山口県下関市の障害者支援施設で利用者に暴行を加えたとして逮捕された元男性職員について、山口地検下関支部は30日、処分保留として釈放しました。
処分保留となったのは障害者支援施設「大藤園」元職員の35歳の男性です。元職員は去年2月、施設内で知的障害者の男性に暴言を浴びせ、頭を3回平手打ちしたとして暴行容疑で逮捕されました。山口地検は、処分保留の理由について、「施設は再発防止に努めていて、利用者など関係者も期待しているのでよく見極めることとした」とコメントしています。
障害者施設で“暴行”逮捕 元職員を処分保留で釈放
長崎モデルの明暗(3)
「ろうそくのように身を焦がし、日の当たらない障害者に光を届けたい」
社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の前身に当たる福祉施設「コロニー雲仙」は、田島良昭前理事長(70)がそんな信念のもとに開設した。昭和53(1978)年、33歳のときだ。
小学生の頃から障害者福祉に関心を持ち、厚生大臣(当時)になることを夢見ていた。政治家の秘書にもなったが、政治よりも現場の方が志を遂げられると決断したという。
開設までには3年8カ月を要した。地域住民から「障害者は危ない」などと猛反対されたからだ。特別支援学級の教師を主人公にした映画の上映会を開き、「障害者は天使みたいにかわいい。犯罪者はいない」と必死に理解を求めた。
もちろん、それは建前だった。健常者と同様、障害者にも犯罪を繰り返す者はいる。当時はそんな「累犯障害者」を黙って受け入れるのが全国の福祉関係者の矜持(きょうじ)であり、口にすることはタブーだったという。
処遇が難しい障害者のそばにずっといられるよう、施設で寝泊まりし、身寄りがなければ保護者になった。現在は58人の〝父親〟だ。「愛情や奉仕といった『情』で救ってあげようと思っていた」と田島前理事長は振り返る。
「獄窓記」の衝撃
「収容者たちが抱える障害は、実に様々(さまざま)だった」。秘書給与詐取事件で1年2カ月間、獄中で過ごした元衆院議員、山本譲司氏(52)は平成15年、著書「獄窓記」(ポプラ社)で刑務所の実態を明かした。
これに衝撃を受けたのが、田島前理事長だった。累犯障害者をひそかに受け入れてきた現場感覚で、刑務所にあふれているとまでは思えなかったからだ。
試しにある刑務所に問い合わせると「障害者は一人もいない」と回答された。真偽を確かめるべく、翌16年に勉強会を発足させた。
18年に厚生労働省の科学研究費を得て本格調査を進めると、法務省が受刑者410人に知的障害の疑いがあると初めて公表した。中でも問題は、療育手帳の所持者がわずか26人(6%)という現実だった。
「94%はいわば『幽霊』。このまま社会に出れば、パスポートなしで入国するようなものだ」。事態の深刻さを理解した田島前理事長は、以後、累犯障害者を積極的に受け入れていく。「情」の福祉の真骨頂だった。
負担増加の果て
検察や弁護士らと連携する「長崎モデル」の礎はこうして築かれた。一方で「情」に溺れた結末が、県が認定した計23件の虐待行為ではなかったか。
確実に増していた職員の負担。5年ほど前から「南高愛隣会は仕事が厳しい」という風評が立ち、就職希望者が減っていた。長男の光浩理事長(40)は「若い職員は『身を焦がせ』というお父さんの言葉を理解できない。1日8時間労働の中で支援すべきだ」と苦言を呈していた。
田島前理事長は言う。 「一生懸命『情』を尽くせばだれにでも福祉はできる、という幻想がまかり通っていた。理性や知性で対応する福祉に変えることは、私にはできなかった」
新規利用者の受け入れ停止を命じた行政処分の後、施設を利用している障害者の家族らは「追い出されるのか」と不安を募らせ、福祉関係者には「南高愛隣会で受け入れられない障害者は、うちには無理だ」というあきらめが渦巻いた。
それでも、問題の責任を取る形で、田島前理事長は法人の理事と福祉施設の全役職を辞任した。
福祉にとって、本当に「情」は不必要なのか。
累犯障害者への支援について語る南高愛隣会の田島良昭前理事長=長崎県雲仙市
2015.7.1 産経ニュース
障害者の就職率87・2%、個別訓練で能力育成 所沢の「職リハ」
87・2%―。障害者の職業訓練と就職支援を専門に行う「国立職業リハビリテーションセンター(職リハ)」(所沢市)の就職率は極めて高い。1979年の開所から今年5月末現在で、修了者4849人のうち4229人が職に就いた。障害者雇用の重要性が叫ばれる中、1年間にわたるきめの細かい訓練とサポートを通じて、障害がある入所者の就職を後押ししている。
■企業ニーズに対応
職リハは厚生労働省が設置し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営。全国から障害者を受け入れている。出身地別では東京都と埼玉県で7割以上を占めるが、北海道や東北地方から来る入所者もいる。同様の施設として、岡山県に「国立吉備高原職業リハビリテーションセンター」がある。
時代の変化に応じ、企業ニーズに合った職業訓練を実施。現在は「メカトロ系」「建築系」「ビジネス情報系」「職域開発系」の4訓練系で計11訓練科・20コースを設け、年間約200人を受け入れる。
入所希望者は基礎学力検査や適性検査、面接などを経て、入所の可否が判断される。訓練は原則1年間。1時限50分で平日6~7時限、計1400時限に及ぶ。個別のカリキュラムに沿って行い、ビジネスマナーや職場をイメージした実践的な訓練も取り入れている。費用は教材費や作業着などの実費を除き、基本的にかからない。
■高い就職意欲
「事務職系の仕事を希望している。親を安心させて、自立した社会人になりたい」。昨年11月から職域開発科オフィスワークコースに通う佐藤祐太さん(25)は、再就職への意気込みを語る。
