北栄町瀬戸の障害者作業所「フレンズ」が、倉吉市の蔵元「中井酒造」の協力を得て、カステラを日本酒に漬け込んだ新商品「ほろ酔いかすていら」を開発した。日本酒の芳醇(ほうじゅん)な風味と香りがカステラの甘みを引き立てるといい、〈甘党〉だけでなく、日本酒好きの〈左党〉にもアピールする新商品として話題を集めそうだ。(野口英彦)
フレンズは、作業所の利用者と雇用契約を結ぶ就労継続支援事業所。労働基準法が適用され、利用者に最低賃金を保証する必要があるため、収益向上が課題となっている。県の支援などを受けて魅力のある新商品を開発し、売り上げを増やすことで利用者の報酬を増やし、社会的な自立につなげようと期待を寄せる。
現在、知的障害者と精神障害者の計8人が手焼きせんべいの製造やダイレクトメールの発送作業などを行っている。
新商品が生まれたのは、作業所代表の中井恭子さん(52)が、交流のある岡山県倉敷市の食品表示アドバイザー立原英夫さん(64)から「カステラを日本酒に漬けて食べたらおいしかった」と聞き、興味を持ったのがきっかけ。昨年8月から、協力してくれる地元の蔵元を探したり、商品開発にかかった経費の3分の2を助成する県の新商品開発支援事業の補助を受けたりして、商品開発を進めてきた。
中井さんは商品化について、中井酒造の中井丈拡(たけひろ)統括部長(34)に相談したところ、「日本酒を使った菓子は酒かすを使った酒まんじゅうなどに限られているが、洋菓子のカステラと日本酒をコラボさせる発想が面白い」と協力が得られた。
「ほろ酔いかすていら」はひとくちサイズのカステラを焼き上げた後、中井酒造の地酒「八潮(やしお)」に浸し、酒を含んだ状態で袋詰めする。しっとりした食感で、口の中で日本酒の風味が広がる。アルコール分を3・2%含んでおり、大人限定のお菓子として売り出す。
カステラを浸す日本酒は、原酒やにごり酒などを含む5種類を試し、最も風味が良かった清酒の「八潮」を使った。日本酒に漬ける時間など、試行錯誤を重ね、カステラと日本酒との味のバランスに配慮したという。商品のパッケージは、女性の関心を引くようなおしゃれなレトロ調に仕上げた。中井部長も「カステラが日本酒のうまみを十分に吸収し、食べ応えのある味に仕上がった」と話す。
2月27日には、倉吉市で新商品の発表会があり、ハムやチーズを載せたカナッペ風やチーズフォンデュなどの食べ方を提案したところ、「日本酒好きの男性にもアピールできる」「酒のつまみにもなりそうだ」と好評だった。
1箱6個入りで、4月から地元の土産物店や旅館などで600円程度で販売する予定。中井さんは「男女問わず幅広い層に親しまれる味に仕上がった。お土産や贈り物として県中部の新たな名物にして、利用者の励みにもなれば」と意気込んでいる。問い合わせはフレンズ(0858・37・5571)へ。
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新商品を手に「県中部の新たな名物にしたい」とPRする中井さん(倉吉市で)
(2013年3月5日 読売新聞)
フレンズは、作業所の利用者と雇用契約を結ぶ就労継続支援事業所。労働基準法が適用され、利用者に最低賃金を保証する必要があるため、収益向上が課題となっている。県の支援などを受けて魅力のある新商品を開発し、売り上げを増やすことで利用者の報酬を増やし、社会的な自立につなげようと期待を寄せる。
現在、知的障害者と精神障害者の計8人が手焼きせんべいの製造やダイレクトメールの発送作業などを行っている。
新商品が生まれたのは、作業所代表の中井恭子さん(52)が、交流のある岡山県倉敷市の食品表示アドバイザー立原英夫さん(64)から「カステラを日本酒に漬けて食べたらおいしかった」と聞き、興味を持ったのがきっかけ。昨年8月から、協力してくれる地元の蔵元を探したり、商品開発にかかった経費の3分の2を助成する県の新商品開発支援事業の補助を受けたりして、商品開発を進めてきた。
中井さんは商品化について、中井酒造の中井丈拡(たけひろ)統括部長(34)に相談したところ、「日本酒を使った菓子は酒かすを使った酒まんじゅうなどに限られているが、洋菓子のカステラと日本酒をコラボさせる発想が面白い」と協力が得られた。
「ほろ酔いかすていら」はひとくちサイズのカステラを焼き上げた後、中井酒造の地酒「八潮(やしお)」に浸し、酒を含んだ状態で袋詰めする。しっとりした食感で、口の中で日本酒の風味が広がる。アルコール分を3・2%含んでおり、大人限定のお菓子として売り出す。
カステラを浸す日本酒は、原酒やにごり酒などを含む5種類を試し、最も風味が良かった清酒の「八潮」を使った。日本酒に漬ける時間など、試行錯誤を重ね、カステラと日本酒との味のバランスに配慮したという。商品のパッケージは、女性の関心を引くようなおしゃれなレトロ調に仕上げた。中井部長も「カステラが日本酒のうまみを十分に吸収し、食べ応えのある味に仕上がった」と話す。
2月27日には、倉吉市で新商品の発表会があり、ハムやチーズを載せたカナッペ風やチーズフォンデュなどの食べ方を提案したところ、「日本酒好きの男性にもアピールできる」「酒のつまみにもなりそうだ」と好評だった。
1箱6個入りで、4月から地元の土産物店や旅館などで600円程度で販売する予定。中井さんは「男女問わず幅広い層に親しまれる味に仕上がった。お土産や贈り物として県中部の新たな名物にして、利用者の励みにもなれば」と意気込んでいる。問い合わせはフレンズ(0858・37・5571)へ。

新商品を手に「県中部の新たな名物にしたい」とPRする中井さん(倉吉市で)
(2013年3月5日 読売新聞)