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福祉施設で火事、石けん作りの廃油に引火か

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 1日夜、東京・町田市の障害者福祉施設で火事があった。施設からは激しく炎が上がり、周辺は一時、騒然となった。  警視庁などによると、1日午後11時すぎ、町田市の障害者福祉施設「桜ヶ丘共働学舎」から出火。火は約5時間半後に消し止められたが、この火事で木造の平屋建ての建物約130平方メートルが焼けた。ケガ人はいなかった。  施設では1日、障害者や職員ら20人近くで廃油を使った石けん作りをしていて、午後6時には園長が施錠し、全員帰宅したという。警視庁は廃油が何らかの形で引火した可能性があるとみて調べている。

[ 5/2 5:34 NEWS24]

声優・三ツ矢雄二さん「色んな個性の人々が普通に生きていける世の中に」

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東京レインボープライド開催中

 LGBT(性的少数者の呼称)の理解者を増やすことを目指したイベント「東京レインボープライド2017」が4月29日に開幕し、東京都庁でオープニングレセプションが開かれた。5月7日(日)までを「レインボーウィーク」と称し、期間中はさまざまな催しが予定されている。

  同イベントは、「性的指向および性自認にかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現」を掲げる非営利法人「東京レインボープライド」が主催。2011年に始まり、今年で6回目を迎える。主催者側によると、昨年のイベントの参加者は7万人を超えた国内最大級のイベントであり、今年は昨年を上回る参加者10万人を見込む。

  レセプションでは、東京レインボープライドの山縣真矢・共同代表理事が「レインボーウィークは、メインであるパレードの他にも9日間の中で60以上のイベントが開催されます。今年のテーマは『CHANGE』です。みんなで盛り上げていきましょう」と開幕を宣言した。

 続いて小池百合子・東京都知事からの「東京都は女性も男性も子供も高齢者も障害者も、そしてLGBTの方も誰もが希望を持って生き生きと生活でき、活躍できる都市、ダイバーシティの実現を目指しています」というメッセージが読みあげられた。

  開幕を祝う乾杯は、声優の三ツ矢雄二さんが音頭をとった。

 三ツ矢さんは、先日、自身のセクシュアリティについてゲイであると公言し、ヤフーニュースのトップに取り上げられるなど、話題となった。それまでテレビ出演の際は、自身についてたずねられると、「グレーゾーン!」と表現してきた。

 乾杯の挨拶で三ツ矢さんは「決して、グレーゾーンで曖昧にぼかしたつもりではなくて、90%僕はカミングアウトしたつもりだったんです」と説明し、「テレビで一言、グレーゾーンって言葉で言った時と、『ゲイ』って言った時に、その言葉の重さの意味の違いを知ることになり、これからはやっぱり『ゲイ』って言葉を大切に生きていかなきゃいけないなと思っています」と話し、「今年からカミングアウトしてゲイだって言った、っていうふうに世間ではとらえられがちですが、実はもう生まれついてずっと自分で自覚しておりまして、周りには何も隠さずに生きてまいりました。だから、声優業界で僕のことをゲイじゃないと思ってる人は一人もいないと思います」と笑顔で語り、会場を和ませた。

 最後には「色んな個性をもった人々が普通に生きていける世の中、そんな世の中になればいいと思ってます。誇りを持って、前進していきましょう」と杯を掲げた。

  続いて、イベントに賛同した自治体の長が挨拶。2015年に「同性パートナーシップ条例」が成立し、今年で2年になる渋谷区の長谷部健区長は「LGBTのフォローに関しては、1人のアライ(理解者)として、また渋谷区長として、渋谷区でできることをこれからもしっかりとやっていこうと思っています」と力強く語った。続けて、同時期に同性カップルに公的な「同性パートナーシップ宣誓書」を発行している世田谷区の保坂展人区長は、宣誓書の受領数が、最近50組に達したことを報告し、会場から拍手がおきた。

  レセプションは続いてトークショーに移り、東京レインボープライドのもう一人の共同代表理事・杉山文野さんと三ツ矢さん、俳優の東ちづるさんの鼎談(ていだん)形式で行われた。

 三ツ矢さんは、今回のカミングアウトの経緯について「(カミングアウトすることで)家族に迷惑かけちゃいけないなって思いはずっとあった」と心境を吐露。東さんは「ジェンダーとかセクシャリティは100人いたら100通り」と強調。自身が1年かけて取り組んできたドキュメンタリー映画「私はワタシ ~over the rainbow~」の制作過程で、41名のLGBTの当事者にインタビューしたと語り、その中である取材対象者に聞いた「性別なんて自分が決めりゃいい。それを他人からとやかく言われることない」という一言を紹介した。