昔からコミュニケーションが苦手だったという佐藤さんは、新卒で印刷会社に入社して半年後、広汎性発達障害と診断された。半年経過を見て、主治医から社会生活上制限があると言われ、会社と相談して退職。その後、障害者職業センターの紹介を経て、職リハに入所した。
「同じ障害がある人たちと交流し、悩みを分かち合えたことで、自信を取り戻すことができた。訓練は自分のペースでコツコツと進められ、指導員にも相談しやすい。毎日がとても充実している」と笑顔を見せる。
重度の視覚障害がある泉人(いずみ・ひとし)さん(49)は、40歳を過ぎてから症状が悪化し、勤めていた自動車部品メーカーを退社した。
昨年10月から職リハに入所し、OAシステム科の視覚障害者情報アクセスコースに所属。画面の文字や数字を拡大するソフトや音声化するソフトを活用して、エクセルなどの習得に励んでいる。
「再就職に向けて学べる環境を与えていただき、本当にありがたく思う。訓練を積めば、資料の作成もできるようになる。もう一度、ものづくりの会社で働きたい」。泉さんの表情は明るい。
■進む障害者雇用
障害者の就職件数は、企業の社会的責任(CSR)や法定雇用率の引き上げ、労働力人口の減少などを背景に、増加傾向にある。埼玉労働局によると、県内のハローワークを通じた2014年度の就職件数は前年度比6・1%増の3155件に上り、5年連続で過去最高を更新した。
障害者雇用への関心が高まる中、職リハでは本年度から毎月1回(第3火曜日)、入所希望者を対象に見学説明会を実施。8月2日には、訓練体験会「職リハオープンキャンパス」も初めて開催する。
14年度の就職率は92・9%と9割を超えた。定着率が高いのも特徴で、就職後6カ月で9割以上を維持している。上市貞満所長は「就職率と定着率は、訓練を受けていないケースと比べて倍近く高い。障害のある方も企業の方も、ぜひ利用してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同センター(04・2995・1201)へ。
視覚障害者情報アクセスコースで、画面拡大ソフトを活用して数字を入力する訓練 本年度から毎月1回開催している見学説明会
2015年6月30日(火) 埼玉新聞
全国障害者スポーツ大会:きいちゃん親衛隊結成 犬に啓発用タオルで服 /和歌山
和歌山国体のマスコット「きいちゃん」にちなみ、飼い犬に国体開催の啓発用タオルで作られた服を着せて散歩して住民に国体をアピールしようと、新宮市でこのほど、「きいちゃん親衛隊」(国体お・も・て・な・し犬)が結成された。
犬を飼っている市内の瀧内将(まさる)さん(78)が、きいちゃんのモチーフが紀州犬であることに着目。「よそとは違うやり方で和歌山国体を盛り上げよう」と発案。口コミなどで市内の飼い主にアイデアが広がり、市内の飼い犬28匹が集まり実現にこぎ着けた。同市千穂の遍照院境内であった結団式には、衣装を身に着けた隊員の犬と飼い主たちが参加。きいちゃんも登場して国体ダンスなども披露された。隊長には雄のポメラニアンの「リン」(4歳)が就任。飼い主の主婦、垣本りかさんは「朝昼晩の散歩の時にPR用の服を着せます。皆さんに声を掛けてもらえたらうれしい」と話していた。
毎日新聞 2015年07月02日 地方版
<空き家を生かす!!> 住宅弱者の入居で減らす
古くなった賃貸住宅の空き室は、一戸建て住宅と同じように増える一方だ。それなのに、所得が少なく身寄りのない高齢者や障害者らは、部屋探しに四苦八苦する場合が多い。岡山市では、不動産業者や弁護士のほか、連帯保証人となるNPO法人が協力し、住宅弱者のアパート入居を進めて空き室を減らそうとしている。
岡山市北区にある七階建て賃貸マンション「サクラソウ」。五十四戸の大半に精神障害者と高齢者が住む。築二十七年の建物は岡山市の不動産会社・阪井土地開発が所有する。社長の阪井ひとみさんが、自分では住居の確保が困難な人のために六年前に購入した。
日暮れ時、一階にある談話スペースに入居者が集まってきた。ソファに座り、阪井さんが作った壁新聞を見ながら雑談し、時折笑い声も上がる。
五十代の女性は統合失調症を患う。六週間に一度、精神科に通院している。「これまでアルバイトしたことはあるけど、体調管理ができなくなるので、フルタイム勤務は難しいんです」。困った時は、「阪井のおばちゃん」を頼る。「何かあれば来てくれるから安心やわ」と表情が和らいだ。
多くの入居者が生活保護や障害年金を受けており、家賃と共益費、町費で計三万八千七百円を払う。入居者は地域に溶け込むため、町内会の清掃活動など地域行事にも積極的に参加している。
NPO法人の運営について話し合う阪井ひとみさん(右)ら
阪井さんが、精神障害者の入居支援活動を始めたのは十九年前。同社が管理していたアパートに入居していた五十代の男性が電話をかけてきた。「誰かが俺を殺そうとしている」。男性は、統合失調症やアルコール依存症のため、妄想にとらわれていた。
阪井さんは驚きながらも、男性が助けてほしいというサインを出してきたのではと思った。話し相手になったり、病院に付き添ったりするうちに、精神の病気に悩む人の多くは住まい確保が極めて難しいことを知った。
「不動産業者の店頭で断られることがほとんど。貸してくれるという部屋があっても、薄暗い北向きの部屋とか、鍵がかからないとか劣悪物件ばかり。雨漏りする部屋で我慢して暮らす人もいました」
これまでに五百人ほどの精神障害者の入居支援をしてきた。賃貸住宅の大家の多くは「精神障害者がトラブルを起こすのでは」と心配するが、阪井さんは「うちはほとんど、トラブルはありません」。医療や福祉の関係者らと、精神障害者を見守る態勢づくりに努めてきたのが功を奏した。
◆入居者を見守るネットワークも
