長崎市のグループホームで入所者ら4人が死亡した火災を受け、富山市消防局は高齢者や障害者が入所する社会福祉施設を対象に、防火設備を点検する特別査察を12日から始めました。
「長崎市でのグループホーム火災を受けて県内でもグループホームなどの施設への特別査察が始まっています」
この特別査察は、自力で避難することが困難な高齢者や障害者が入所する169の施設を対象に防火体制を確認するものです。
12日は、富山消防署の担当者4人が、防火シャッターが正常に作動するかなど施設内の防火設備を点検しました。
また、施設の職員とともに通報設備が実際に稼働するかどうかや火災が起きた際の通報の手順、・利用者を避難させる方法を確認しました。
12日はこのほかに、グループホームや特別養護老人ホームなど25の施設を点検しました。
「夜間はですね、当直者が1名ないし2名ということで防火管理体制が手薄になることが考えられるので日ごろから夜間を想定した消火通報避難訓練を実施して頂きたいという風に思います」
富山市消防局は今月22日までに、169すべての施設で特別査察を行う方針です。
県内では、高岡市消防本部が今月9日から査察を実施するなど各消防は順次、点検を急ぐ方針です。
一方、厚生労働省は全国的にスプリンクラーの設置が進まない理由についてアンケートを行うことを決めました。
グループホームをめぐっては厚生労働省からスプリンクラー設置の補助金が出されています。
しかし、火事があった長崎市の施設をはじめ、設置義務がない小規模な施設では、設置していない所が多いため、アンケートで詳細を把握し、対策を講じるとしています。
また、防火扉の不備といった建築基準法違反があったことを受けて、全国の自治体に安全点検を要請する方針を示しました。
ここで、今回の火災の問題点を整理しましょう。
スタジオには取材に当たっている岸谷記者です。
そもそもグループホームとは、どんな施設なんですか?
はい。グループホームとは、認知症のお年寄りが9人以下の少人数で共同生活をする施設です。
職員が、お年寄りの食事や入浴など日常生活上の世話をし、機能訓練も行います。
建物は、住宅やアパートを改装したり、新たに建設したりとさまざまで、県内には118か所あります。
今回の火災では、防火設備の不備が問題になっていますが、県内の防火対策はどうなっていますか?
今回、不備が指摘されている主な点は、防火扉とスプリンクラーです。
まずは防火扉からみてみましょう。
今回の火災では、建物内部に火が燃え広がるのを防ぐ「防火扉」が設置されていませんでした。
建物によって基準はさまざまですが、去年9月の県の調査では、県内の118か所に違反はありませんでした。
しかし過去の火災では、防火扉の前に物を置いていて使えなかったというケースもありますよね。
県はあらためて、防火扉が正しく機能するかなどなども調査する方針です。
では、スプリンクラーの方はどうでしょうか。
スプリンクラーとは、火災の時に天井などから自動的に水を噴出する設備です。
実は、平成18年にも今回と同じ長崎県で7人が死亡した火災が起きていて、この火災をきっかけに国は消防法を改正し、延べ床面積が275平方メートル以上の施設にはスプリンクラーを設置するよう義務付けました。
富山市の場合、市内39のグループホームのうち、38の施設はスプリンクラーを整備しています。
残る1つは、義務化されていない275平方メートル未満の施設ですが、今回の火災を受けて、年度内に整備することを決めました。
今回の火災をどのように感じているのか、富山市内のグループホームを取材しました。
富山市田尻西にある「黄金の愉」は平成16年に開所したグループホームです。
1階建ておよそ700平方メートルのグループホームです。
定員9人の施設2棟にあわせて18人のお年寄りが暮らしています。
施設には、消防法で義務付ける火災警報器や消火器を設置し、平成19年の消防法改正を受けてスプリンクラーも取り付けました。
有沢悦子所長「天井の上の部分に3か所熱感知器が配置されています。下のほうの奥の部分にも6か所熱感知器が配置されています」
取り付けたスプリンクラーは合わせて100か所。
その設置費用およそ630万円は、補助金を利用したため施設の負担はわずか1万2千円で済みました。
有沢悦子所長「うちはその平方メートル数と補助金にうまく乗っかって付けることができたんですけど」「金額がかかることなのでままならないところもあるかもしれないです」
しかし、こうした防火設備をどんなに整えてもいざという時の不安は拭い切れないといいます。
お年寄り18人を、職員18人で24時間365日看ているこの施設。
夜間は職員が2人だけになります。
体の不自由なお年寄りを速やかに避難させられるかという問題です。
有沢悦子所長「さあ逃げましょうっていってどれだけの方がわかっていただけるかとか1つの動作をするにもとっても時間がかかって」「それを上手にどれだけ誘導して上げれるかとても難しい問題もあると思います」
県内は、スプリンクラーの設置や防火設備の整備は進んでいるということですか?