 東さんが制作した映画は60分構成で、利益目的ではなく、企業や学校、団体からの申し出があれば上映するそうだ。当事者からは、「初めてもやもやしないLGBTの映画を見た」などの感想が届いているという。

 トークショーの最後には、カミングアウト時に三ツ矢さんが話した「パートナー募集中!」にからめて、現在の恋人の有無を聞く場面があった。三ツ矢さんは、ラブレターをもらったりしたものの、まだ恋人はできてないと話し、「いいかなって思う人はどんどん声をかけてください。お待ちしておりまーす!」と元気に締めくくった。

  続いて、性同一性障害であることを公表し、活動しているシンガーソングライターの中村中(あたる)さんによるスペシャルライブが行われた。中村さんは、ヒット作『友達の詩』など3曲を披露。自身の体験を元に綴(つづ)られた詞を歌い上げると、会場全体が聴き入った。

  5月6日、7日には、東京都代々木公園イベント広場&野外ステージでフェスタが行われ、7日の最終日には、カラフルに装飾された「フロート」と呼ばれる山車を先頭に、渋谷・原宿周辺でパレードが行われる。歌手の中島美嘉さんのスペシャルライブも予定されてい。

乾杯の挨拶をする三ツ矢雄二さん

2017年5月1日   朝日新聞

盲導犬同伴で差別6割

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 盲導犬を連れた視覚障害者の62%が、障害者差別解消法が施行された昨年4月以降、飲食店への入店を拒否されるなどの差別的な扱いを受けていたことが1日、盲導犬を育成するアイメイト協会の調査で分かった。

 障害者差別解消法は、障害を理由とした差別を禁じている。協会の塩屋隆男代表理事は「盲導犬は社会に参加するための手段。はしやフォークがないと食事できないのと同じように、盲導犬がいないと生活に困る。障害者も健常者も同じ人間だという視点を持ってほしい」と呼び掛けている。

 調査は2~3月、全国の盲導犬使用者にアンケートを送り、121人から回答を得た。


【共同通信】 ロイター   2017年 05月 1日

舌で操作する車いすを開発 岩手大「実用化で重度障害者支援に」

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 岩手大理工学部の佐々木誠助教らのグループが、舌を使って操作できる電動車いすを開発した。佐々木助教は「脊髄損傷などで手足を動かせなくても、舌を動かせる人は多い。実用化して重度障害者の生活支援に役立てたい」と話している。

 口の開閉や食べ物ののみ込みなど、口のほとんどの動きに関わる筋肉「舌骨上筋群」の動きで発生する微弱な電気信号を利用。顎の下に複数の電極を配置したシリコーンのシートを取り付け、信号をコンピューターに読み取らせる。

 舌を「右」や「前」に動かすと、電気信号を識別したコンピューターが指示を出し、舌が動いた方向に電動車いすが動く仕組み。

 佐々木助教によると、これまでも舌で操作する車いすを製作する試みはあったが、口の中に装置を取り付けるため衛生面や装着感で問題が多かった。今後、改良を重ねる方針だ。

学生が乗る、舌を使って操作できる電動車いすと岩手大の佐々木誠助教=4月20日、盛岡市

学生が乗る、舌を使って操作できる電動車いすと岩手大の佐々木誠助教

2017.5.1    産経ニュース

障害者に性的虐待 熊本市が処分

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熊本市北区の障害者支援施設で利用者の女性への性的な虐待があったとして、熊本市は、この施設と、施設を運営する社会福祉法人に対し、1か月間新たな利用者の受け入れを停止する処分とした。処分を受けたのは、熊本市北区の障害者支援施設「チャレンジめいとくの里」と、運営する社会福祉法人明徳会。熊本市によると、去年10月、施設の中で、送迎支援員の60代の男性が利用者の女性のズボンの上から股間を触る性的虐待を行ったという。別の支援員が目撃し発覚した。男性は、法人や熊本市の聞き取りに対し、去年8月から10月にかけて同じ女性に2、3回同様の行為をしたほか、別の利用者の女性にもズボンの中に手を入れる行為をしたことを認めたという。男性は去年11月に懲戒解雇された。熊本市は性的虐待に該当すると判断し「チャレンジめいとくの里」と明徳会に対して今月31日までの1か月間、新たな利用者の受け入れを停止する処分を出した。処分を受け明徳会は「今回起きたことは絶対に許されないことであり、再発防止に全力で取り組みます」とコメントしている。