民間アパートに入居する際、連帯保証人を立てることを要求される場合が多い。家族と縁が薄くなっている障害者や高齢者にとって、入居の壁となっている。保証人問題を解決しようと、六年前に設立されたのがNPO法人おかやま入居支援センターだ。
理事長の井上雅雄弁護士によると、NPOが連帯保証人になるには、医療ソーシャルワーカーや行政担当者らと申し込むことなどが条件。センターの支援で賃貸住宅に入居できた人は既に百人を大幅に超した。入居希望者それぞれについて、医療機関や財産管理者、不動産仲介業者などの支援ネットワークをつくって見守っている。障害者の住居確保支援を実践してきた阪井さんもNPO理事だ。
岡山県内でも賃貸住宅の空き室は多い。阪井さんは「精神障害者や高齢者らの入居を進めれば、空き室対策にもなります」と、大家を説得して回っている。入居者を見守るネットワークが大家の安心材料になっているという。
2015年7月2日 中日新聞
「摂津市障がい者就職フェア」面接会の参加企業を募集中
2013年年4月から障がい者の法定雇用率が2.0%に引き上げられ、また常時雇用している労働者数が100人以上200人以下の中小企業主も納付金の申告が必要となる「改正障害者雇用納付金制度」が2016年4月から申告開始されるなど、障がい者の就労に対して企業の社会的責任が重要視されている。
障がい者雇用拡大を後押しする催しそのような時勢をふまえ、障がい者の社会への参加と経済的な自立を支援するために、大阪府摂津市地域就労支援事業として摂津市、摂津市商工会、ハローワーク茨木、茨木・摂津障害者就業・生活支援センター、大阪府総合労働事務所、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構大阪支部の主催で「摂津市障がい者就職フェア」が開催される。
正社員だけではなく柔軟な就労条件で
参加企業は必ず雇用を、ということではなく雇用条件に合った人がいれば検討を、ということだ。正社員、契約社員、パートの採用を予定している企業で、障がい者雇用、就労への取り組みを考えている事業所はこの機会に参加してみてはいかがだろうか。ちなみに昨年度の同フェアの実績は参加者数46名、面接会応募者数58名で採用者数は8名。
日時は2015年9月9日(水)、13時~から16時(12時30分から。会場はポリテクセンター関西(摂津市役所南隣)。現在この面接会の参加企業を募集している。参加費は無料。申込期限は2015年7月24日(金)までで参加申し込みは先着順となる。なお参加にはハローワーク茨木への求人申し込みの手続きが必要となる。問い合わせ、申し込みは摂津市産業振興課まで。
2015年7月1日 障害者雇用インフォメーション
全国障害者スポーツ大会:自衛隊と協力協定 水難救助、会場の設営など /和歌山
和歌山国体・全国障害者スポーツ大会の県実行委員会(会長=仁坂吉伸知事)と陸上自衛隊第3師団(小林茂師団長、兵庫県伊丹市)は30日、競技運営に関する協力協定を結んだ。自衛隊側が水難救助などの経験や技術、装備品などを提供する。対象はカヌーや自転車、ボートなど5競技6種目。第3師団所属の3部隊延べ242人が水難救助のほか、会場の設営や撤去、無線通信網の確保などに当たる。
和歌山市内のホテルで行われた締結式には、仁坂知事と小林師団長が出席。協定書に調印した小林師団長は「自衛隊の組織力と隊員の高い任務遂行意識で競技が円滑に行われるよう協力したい」と話した。 毎日新聞 2015年07月01日 地方版「二次障がいは運命ではない」車いすの可能性
先週6月25日に、元日本テレビのニュースキャスター・記者の町亞聖 さんが主催される福祉・医療業界で活躍する皆様が集まる「在宅医療カレッジ」の勉強会に参加してきました。
テーマは「車いすシーティングの可能性」
講師は、留学中高校生の頃転落事故で下半身麻痺となり米国のリハビリそしてシーティングと出会い、日本の車いすのあり方を変えていこうとポシティブな活動をされている山崎泰広先生でした。
シーティングとは「長時間座位を続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が確保できるように、車椅子や椅子などを調整すること」。
中心メンバーである医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長である佐々木淳先生による、山崎先生の講演のまとめをご紹介します。
「シーティングの目的は2つ
1.二次障害の予防
2.残存機能の向上
まずは
1.二次障害の予防
変形、拘縮、脱臼、褥瘡、異常な筋緊張、呼吸器・消化器の異常
【姿勢保持における世界標準の考え方〕
障害者の二次障害は運命ではない。
障害があることで正しい姿勢が保持できなくなり、その悪い姿勢が二次障害を起こす。したがって、悪い姿勢を改善して、良い姿勢を保つことで、多くの二次障害が防止できる。
二次障害が生じていたら、それはこれまでとっていた悪い姿勢が原因。
【二次障害の防止のために不可欠なこと】
・正しい姿勢の確立→シーティングとポスチャーケア(姿勢管理)
・酷使しないこと→バリアフリー環境と適切な道具の活用
・早い時期に開始すること!これが一番大切
二次障害は治療よりも予防が重要。
【障害者は重力に負けてしまう】
健常者は痛みや不快感によって無意識に姿勢を変更する。
障害者はそれに気づかない、あるいは姿勢を変更できない。
長時間悪い姿勢を取ることで、変形や褥瘡などの問題が生じる。
姿勢を保つための筋肉が弱い、失われている障害者には正常な筋肉の代わりに外部からの支持が必要になる。
有害な姿勢・・・身体に害を及ぼす姿勢。
(destructive posture)
支持された姿勢・・・害を受けないように指示された姿勢
(supported posture)
姿勢を考えるときは、その人の姿勢が、有害な姿勢なのか、支持された姿勢なのかを意識する。
