時要援護者の支援に備えていたといい、「普段から地域で連携することが特別なニーズを持つ人の避難支援を担う基礎になる」と話した。
また、石巻市福祉総務課の久保智光課長と高橋幸主査は、津波被害を伴う地震において要援護者支援の課題を提示。同市では02年の台風被害をきっかけに市内の要援護者の把握調査を実施したり、支援マニュアルを作成していたが、震災では要援護者を支援する立場の民生委員ら自身も避難が困難な状況で安否確認なども十分に行えなかったという。
その結果、要援護者名簿に登録されていた7241人のうち300人以上が犠牲になり、安否確認を行おうとした民生委員7人も死亡した。久保課長は「要援護者ごとの事情に応じた支援プランを作ることが必要。そのためには地域で助け合うことがカギになる」と指摘した。
さらに、神戸大の大西一嘉准教授(防災福祉)は要援護者名簿を福祉団体などに開示できるようになる4月施行予定の改正災害対策基本法を受け、神戸市で条例化が進んでいる状況を報告。大西准教授は「神戸市の条例案は名簿を地域で共有することを盛り込むなど画期的だが、中身が伴わないと意味がない。行政が後押しして地域の中心となる人材の育成など支援体制を構築すべきだ」と話した。
毎日新聞 2013年02月03日 〔神戸版〕