[ 5/1 19:27 熊本県民テレビ]

知的障害者から1500万円詐取か 飲食代支払わせる

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 知的障害がある40代の男性が、氏名不詳の男女数人に飲食店に複数回にわたって連れて行かれ、代金計1500万円ほどをだましとられたとして、準詐欺の疑いで奈良県警に告訴した。県警への取材でわかった。奈良署が受理し、準詐欺や詐欺の疑いで男女を捜している。

 署によると、告訴状では、男性は大阪府東大阪市に住んでいた2014年8月、奈良市のJR奈良駅付近で客引きの女に誘われてスナックに入店。女や店内の複数の男と近くのガールズバーへ移動して明け方まで同席した後、男女らから飲食代を要求され、コンビニのATMから現金計約80万円を引き出して渡したという。さらに、男らから同年10月まで奈良市や大阪市の飲食店に繰り返し誘い出され、その度に男性が代金を支払ったという。

 署によると、男性は昨年10月に代理人弁護士らと署を訪れ、心神耗弱状態に乗じたとする準詐欺の疑いで告訴状を提出した。

2017年5月2日   朝日新聞

障害者就労 農業へ広がれ

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土沢地区の生産者人手不足解消に期待

 就労機会を求める障害福祉施設と高齢化や担い手不足に悩む農家が連携する地域振興モデルを確立しようと、官民一体の「農福連携プロジェクト」が土沢地区で進められている。プロジェクト開始から4年、知的障害者がどのような作業で力を発揮できるのか実地試験を重ね、試行錯誤している。

...

 同プロジェクトに参加する「ひらつか障がい福祉ショップ運営協議会」(高橋眞木会長)は市内34施設で組織。各施設では、福祉に理解のある企業から受託した軽作業をはじめ、パンや工芸品といった自主製品の販売などに取り組みながら、知的障害者が工賃や生きがいを得られる場を提供している。

 農福連携プロジェクトは、こうした障害者の就労機会を地域農業へと拡充しようという取り組み。就労を受け入れる農家にとって、人手不足の解消につながるという期待がある。

 国の調査「農林業センサス」によると、平塚市の農業従事者の平均年齢は2000年が54・9歳だったのに対し、15年は62・0歳と、高齢化が進む。担い手不足も深刻だ。

 プロジェクトの実地試験が行われている土沢地区では、300世帯が農業に従事しているものの、4000aの耕作放棄地を有す。市がアンケートをした結果、有償でも障害者に農作業を手伝ってほしいと、農家16件が就労の受け入れに手を挙げた。

 課題となっているのは、剪定や収穫、青果物の梱包といった一連の農作業で、知的障害者がどのように活躍できるのか、そのシステムの構築だ。市はこれまで5回の実地試験を重ね、延べ100人以上の知的障害者が参加。タマネギ畑の除草やネギの収穫、出荷用ビニール包装など、開催ごとに参加者の得手不得手を確認してきた。

 最も成功を収めたのが、昨年12月に実施されたハウスキュウリの苗の撤去作業だったという。障害者4人と支援員4人が、収穫が終わった苗を台車に乗せ廃棄場所まで運び出したり、自動水やり機のパイプを解体したりと、広さ10aのビニールハウス内を約2時間で片付けた。

 撤去作業を依頼した布施喜英さんは、「普段は2人で作業に取り組んでも一日かかるが短時間で終わらせてくれた」とその働きぶりに目を丸くする。JA湘南関係者は「ハウス栽培は天候に左右されにくい上に、農家ごとで栽培時期が異なるから、年間を通してニーズがある」と期待を寄せる。

 同運営協議会の高橋会長は、「このモデルが各地域に根付けば、知的障害のある方々が地域のなかで就労する場が確保できるのでは」と実現を心待ちにしている。

2017年5月4日   タウンニュース

パラ競技で運動会 企業対抗で初開催

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 ボッチャなどの障害者スポーツを体験できる運動会「あすチャレ!運動会」が3日、大阪市北区で企業や団体を対象として初めて開催され、アシックス、日本生命など4社から約100人が参加して企業対抗で行われた。普段なじみの薄い競技にてこずる様子も見られたが、繰り広げられる熱戦に会場は大いに盛り上がった。