車いすの設定とシーティング機器によって重力の影響を受けない姿勢を取ることは可能。
健常者には問題のない姿勢が、障害者にとっては変形、脱臼、拘縮などの原因になる。健常者と同じつもりで接してはダメ。
姿勢を保つことのできない車いす使用者は、できるだけ早期にシーティングを導入する。
高齢だから、障害があるから、とあきらめることはない。」
シーティング前と後では著しく姿勢も違い、明らかに当事者が楽そうであることが一目瞭然。
ことに山崎先生の言葉の中で一番心に残ったのは、「二次障がいは運命ではない」ということ。
誕生して20代で亡くなるまで障がいがあったことから、姿勢を保つことができずに背骨が湾曲し寿命を縮めてしまった悲しい事例を曲がっていく脊髄レントゲン写真で解説紹介しながらその言葉を語られました。
著書も書いているのでぜひ、障がいをお持ちのお子さんの保護者の皆様には一度読んでいただきたい!一冊です。
シーティングにより適切な姿勢を保つことで、車いすでの生活が格段に楽になり、横になっているよりも生活のクオリティもあがって、介護者の負担も劇的に軽減するというもの。
緊張が強いお子さんがシーティングではじめて真ん前をみて座る事ができた事例は、おかあさんを21年ではじめて前から見られたという感動的なものでした。
車いすを快適な生活の場としての「道具」として使いこなす。目からウロコの「シーティング」の考え方、手法はまことに新鮮、斬新、納得。日本の自立支援、介護軽減へむけて新しい扉が開く予感がします。
翌日26日、私が今期所属します東京都の外郭団体公益法人東京都福祉保健財団評議会がありました。はからずも、この財団では福祉用具の利用に関する支援事業を展開していますことから、事業内容を確認しました。事業者・関係者を集めて最新用具・技術などの情報収集などしているとのことで、シーティングの導入の検討などを要望しました。
評議会が終わったあと担当部長にシーティングのことを尋ねたら知らなかったようで、行政側の研究も含め今後の普及が望まれます。私も及ばずながら、新しい技術として広めてまいりたいと思いました。ただし、意欲有る全国の特別支援学校の先生方からはオファーがひっきりなしとのことで、そこは福音でありました。
写真左から、小児科の訪問医療で活躍される戸谷剛先生、町亞聖学長、講師の山崎康広先生
山崎先生はポシティブシンキング、そしてアイデアマン!すっかり意気投合しました。都内最大級の肢体不自由児が学ぶ鹿本学園がある江戸川区としてはぜひ一度おいでいただきたいといころ!戸谷先生はクリニックは墨田区であることから、江戸川区の障がい児の診療もしてくださっています。
そして何より、久々の町亞聖さん。記者時代に江戸川区の待機児童問題で、江戸川ワークマム代表であったお姐のところに取材においで頂いて以来再会。お互いまだ若かった…。30代でしたねーー(遠い目)
それぞれのフィールドで走り続け、こうして再び出会えたことが本当に嬉しかったです。
昨日は、児童養護施設退所者のサポートをするNPOゆずりは代表高橋亜美さんところへ再訪、2時間じっくりと児童養護の今をヒアリングして最新情報を更新おります。
たくさん皆様に伝えたいことがあるのですが追いつきません!
(おときた駿都議を見習いたいが…なかなか^^;「)
都議会議員任期も今日で折り返し地点の2年が過ぎ三年目突入となりましたことから、今後は町に出て直接お話しをさせていただきますのでどこかで見かけたら声をかけてくださいね♪
(2015年7月1日「上田令子のお姐が行く!」より転載)
障害者を支え10周年 「焦らず一歩一歩前に」
障害のある人の生活訓練、仲間作り、相談支援など障害者支援を目的とした活動を続ける「特定非営利活動法人でっかいそら」(飯田誠理事長)=本社・瀬谷区瀬谷=が今年6月で10周年を迎えた。6月22日には市内ホテルで記念式典が開かれ、多くの関係者らがお祝いに掛け付けた。
「でっかいそら」は2005年6月29日、「障害者やその家族の選択肢を広げたい」と職員3人で設立。翌年10月、余暇活動支援事業所おひさまを瀬谷に開所した。開所時の利用登録者は4人。「でも、不思議と不安はなかった」と飯田さんは当時を振り返る。同施設は翌年4月に利用登録者が30人を超え、開所3年目には60人になった。11年に本郷に移転、現在では登録利用者125人、1日約50人の子どもたちが施設を利用している。
その後も「あきらめない・投げ出さない・くじけない」の基本理念のもと、職員一丸となり、障害者支援のための活動を続けた。放課後等デイサービス事業所や知的障害者グループホーム、生活介護事業所、地域作業所など10年間で20事業、130人の職員を抱える法人となった。
飯田さんは式典のあいさつで「この10年は土地を耕したようなもの。やっと基礎固めの時期になった」といい、「今後10年は耕した土地に、しっかりとした土台作りをしたい。焦らずゆっくり一歩一歩進んでいきます」と語った。最後に「今後も意思が言える人、言えない人にも、色々なサービスを提供していきたい。いずれは社会福祉法人を目指す」と意気込みを語った。
法人設立時から共に歩んできた施設長の森山良美さんは「さまざまな方のお力をいただいてここまでやってきました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます」と述べた。
式典で来賓として登壇した社会福祉法人誠幸会の鈴木一誠理事長=写真下=は、かつて飯田さんが高齢者福祉の仕事をしていた時の恩師。「飯田さんの法人が設立10年を迎え嬉しい。3つの信念を持ってやってきた飯田さんの智恵と能力に敬意を表します。今後もバイタリティを発揮し更に大きくなって欲しい」と語った。
式典では、神奈川日産自動車株式会社から車椅子4台が記念品として贈呈された=写真上。同社福祉車両課の本庄健明さんは「やっと恩返しができて嬉しいです」と話した。