そうですね。県内の78か所のグループホームが加盟する県認知症グループホーム連絡協議会によりますと、ハード面の整備は進んでいますが、福祉の現場はどこも経営が厳しく人手不足です。
VTRにもあったように少ない職員で避難させるのは限界があります。
加盟するほとんどの施設は、地域住民が協力して避難する体制を整えているということです。
今回の火災を教訓に防火設備の充実を図るのはもちろんですが、人材の確保も含めて福祉の現場の総合的な改善が必要だと感じました。
北日本放送-2013 年 02 月 12 日 18:04
「長崎市でのグループホーム火災を受けて県内でもグループホームなどの施設への特別査察が始まっています」
この特別査察は、自力で避難することが困難な高齢者や障害者が入所する169の施設を対象に防火体制を確認するものです。
12日は、富山消防署の担当者4人が、防火シャッターが正常に作動するかなど施設内の防火設備を点検しました。
また、施設の職員とともに通報設備が実際に稼働するかどうかや火災が起きた際の通報の手順、・利用者を避難させる方法を確認しました。
12日はこのほかに、グループホームや特別養護老人ホームなど25の施設を点検しました。
「夜間はですね、当直者が1名ないし2名ということで防火管理体制が手薄になることが考えられるので日ごろから夜間を想定した消火通報避難訓練を実施して頂きたいという風に思います」
富山市消防局は今月22日までに、169すべての施設で特別査察を行う方針です。
県内では、高岡市消防本部が今月9日から査察を実施するなど各消防は順次、点検を急ぐ方針です。
一方、厚生労働省は全国的にスプリンクラーの設置が進まない理由についてアンケートを行うことを決めました。
グループホームをめぐっては厚生労働省からスプリンクラー設置の補助金が出されています。
しかし、火事があった長崎市の施設をはじめ、設置義務がない小規模な施設では、設置していない所が多いため、アンケートで詳細を把握し、対策を講じるとしています。
また、防火扉の不備といった建築基準法違反があったことを受けて、全国の自治体に安全点検を要請する方針を示しました。
ここで、今回の火災の問題点を整理しましょう。
スタジオには取材に当たっている岸谷記者です。
そもそもグループホームとは、どんな施設なんですか?
はい。グループホームとは、認知症のお年寄りが9人以下の少人数で共同生活をする施設です。
職員が、お年寄りの食事や入浴など日常生活上の世話をし、機能訓練も行います。
建物は、住宅やアパートを改装したり、新たに建設したりとさまざまで、県内には118か所あります。
今回の火災では、防火設備の不備が問題になっていますが、県内の防火対策はどうなっていますか?
今回、不備が指摘されている主な点は、防火扉とスプリンクラーです。
まずは防火扉からみてみましょう。
今回の火災では、建物内部に火が燃え広がるのを防ぐ「防火扉」が設置されていませんでした。
建物によって基準はさまざまですが、去年9月の県の調査では、県内の118か所に違反はありませんでした。
しかし過去の火災では、防火扉の前に物を置いていて使えなかったというケースもありますよね。
県はあらためて、防火扉が正しく機能するかなどなども調査する方針です。
では、スプリンクラーの方はどうでしょうか。
スプリンクラーとは、火災の時に天井などから自動的に水を噴出する設備です。
実は、平成18年にも今回と同じ長崎県で7人が死亡した火災が起きていて、この火災をきっかけに国は消防法を改正し、延べ床面積が275平方メートル以上の施設にはスプリンクラーを設置するよう義務付けました。
富山市の場合、市内39のグループホームのうち、38の施設はスプリンクラーを整備しています。
残る1つは、義務化されていない275平方メートル未満の施設ですが、今回の火災を受けて、年度内に整備することを決めました。
今回の火災をどのように感じているのか、富山市内のグループホームを取材しました。
富山市田尻西にある「黄金の愉」は平成16年に開所したグループホームです。
1階建ておよそ700平方メートルのグループホームです。
定員9人の施設2棟にあわせて18人のお年寄りが暮らしています。
施設には、消防法で義務付ける火災警報器や消火器を設置し、平成19年の消防法改正を受けてスプリンクラーも取り付けました。
有沢悦子所長「天井の上の部分に3か所熱感知器が配置されています。下のほうの奥の部分にも6か所熱感知器が配置されています」
取り付けたスプリンクラーは合わせて100か所。
その設置費用およそ630万円は、補助金を利用したため施設の負担はわずか1万2千円で済みました。
有沢悦子所長「うちはその平方メートル数と補助金にうまく乗っかって付けることができたんですけど」「金額がかかることなのでままならないところもあるかもしれないです」
しかし、こうした防火設備をどんなに整えてもいざという時の不安は拭い切れないといいます。
お年寄り18人を、職員18人で24時間365日看ているこの施設。
夜間は職員が2人だけになります。
体の不自由なお年寄りを速やかに避難させられるかという問題です。
有沢悦子所長「さあ逃げましょうっていってどれだけの方がわかっていただけるかとか1つの動作をするにもとっても時間がかかって」「それを上手にどれだけ誘導して上げれるかとても難しい問題もあると思います」
県内は、スプリンクラーの設置や防火設備の整備は進んでいるということですか?
そうですね。県内の78か所のグループホームが加盟する県認知症グループホーム連絡協議会によりますと、ハード面の整備は進んでいますが、福祉の現場はどこも経営が厳しく人手不足です。
VTRにもあったように少ない職員で避難させるのは限界があります。
加盟するほとんどの施設は、地域住民が協力して避難する体制を整えているということです。
今回の火災を教訓に防火設備の充実を図るのはもちろんですが、人材の確保も含めて福祉の現場の総合的な改善が必要だと感じました。
北日本放送-2013 年 02 月 12 日 18:04