 日本財団パラリンピックサポートセンターがプログラムを開発。性別や年齢に関係なく誰でも楽しめることを重視し、プレーを通じて障害者の立場を理解してもらおうとの狙いがある。同センターの小沢直常務理事は「これを機会にパラスポーツに関心を持ってもらえればいい。(興味の)アンテナを立ててもらうことが重要」と期待を込めた。

 今回はボッチャのほか、ゴールボールや座ったままプレーするシッティングバレーボールなどが行われた。

 障害者スポーツを体験できる運動会「あすチャレ!運動会」で、シッティングバレーを体験する参加者=3日午後、大阪市北区 

 障害者スポーツを体験できる運動会「あすチャレ!運動会」で、シッティングバレーを体験する参加者

 障害者スポーツを体験できる運動会「あすチャレ!運動会」で、ボッチャを体験する参加者=3日午後、大阪市北区

 障害者スポーツを体験できる運動会「あすチャレ!運動会」で、ボッチャを体験する参加者

2017.5.3    産経ニュース


公共施設のバリアフリー=岩下恭士(デジタルメディア局)

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先端技術、弱者支援に生かせ

 昨年末、私の住む東京都渋谷区内の区民プールでアップルウオッチの持ち込みを認めてくれるように長谷部健区長宛てに要望を出した。

  ジョギング時に消費カロリーや走った距離、心拍数などを計測できる腕時計型の活動量計が注目されている中、昨年秋に発売されたアップル社のスマートウオッチ「アップルウオッチ・シリーズ2」は、泳ぎながらでも使える耐水機能に加えて泳ぎのストローク数や泳いだ距離なども記録できる。そして画面の見えない私たち全盲者にとって一番重要なことは、アップル製品に標準搭載されている読み上げ機能「ボイスオーバー」が、表示された情報を音声で読み上げてくれることだ。 読み上げ機能に一律禁止の壁

 毎週末、自宅から歩いて10分で行ける代官山スポーツプラザの屋内プールで泳いでいる。50歳を超え、2年前の春に老化防止に目覚めて、子供の頃に得意だった水泳を始めることにした。プールには障害者にも使いやすいサブ更衣室があり、館内は段差のないバリアフリー構造。初めのうちはガイドヘルパーを頼んで同行してもらったが、仕事帰りなど時間が空いたときに1人で利用したくなった。

 都内の障害者専用プールには、北区の東京都障害者総合スポーツセンターと、国立市の東京都多摩障害者スポーツセンターがある。しかし、どちらも我が家から鉄道を使って小一時間かかる。代官山のプールでは当初、他の遊泳者との接触など私が利用することに不安があったようだが、券売機の利用を除けば(高齢者・障害者は無料だが発券は必要)、着替えもシャワーもすべて自力でできることが分かると、監視員たちはプールサイドからの誘導など協力的になった。プールサイドに「視覚障害者遊泳中」と書かれた看板も立ててくれた。

 だが、最大の悩みはプールの中で時間が分からないことだった。利用開始時には必ず監視員が「何時まで泳ぎますか?」などと確認して、終了時刻になると知らせてくれるのだが、練習の途中で自分が何往復したのか、時間はどのくらいかかっているのかなどが気になり始めた。

 そこで水の中でも時刻を読み上げる上に、泳ぎ方まで判別してストロークの回数まで記録できるスイムワークアウト機能が使えるこのアップルウオッチに飛びついた。ところが、時計をはめて、いざプールに入ろうとしたら突然、監視員から「腕時計は外してください」と言われた。初めて知ったのだが、日本の公共プールでは「腕時計・ピアス・ネックレス等のアクセサリー類の着用は禁止」というのが通例なのだそうだ。

 渋谷区スポーツ振興課に禁止の理由を聞くと、最大の問題は安全性の確保。もしも他の遊泳者に接触してけがをさせたり、プールサイドなどにぶつけて水中に割れたガラスを飛散させたりするような事態を懸念していた。

 同じ渋谷区内でも東京都スポーツ文化事業団が運営する東京体育館のプールでは、カメラ機能を内蔵した端末による盗撮防止の意味からも、一律に持ち込みを禁止しているということだった。

権利の訴えに区の対応変化

 そこで、再度私が訴えたのは「活動量の計測はともかく、利用者が現在時刻を確認できるのは基本的な権利」ということ。その結果、先月、以下のような回答を区長からいただいた。