贈られた車椅子の前で(右から)森山さん・飯田理事長・本庄さん
2015年7月2日 タウンニュース
障害者野球チーム発足 県内初、勝利目指して始動
神奈川県内初の身体障害者野球チーム「横浜ベイマックス」が6月21日、まつかぜ公園(寺前)のグラウンドで初練習を行った。選手とスタッフ含め10人以上が参加し、基本練習に汗を流した。
障害者野球は、下半身に障害があり走塁が困難な場合には打者代走ができるほか、原則バント・盗塁禁止などのルールがある。また、障害に合わせた補助具の使用も認められている。
同チームを立ち上げたのは寺前に住む古野真也さん(51)だ。2007年、福岡市で働いてきた時に交通事故に遭い、神経を損傷。左手の握力を失った。そんな時に出会ったのが、障害者野球だった。「みんなそれぞれ苦労している。障害があっても平等だと感じられた」。北九州市のチームに入団し、練習に没頭。全国で優勝経験のある強豪チームで主軸として活躍するまでになった。
昨年6月、古野さんは金沢区内に引っ越してきた。県内にチームがなかったため、東京のチームでプレーしたことも。一方で「神奈川にチームを作りたい」と友人・知人に声をかけ準備を進めてきた。「神奈川にはこれだけ人がいるんだから、まだまだやりたいという人がいるはず」と話す。監督には谷津町で薬局を営む小田兵馬さんが就任した。
横浜ベイマックスの選手は現在9人。障害者手帳を持っていないと選手登録ができないため、紹介に紹介を重ね、参加者を集めた。7月には日本身体障害者野球連盟(神戸市)に登録申請し、9月に行われる関東大会に出場する考えだ。
同チームは毎月2〜4日、土曜・日曜・祝日を利用して横浜市内のグラウンドを拠点に練習していく予定。秋の大会に向け、戦力強化を目指す。
現在、選手やスタッフを募集している。申し込み・問い合わせは【メール】yokohamabaymax@outlook.comへ。
熱心に始動する古野さん(右)
2015年7月2日 タウンニュース
障害者の女性に強制わいせつ疑い…施設責任者の男逮捕
静岡県警沼津署は1日、障害者福祉施設で20代の女性利用者の体を触ったとして強制わいせつの疑いで、施設の運営会社専務原田伸夫容疑者(45)=同県清水町徳倉=を逮捕した。原田容疑者は施設の管理責任者を務めていた。
逮捕容疑は6月2日から3日にかけ、沼津市内の施設で2度にわたり知的障害のある女性の体を触るなどした疑い。沼津署に情報提供があり、捜査していた。
施設は、知的障害や精神障害のある利用者が職業訓練する「就労継続支援A型」に指定され、約20人が利用していた。
沼津署によると「間違いありません」と容疑を認めている。同署は余罪の有無を慎重に調べている。
(共同) 2015.7.1 サンケイスポーツ
長崎モデルの明暗(4)
前科28犯と聞けば、どんな凶悪犯を思い浮かべるだろうか。
更生保護施設「雲仙・虹」(長崎県雲仙市)が平成23年に受け入れた60代の男性。刑務所を出所するたびに食料品などの万引を28回繰り返していた。「社会に出るのが怖い」という動機だったという。
男性は軽度の知的障害がある「累犯障害者」。軽微な犯罪だからこそ、1回当たりの刑期は短い。「罪ではなく人を見て、対等に向き合おう」。前田康弘施設長(59)は決意した。
更生保護施設は、法務省の機関である保護観察所から、刑務所を出た元受刑者や、保護観察付き執行猶予判決を受けた元被告の保護を委託されている。原則半年の入所期間中に自立に向けた準備をする。
雲仙・虹は全国103カ所のうち唯一、社会福祉法人が作った更生保護施設だ。運営するのは「南高愛隣会」。約20人の入所者は、退所後も51事業所の福祉サービスを受けられる利点がある。男性もそうめん工場で職を見つけ、現在は県外の福祉施設で平穏に暮らしている。
矯正教育を担う
いわば刑罰の領域に足を踏み入れた南高愛隣会の取り組みは、これにとどまらない。19年には、従来の福祉サービスになかった矯正教育を始めた。障害の特性や程度を見極め、一人一人と向き合うことは、福祉が最も得意とするところであり、矯正教育にも応用できると判断したためだ。
担当するトレーニングセンター「あいりん」の福塚進事業所長(50)は言う。「累犯障害者には、一般の人とは異なる専用のプログラムが必要だ」
教育内容は、家畜の世話を通じて命の大切さを学ぶなどする基本訓練と、犯罪防止学習や対人関係のスキルを身につける特別訓練。
何をすれば犯罪になるかを教える自作のテキストには、すべての漢字にルビを振り、視覚で理解できるようイラストを多用した。刑務所を見学させて入りたくないという意識を植え付けたり、償いに代わる奉仕活動をさせたりもする。
累犯障害者の多くは雲仙・虹に入所した直後からあいりんに通い、別の福祉施設に生活の拠点を移してからも、継続して矯正教育を受けるという。
信頼で誘惑断つ
「植木のことは君に任せるのが一番安心だね」。福塚事業所長に褒められると、軽度の知的障害がある男性は、はにかんだ。
男性は長年、植木職人として働いていたが、25年に長崎市内のショッピングモールで缶ビールや食料品を盗んだとして逮捕された。懲役10月、保護観察付き執行猶予3年の有罪判決が確定。それまでもパチンコで借金を重ねては、万引を繰り返していた。
雲仙・虹で生活した後でグループホームに移り、日中は引き続きあいりんに通っている。地鶏の飼育や犯罪防止学習に加え、敷地内の樹木の手入れを任されたことが、男性の自信になった。あるときは、マツの根を見て「もうすぐ枯れる」といい当てたという。
南高愛隣会の職員たちは、自立への第一歩は「他者との信頼関係」だと考えている。少なくとも犯罪に手を染めそうになったときに「助けて」と呼んでもらえれば、飛んでいって再犯を防げるかもしれない。
雲仙・虹の前田施設長は言う。「刑務所に入るために生まれてきた人はいない。罪を忘れず、孤立せずに生きてほしい」
男性は今夏、同県諫早市の別の施設へ移る。刑罰と福祉のはざまにこぼれ落ちた累犯障害者をすくい上げるのは、「情」の精神ならではの切れ目ない支援なのかもしれない。
全国で唯一、社会福祉法人が運営する更生保護施設「雲仙・虹」=長崎県雲仙市
2015.7.2 産経ニュース
発達障害ケア 宮城県、横断的な態勢整備へ
自閉症やアスペルガー症候群といった発達障害者への支援態勢を整えるため、宮城県は福祉関係者や市町村などによる検討組織を設立する。地域で早期に障害を発見し、適切に支援できる環境整備を目指す。9月をめどに初会合を開く。
検討組織は障害福祉サービス事業者や保護者の会、教育、労働、行政機関や学識経験者などで構成する。障害の早期発見と支援に向けた(1)各機関の連携(2)地域での支援態勢づくり(3)県発達障害者支援センター「えくぼ」(仙台市泉区)の機能強化-などを話し合う。
発達障害は、自閉症や学習障害、注意欠陥多動性障害などの総称。周囲とうまくコミュニケーションをとれないなどの困難を伴う。先天性の脳機能障害が原因とされるが、詳しく分かっていない。多くは幼児期に症状が現れるが、大人になってから医療機関で診断されることもある。
文部科学省の調査で、全国の通常学級に通う小中学生の6.5%が該当する可能性があった。早くから本人に合った支援を行うことで、発達を促したり社会に適応する力を身に付けたりできるようになる。
県内の相談窓口は「えくぼ」のほかに、児童相談所や保健所、障害者就業・生活支援センターなど。仙台市も発達相談支援センター「北部アーチル」(泉区)、「南部アーチル」(太白区)を設置している。
県は現状の課題として各機関のつながりの弱さ、地域ごとの早期発見や支援のための受け皿が不十分なことなどを挙げる。保護者や本人から相談を受ける人材の育成など「えくぼ」の支援機能の強化も求められている。
県障害福祉課は「発達障害者には幼児期から就学、就労まで切れ目のない支援が必要。関係機関の連携を強めたい」と説明する。
2015年07月03日 河北新報
障害基礎年金:都道府県で認定に差…国、平準化へ指針案
心身に障害がある人に支給される障害基礎年金を巡り、申請が認められない「不支給」の割合が都道府県間で最大6倍の差があり、厚生労働省は2日、格差是正に向けた認定指針案を厚労省の専門家検討会に提示した。検討会は案を協議して指針をまとめる。
障害基礎年金は身体▽精神▽知的▽発達−−などの障害がある成人に受給資格があり、受給者は2012年度末で約170万人。日本年金機構が委託した認定医が1〜3級に等級分けして、各都道府県の機構事務センターが年金保険料納付などの受給要件を審査。要件を満たした2級以上の人に支給される。支給額は1級が年約98万円、2級は約78万円。
機構のまとめでは、2010〜12年度3年間の支給、不支給件数の合計は年平均9万9021件。そのうち不支給件数は平均1万2339件で、不支給率は12.5%だった。ところが都道府県別の不支給率は、最多の大分県が24.4%、最少の栃木県が4.0%で、約6倍もの差があった。
厚労省によると、申請の67%を占める精神、知的障害者の不支給率が高い自治体は、全体の不支給率も高い傾向にあった。
認定医は障害に応じた基準に照らして等級分けするが、精神、知的、発達障害は明確な線引きが困難。知的障害の基準は2級が「日常生活で援助が必要」、3級が「労働が著しい制限を受ける」となっており、同程度の障害でも認定医によって判断に差が出ることが、不支給率の差につながっているとみられる。
このため厚労省は専門家検討会で障害者団体から聞き取りするなどして認定の指針を検討してきた。厚労省が提示した指針案は新たに「適切な食事ができるか」など生活に関する7項目を点数化して平均値を出し、日常生活にどれほどの援助が必要かを5段階で示した評価と合わせて認定医の判断の目安にする、などとしている。
今後、検討会が案について意見をまとめ、国民から意見を募るパブリックコメントを経て、指針を正式に決める予定。
毎日新聞 2015年07月02日
身体障害者福祉大会 「差別禁止条例制定を」
あさって多摩市民館で
川崎市身体障害者協会があさって7月5日、多摩市民館で福祉大会を開く。市内の障害者が一堂に会し、諸問題を提起して関係機関に働きかける。今大会では、障害者の差別をなくすため、川崎市として「障害者差別禁止条例」を制定するよう呼びかける。
主催する公益財団法人川崎市身体障害者協会(略称、川身協)は市内の身体障害者団体で構成される。障害者の自立を促して福祉の向上を図ることが目的。身体障害者に対する社会の理解を深め、社会参加を促進する事業に取り組んでいる。
福祉大会は、市内各地に会場を移しながら毎年7月に開催している。
今回のスローガンは「障害者が生きがいを持って、地域で普通に暮らせる共生社会を築こう!」。第1部の式典では各団体が活動の経過を報告し、行政などへの要望事項を提起する。第2部では障害児教育のあり方や家族とのかかわりを描いた映像作品「ぽっぽちゃんの目にっき」(16ミリ映画/字幕入り)を鑑賞する。
国から自治体へ
主催する川身協は今大会で「障害者差別禁止条例」の制定を呼びかける。同様の条例は06年に千葉県が全国で初めて制定し、全国の自治体で制定する動きが広がっている。
川身協によると、障害者基本法の改正や障害者差別解消法の成立、権利条約の批准といった国の法整備が進められてきた一方、差別のない社会環境づくりのためには地域に合った自治体条例づくりが必要という。「障害を理由とした差別の禁止や合理的配慮の提供は共生社会の実現に欠かせない。障害者の活動を制限している社会的障壁の除去を進め、障害のある人もない人も共に普通に暮らせる社会を築く必要がある」などと訴える。
点字や手話の訴えも