 「岩下様が代官山スポーツプラザにお持ちになった『アップルウオッチ』は、盤面が露出しており、接触時にけがや破損の可能性があるということで、使用しないようお願いしたところです。しかし、昨今は水泳用の活動量計も多く市販されるようになってきており、これらの使用はトレーニング効果の判断に有効と考えられます。

 当区のプールでも、盤面にシリコーンやポリカーボネート類のカバーを付ける、また、活動量計を凹凸のないリストバンドで完全に覆う、など、事故のおそれがないと認められるものについては、試行的に使用可能としていくことで調整いたしましたので、施設にご相談くださいますようお願いいたします」

 その後、プール担当者から、アップルウオッチがすっぽり入る市販のウレタン製カバーを紹介してもらい、プール内での使用が許された。

 欧米ではリスクに対する自己責任という意識が強く、プールでの時計着用で規制されるケースは聞かない。日本では、万が一事故が起きれば施設管理者の責任が問われることが多い。しかし、GPS(全地球測位システム)を使って目的地まで誘導してくれるナビアプリとか、過疎地域に暮らす外出の難しい障害者や高齢者に必要な物を届けてくれるドローン(小型無人機)など、使い方によって弱者支援につながる先端技術も少なくない。イノベーションを喚起する意味からも技術の活用に目を向けてほしい。

 自治体として全国で初めてLGBTなど性的少数者の結婚を認めるなど、ダイバーシティー(多様性)の尊重を実践してきた渋谷区。今回の英断に敬意を表しつつ、全国への波及につながるよう期待したい。

ウレタン製カバーを装着したアップルウオッチ。まくり上げた部分を降ろすと、文字盤を覆うことができる

毎日新聞   2017年5月4日 

盲導犬入店拒否/思いやりのある共生社会に

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 全ての人が互いを思いやり、暮らしやすい社会をつくりたい。

 

 障害者への差別を禁じる障害者差別解消法が施行された昨年4月以降、盲導犬を連れた視覚障害者の6割が飲食店への入店を拒否されるなどの扱いを受けていた。盲導犬を育成するアイメイト協会が行った全国調査で分かった。

 

 県内でも昨年度、盲導犬利用者から同じような扱いを受けたという相談が、県と、一部の市町村に寄せられた。

 

 盲導犬は、目の見えない人や見えにくい人にとって、自立した生活や社会参加を支えるパートナーだ。盲導犬の役割に理解を深め、視覚障害者を取り巻く環境について一人一人が考えたい。

 

 障害者差別解消法では、盲導犬利用者に対し、飲食店が入店を拒否したり、タクシーが乗車を拒んだりすることは「不当な差別」になり原則できない。一方、障害者が困っていたら必要な工夫をして手助けすることを求めている。

 

 県は、盲導犬利用者への入店拒否などについて、事業所が差別解消法を従業員に浸透できていないことを要因に挙げる。事業者には、従業員の研修で同法の内容を説明するなど、その意義を実践できる店づくりを進めてもらいたい。

 

 事業者だけでなく、一般の人たちにも盲導犬への理解を広げていくことが大切だ。盲導犬はきちんと訓練や管理がされており、清潔で社会のマナーを守ることができる。多くの人が盲導犬のことを知り、社会の仲間として受け入れる意識を持ってほしい。

 

 配慮しなければならないのは、盲導犬を利用する視覚障害者に限らない。障害の有無にかかわらず社会に参加し、活躍できる環境を実現するためには、差別解消法の意義を広く浸透させる国、自治体の取り組みが欠かせない。

 

 盲導犬利用者から入店拒否の相談を受けたいわき市では今年、飲食団体の研修で差別解消法の周知徹底を求める考えだ。県によると、こうした取り組みは県内ではまだ少ない。事業者に直接周知する機会を設けることは効果的だ。県には団体の研修を活用するなどして県内全域での開催を求めたい。

 

 国は差別解消法に基づき、地域協議会の設置を各自治体に勧めている。地域協議会は、障害者の身近な相談窓口になり、行政と関係機関が連携し、さまざまな課題の解決に迅速に取り組む組織だ。

 

 しかし県内では、協議会の設置は7市町村(3月末現在)にとどまる。各市町村は設置を急ぎ、障害者の暮らしを支える地域ネットワークを充実させるべきだ。

2017年05月04日   47NEWS

 