そのほか、大会では各障害者団体が▽市役所からの郵送物に点字表記をすること▽県の手話言語条例に伴い、川崎市や市民にも手話を普及させる施策の推進▽障害者スポーツ施設の早期建設▽車いす対応タクシーの普及▽災害時の要援護者のために宿泊施設を二次避難所とすること▽オストメイト利用者のストーマ装具の給付金繰り越しの見直し▽川崎市視聴覚障害者情報文化センターの指定管理費増額▽重度障害者医療費助成制度の現行制度――などを訴え、関係機関に要望するという。
会場は多摩市民館3階大会議室。午後1時30分から4時まで(午後0時30分受付)。事前申し込み不要。参加自由。定員は200人。
問い合わせは川崎市身体障害者協会(【電話】044・244・3975/川崎区大島1の8の6)。
2015年7月3日 タウンニュース
育て東京パラ五輪選手 障害の有無問わず一緒に競い走る
障害のある人もない人も一緒に練習しているユニバーサルな陸上クラブがある。北区の会社員塩家吹雪(しおやふぶき)さん(44)が代表を務めるAC・KITA(アスリートクラブ北)と子ども主体のSRC(塩家ランニングクラブ)。塩家さんはクラブから二〇二〇年東京パラリンピックの選手を輩出するのが目標で、障害がある子どもも走りやすい環境をさらに整えたい考えだ。 (松村裕子)
「もっと右、右」。六月の日曜、都内の陸上競技場に、塩家さんの大きな声が響いた。SRCの練習に参加した視覚障害のある男児は、小学生の男女八人に交じり、伴走者なしでも、塩谷さんらの声を頼りに元気にコースを走った。
「みんなと一緒に走りタイムを競い合えるのが楽しい」と、筑波大付属視覚特別支援学校(文京区)六年室津侑大(むろつゆうた)君(11)。SRCには友達から目が見えなくても入れると聞いて加わった。目標は二〇年東京パラリンピック。八月にある健常者の大会には伴走者とともに出場する。「まずは百メートルで20秒を切って自己ベストを更新したい」
二十歳でAC・KITAをつくった塩家さんが障害者を指導し始めたのは二〇〇〇年。「速いな、うちのクラブに入らないか」と勧誘したのが弱視の男性だったことがきっかけになった。その後、視覚障害者の伴走者も務めた。障害者も受け入れていると口コミで広がり、義足や義手、脳性まひ、知的障害などの障害者が続々加入。十~三十代が中心で、土日や仕事後に練習している。
昨年の仁川アジアパラリンピックでは金メダリストも出した。目の見えない子どもを教えてほしいと頼まれ、三年前にはSRCもつくった。都内と千葉県で教える両クラブの部員約七十人中、ほぼ半分が障害者。
「マイナス二百点」。週数回、都内の陸上競技場で行うAC・KITAの練習では、塩家さんは厳しくもユーモアあふれる大声で知的障害者を指導する。「障害者だからといって、全く気を使っていない。何とか速くしたいだけ」
障害者の大会は年に四回しかなく、競技力向上のため、健常者の大会に障害者が出場できるよう大会主催者との交渉に当たってきた。今では、少なくとも都内の大会では、視覚障害者と伴走者のために二レーン用意してくれ、手足が不自由でクラウチングスタートができない脳性まひの人も健常者と一緒に出場できるようになった。
「スポーツの世界はどんな状況でも差別されない」と信じる塩家さん。いずれはクラブ運営に専従する希望をもつ。スポンサーを探し行政の助成を受け、ほかの人とぶつからないよう練習場所を貸し切ることも考える。「走ることが生きること」という塩家さんは、ハンディキャップに関係なく陸上競技を楽しめる場づくりを一歩一歩進める。
練習の合間に義足の選手と交流するSRCの子どもたちと塩家さん(中)
2015年7月3日 東京新聞
熊本)やり投げ障害者記録の稲岡さん、高校野球始球式に
第97回全国高校野球選手権熊本大会の5日の開幕試合で「夢舞台」に立つ県立盲学校の生徒がいる。始球式で投げる高等部3年の稲岡憲吾さん(17)=八代市。やり投げで障害者の日本記録を出した稲岡さんは視力が低下するまでは野球少年だった。「野球ができることに感謝してほしい」。一球にそんな思いを込める。
小学3年の時、野球を始めた。中学の時は野球部の投手として活躍し、八代市選抜にも選ばれた。そんな野球漬けの生活が、中学2年の冬、一変した。
2011年11月上旬。いつもなら良く見える捕手のサインが見えにくい。打席でもバットの芯に当たらない。「コンタクトレンズが合わないのかな」。平凡なピッチャーゴロ。「よし、打ち取った」。グラブを伸ばした瞬間、顔とグラブの間をボールがすり抜けた。「やっぱり、おかしい」
市内の眼科を回り、熊本大医学部付属病院を紹介された。血液検査の結果、告げられた病名は「レーベル病」。視神経が萎縮し、両眼の視力が低下する。「治ってほしい」。しかし、視力は徐々に低下し、一時は両目とも0・02以下に。授業では黒板の字が見えなくなり、野球もできなくなった。
盲学校入学後、先生の勧めでやり投げを始めた。最初はやりが顔に触れ、うまく投げられなかったが、高等部2年の夏から本格的な練習に取り組むと、もともと肩が強かったこともあり、少しずつ距離を伸ばした。今年5月の大会の弱視のクラス(視覚F13)で日本記録となる51メートル98センチを投げ、優勝した。
始球式で投げる話が進んでいた6月上旬、グラブをオーダーした。刺繡(ししゅう)で刻んだ文字は「夢舞台」。小中学校時代にチームメートだった八代東の主将、大野陸さん(17)のグラブと同じ文字だ。
当時、大野さんは中堅手としてマウンドの稲岡さんの姿を見つめていた。当日は中学時代のチームメートが藤崎台県営野球場のスタンドに集まり、見守る。二人にとっての「夢舞台」。大野さんは「あいつの分まで、気持ちを背負って頑張りたい」と話す。
「今はやり投げへの思いの方が強い」と話す稲岡さんだが、野球が好きな気持ちは今も変わらない。始球式では「思いっきり投げて、これからはやり投げに打ち込みたい」と言う。