泳ぎ高め合い東京パラ狙う 県内3選手、下諏訪のジュニア合宿参加

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 2020年の東京パラリンピック出場を目指す松本市などの男女3選手が3日、県水泳連盟諏訪地区連盟が諏訪郡下諏訪町で始めた3日間のジュニア強化合宿に初めて参加した。いずれも軽度の知的障害があり、県障がい者スポーツ協会の水泳クラブ「ウルトラ☆スターズ」に所属。地区連盟所属の高校生以下のジュニア選手と一緒に練習し、競技力を高める目的だ。

 3人は松本市の会社員小祝千果(こいわいちか)さん(19)、諏訪養護学校(諏訪郡富士見町)高等部2年で茅野市の前川直輝さん(16)、安曇野市の会社員、木下翔平さん(26)。小祝さん、前川さんは100メートル平泳ぎ、木下さんは50メートル自由形でパラ出場を目指す。ウルトラ☆スターズの他選手11人らと一緒に合宿に合流した。

 ウルトラ☆スターズヘッドコーチで、諏訪地区連盟理事でもある植松美千代さん(55)=諏訪市=によると、パラへの出場には国内最高峰の「ジャパンパラ大会」で上位入賞が必要。「東京パラの競泳は知的障害者が7人しか出られない狭き門」(植松さん)という。

 小祝さんは、昨年10月に岡山県であった大会でジャパンパラへの標準記録を突破。「もっとタイムを縮めないといけない。ジュニア選手の泳ぎを参考にしたい」。標準記録まであと1〜2秒の前川さん、木下さんも「突破に向けて頑張りたい」と話した。

 ウルトラ☆スターズの合宿参加は、植松さんが昨年11月に同僚の役員から「水泳への熱意は健常者も障害者も同じ」と誘われたのがきっかけ。6月に日本知的障害者選手権(横浜市)を控え、ジュニア選手の泳力に近いこともあり参加を決めた。

 小祝さんらと一緒に練習したジュニア選手の山岡羽菜さん(17)=東海大諏訪高校3年=は「目標をしっかり定めて頑張る姿が印象的。自分もインターハイ出場を目指したい」と刺激を受けていた。

植松さん(手前右)の説明を聞く前川さん(手前左)ら

信濃毎日新聞   (5月4日)

憲法を語ろう(2) 基本的人権

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概念拡大、時代に適応を  佐賀大教授 松下一世さん(61)

 日本国憲法は「法の下の平等」を定め、基本的人権を保障している。現実にはさまざまな中傷が繰り返され、障害者や性的少数者(LGBT)ら社会的弱者の人権がないがしろにされかねない状況もある。憲法の理念が人権にどう生かされ、何が課題として横たわっているのか。佐賀大学教育学部教授の松下一世さん(61)=人権教育学=に尋ねた。

 〈国は2014年1月に障害者権利条約を批准した。16年4月には障害者差別解消法が施行された。障害者の権利擁護の動きは進んでいるように見える〉

 「昨年はヘイトスピーチ対策法や部落差別解消推進法も成立し、ここ数年で人権法の整備が進んだことは評価できます。法の下の平等が法制定につながったことは事実だけど、憲法の存在だけでは不十分で、障害者権利条約や人種差別撤廃条約などの国際条約が推進力として欠かせなかった」

 「憲法が日本人の行動原理に浸透していない、と感じています。日本の憲法教育は基本的人権を学ぶというより、差別問題に力点を置いてきた。人権が著しく侵された被差別部落やハンセン病患者らに焦点を当て、学生は教えられた事実を道徳的に理解はしている。しかし、自らの人権と関連付けた学びが不十分なために、生活との接点が見いだせず、『自分とは関係ない』と捉えがちです」

 〈人権を守るための法整備が進む一方で、特定の人種や国籍、宗教などを対象にした排外的な言動が目立ってきている〉

 「政府の動きは鈍かったけれど、法律をてこに運動や要求を展開し、救済措置を願い出ることもできます。では、法整備を足がかりに、差別や偏見をどう解消すればいいのか。その鍵が憲法にある。憲法を知ることで他者の人権に敏感になり、おかしいと感じた時に声を上げる力にもなる」

 〈憲法は、教育分野の現状を見つめ直す鍵にもなると松下さんは考える〉

 「子どもの貧困問題は、教育の格差をもたらすほど根が深い。ここで憲法に立ち戻り、教育を受ける権利に着目して運動を展開することで、教育の公平性が担保され、貧困問題の改善にもつながっていく」