稲岡さんの一球で、甲子園を目指す夏が始まる。稲岡さんは言う。「野球ができることに感謝して、楽しんでほしい。それを始球式の一球で伝えたい」
やり投げの練習をする稲岡憲吾さん=熊本市東区東町3丁目の県立盲学校
2015年7月3日 朝日新聞
福祉施設職員2人を停職 下関・障害者暴行事件
下関市の知的障害者福祉施設「大藤園」で起きた暴行事件に絡み、施設を運営する同市の社会福祉法人「開成会」は2日、利用者に暴言を浴びせたとして主任支援員の男性職員(49)を停職2か月、利用者の頭をシールの束でたたいたなどとして支援員の男性職員(55)を同1か月とする処分を行った。
同法人は同日、井上昌士施設長を監督不十分として支援員に降格させ、新たな施設長に、同法人が運営する障害者支援施設「王司山田園」(下関市山田)の佐藤潔・総括支援員を充てた。
同法人の木谷義孝理事長(79)は大藤園で開いた記者会見で「いずれ理事長を退任することになるが、(それまでに)大藤園を立ち直らせるよう努力したい」と述べた。再発防止策として、作業室の窓ガラス16枚を、すりガラスから透明なガラスに替え、作業室と廊下に防犯カメラ計16台を設置したという。
今回、停職1か月となった男性職員は先月24日、暴行容疑で山口地検下関支部に書類送検されている。
2015年07月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbunなくそう障害者差別 7月26日 講習会
心のバリアフリー講習会「障がい者差別解消法について考えよう〜誰もが暮らしやすい社会を目指して〜」が7月26日(日)、湘南NDビル(藤沢109の6)で開かれる。時間は午後2時(受付は1時30分)から午後4時まで。参加無料。
講師を務めるのは、元宮城県知事の浅野史郎氏。2016年4月に施行される「障がい者差別解消法」の内容をはじめ、互いに支え合う誰もが暮らしやすい社会づくりについて語る。
希望者は市障がい者生活支援センターかわうそに【電話】0466・48・4586、または【FAX】0466・48・2202で申し込む。定員は先着100人で、締め切りは7月21日(火)。手話・要約筆記あり。
詳細、問い合わせは同センターへ。
浅野史郎氏
2015年7月4日 タウンニュース
長崎モデルの明暗(5)
社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の取り組みには、法務・検察当局も注目する。長崎地検の幹部がこう打ち明けた。
「刑罰が理解できるのか、刑務所に入れて更生にどう役に立つのか。疑問を持たざるを得ない容疑者や被告はいる」
「累犯障害者」を司法手続きのレールに乗せるだけで、再犯は防げるのか。刑務所以外での処遇を模索する法務・検察当局の意識もまた、長崎から芽生えた。
地検が重視するのは、福祉施設で刑務所に代わる適切な矯正教育が行われているかどうかという点だ。南高愛隣会の施設見学や担当者との協議を繰り返し、知的障害のある容疑者や被告を起訴猶予としたり、執行猶予付きの判決を求刑したりする体制を、平成24年までに整えたという。
軽微な犯罪で、被害が回復され、被害者が処罰を望んでいない、という条件は付ける。弁護人には更生に向けた支援計画書の提出を求め、本人にも計画を守ることを書面で確約させている。地検幹部は「南高愛隣会のおかげで『長崎モデル』は機能している。逆に言えば、しっかりした福祉施設が増えないと全国には広がらない」と話す。
南高愛隣会の外へ
「いつか家に帰って今まで通りの生活に戻りたい」。軽度の知的障害を持つ20代の男性は、再出発への希望を口にした。
男性は24年、バスの車内で酒に酔って女性の体を触り、長崎県警に逮捕された。不起訴になり、南高愛隣会が運営する更生保護施設「雲仙・虹」で生活しながら、トレーニングセンター「あいりん」で罪と向き合う矯正教育を受けた。
昨年8月、別の社会福祉法人「山陰(やまかげ)会」(同県南島原市)のグループホームに移ってきた。現在は共同生活を送りつつ、農作業などの職業訓練を受けている。
男性は、山陰会が南高愛隣会の依頼で受け入れを始めた最初の累犯障害者だ。その背景を、施設管理者の本田崇一郎さん(35)は、図らずも「情」の福祉に通じる言葉で説明した。
「再犯のリスクや他の利用者への悪影響ばかり心配すると、行き場がなくなる。手を差し伸べる気持ちが本人に届けばいい」
南高愛隣会も支援を後押しする。職員は男性に「いつ戻ってきてもいい」と声をかけ、本田さんにも「何か問題が起きれば、すぐ行きます」と約束している。
計り知れない影響
最長2年間、社会から隔離して生活させる国立「のぞみの園」(群馬県高崎市)や、民間の視点で独自の自立訓練を行う刑務所「播磨社会復帰促進センター」(兵庫県加古川市)、そして長崎地検と山陰会。南高愛隣会が福祉関係者や法務・検察当局に与えた影響は計り知れない。
それは、累犯障害者の再犯防止と社会復帰を、もはや刑罰か福祉かという二者択一で考える時代でなくなったことも意味している。
精神年齢が4歳7カ月と鑑定された京都市内の男(38)。自動車盗を繰り返して10代のころから計7回服役しても、福祉の支援を受け続けても、車に乗りたいという欲求を抑えることはできなかった。
7月10日に控訴審の判決が言い渡される常習累犯窃盗事件で、1審通り懲役1年10月の実刑が確定すれば、前回事件の確定判決(懲役2年)と合わせ、刑期は3年10月。拘置所での勾留日数が差し引かれると、3年以内に社会に戻ってくる計算だ。
そのとき、刑罰や福祉に任せ切りにするのでなく、社会で生きるだれもが男に手を差し伸べることは、できるだろうか。問われるのは、私たちの「情」なのかもしれない。 =おわり
社会福祉法人「山陰会」で職員(右)と談笑する20代の入所者男性=長崎県南島原市
2015.7.3 産経ニュース