 「佐賀県内で当たり前と思っている校則でさえ、子どもの人権の観点から捉え直すと、見直すべき点が出てくるでしょう」

 〈改憲論議では、基本的人権の在り方が重要になると考えている〉

 「憲法という幹に、法律という枝が生えている。人は生活により近い枝に関心を持ちがちですが、幹との関係を知らなければ全体像は見えてこない。国民一人一人がこうした点を考えるために、教育やメディアが果たす役割は大きい」

 「憲法は何のためにあるのか、私たち自身が考えることから出発したいですね。その上で、基本的人権は国民が守るものではなく、国家が保障するものだという点を踏まえて論議を進めなければならない。人権の概念は発展、拡大していくものです。時代の変化に合わせ、新しい人権を憲法に盛り込んでいくことも重要だと考えます」

■まつした・かずよ 1956年、高知市生まれ。大阪教育大学大学院修了。小学校教諭を経て2007年、佐賀大学文化教育学部講師に。13年度から教授で、現在は教育学部所属。佐賀市。

 「憲法を知ることで、他者の人権に敏感になる」と話す佐賀大学教授の松下一世さん

2017年05月04日    佐賀新聞

AIの普及で求められる生産性のレベルが高まれば「障害者」の問題は他人ごとでなくなる<下>

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ロッカールームトークが許されない時代 将来「マンションの管理組合」が問題化する

──ZUU onlineは投資や資産運用に関心のある読者に向けて記事を発信しています。安部さんは「お金」というものをどう見ていますか。

いまの時代、お金って色がついてきていると思うんですよね。一昔前はなかった、「そのお金はどういうふうに得たお金なんですか?」というところが問われつつあるというか。既存の制度のなかだと、それこそ犯罪に手を染めて楽に奪ったものでも100万円は100万円だし、苦労して働いても100万円は100万円だったわけです。いい悪いは別として。

ただこれからは、お金に色がついて、どういう経路で得たお金なのかとか、どういうストーリーに基づいたお金なのかということが問われ、付加価値も変わると思うんです。

──なぜそういうふうに変化してきたと思うのでしょうか?

一つに資金調達の方法が変化、多様化したこと。あとは個人の信用が可視化しやすくなってきたことの影響もあるでしょうね。

基本的にSNSもクラウドワーキングも、あるいはビットコインもブロックチェーンの技術からすればそうですが、今はあらゆるものの履歴が残る時代です。昔はそうした履歴なんて残らなかったし、最終的なアウトプットだけが評価される時代だった。ただ今はプロセスが全部ネット上などに残っちゃうんです。

その人の持っている目に見える資産もそうだし、信頼などを含めた広義の資本という観点で見ると、昔よりも資本の蓄積の仕方というのが、ずいぶんと変わってきています。

すごいお金持ちがいたとして、その人がどうやって財産を獲得して来たのか、やっぱり気になっちゃうじゃないですか。その好奇心というのは人間の本能的な欲求ですし、今はそれに応えるだけのテクノロジーが存在していると思うんですよね。

──資金をどうやって作ったのかまで見られるのは息苦しいですね。

息苦しいですよ。トランプ大統領の話ではないですが、ロッカールームトークが許されるのかという話です。どんな場所でも好き勝手話せないようになるのと同じで、息苦しくて息苦しくて仕方ない時代になって来てますよね。そこへの反発は存在していると思います。

僕は今地元のソフトボールチームの監督をやっているんですが、人によっては「地元」や「地域」も逃げられない場所ですよね。ただ、これからはそういう逃げられないものに対しての貢献がある程度大事になると思います。

たとえば高層マンションが立つと地域のコミュニティが分断して崩壊しやすくなるとか言われますよね。あるいはマンションの中を一つとってみても、管理組合というコミュニティが高齢化や住民の交流の不在により機能しなくなってきているところがある。こういうところが弱くなっていくというのは将来大きなリスク要因だと思います。面倒でも貢献というか、やらなきゃいけないことがある。

ということは地域貢献やボランタリー的な活動も、いずれどこかで可視化して評価の対象にするしかないでしょう。マンションに限らず地域の活動でも、何もせずにゴミは出しておけば勝手に誰かが片付けてくれてゴミ置場の周りも掃除されると思っている人もいたり、子どもを地域の子ども会に預けても、子ども会というのがどういうふうに運営されているか知らなかったり。そういうところの多くはボランティアによって成り立っていて、何もしないのはフリーライダーな訳ですよ。

でも昔はそんなのは問題にならなかった。「仕事が忙しいから出られない」で済んでいた。履歴残らなかったから。そこで履歴が残るようになると、困る人が多いと思うんです。息苦しさの理由は履歴が残るところ。それで「放って置く」ということができなくなって肩身が狭くなる。

「ならそんなコミュニティ要らないんじゃないの」という人もいるんだけど、たとえば地域の子どもを支えるコミュニティが消滅すると、子どもの貧困が進んでも見えづらくなるんですよ。そうすると最終的には治安が悪くなって、最後おやじ狩りされて自分自身が被害にあうかもしれない。そのとき買ったマンションを売って引っ越すようなことになるくらいだったらいまからコミュニティの問題に向き合った方がいいじゃないですか。

だから基本的にはコミュニティも含めてみんなで作らないといけない。そもそも公共と個人は当然地続きなんです。ただ両者の間にあるギャップにつけこんで、フリーライドしちゃおうぜみたいな人がいたわけですが、この”履歴の時代”においてはそういう考え方を変えたほうが、個人のためにもなるし、みんなのためにもなるかもしれないと思います。時代的にも新しく私たち一人ひとりがそこに折り合いをつける必要が出て来てますよね。

社会問題には「縦」と「横」の軸がある

──考えれば分かるはずなんですけどね。想像力がないということでしょうか。

僕は、社会課題には「縦」と「横」があると考えているんですね。縦は時系列の問題でいまはまだ関わりがないもの、横は同時代にありながら空間的な広がりなどの影響で意識や思いが交わらないもの。どちらも無関心になりやすいんですけど。縦の問題は(自分自身に起こりうるリスクとして)まだ想像力を刺激しやすいんです。例えば介護はまさに時系列的な問題の典型例で、多くの人がいずれかかわるものです。

ちなみにこの国で一番介護に関わっているのは40代、50代の女性です。色々な言い方はできると思いますが、この国では女性という存在が、ここ数十年というスパンで見てもやはり虐げられてきた側面がある。20~30代で結婚、妊娠、出産を経験し、子育てがひと通り終わったなと思うと、次は親の介護がくる。必ずしも女性だけがやる必要はないんですけど、実際問題そうなっている。

とはいえこれは縦の問題だから、アナウンスすれば男性もイメージしやすい。あなたのお父さん、お母さんもいずれ介護が必要になるかもしれないですよって。縦の問題というのは時系列を考えさせて当事者意識を促せば解決に近づくというのが一つですよね。

ただ横の問題はより想像することが難しい。たとえばホームレスの問題。安定した仕事を持って稼ぎがあったらホームレスになる可能性は低いので、その問題に想像がつかない。子供がいなければ地域の子ども会とかの話に関わることはないし、障害の問題もそう。ふつうの人はなかなか自分の手足がなくなるとは考えないですよね。そういうものは、自分の将来に関わってこない問題なので想像がしづらい。だからこそ、横の問題が回りまわって自分に返ってくるんだということをどれだけ認識できるかが大切なんです。

社会への関わり方を考えると、我々自身も未来の障害者?

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障害者の問題も複数の現場に行って考えると色々なことが見えて来ます。例えば障害者施設の考え方のメインストリームは「ワークフェア」。ワークフェアとは障害がある人も働くことを通して社会参画をしましょうという考え方です。

でも、生産性という観点で考えると障害者はハイパフォーマーではないし、できるとしても単純な作業しかありません。だから納期が近づいてくると結局、施設の職員が代わりに夜なべしてやります、みたいなことが起こってしまうわけです。もちろん全ての施設がそうではないですが、そもそもの話として、そうまでして障害者の人たちを働かせる仕組みが本当にいいことなのかはきちんと考えなくちゃいけない。

そこで出てくるのが「ウェルフェア」という考え方です。ウェルフェアとは生産性ばかり求めるのではなくて、農業をして土と触れて生きていると感じてもらうとか、芸術活動や音楽をさせて、人生の喜び悲しみを感じてもらうことを大切にする考え方です。こういう施設も少ないけどあるんです。確かに必ずしも働くだけが社会参画じゃないよな、と。どちらがいいというよりは、使い分けの問題ですが、そもそも働くことでしか本当に社会に参画できないのか、という議論はしないといけない。

こうして現場を回っていて思うのは、多くの人が障害者を取り巻く環境を他人ごとのように感じているけど、あと30年もしたらこれは多くの健常者にも突きつけられる大きな問題になっていくことでもあるわけです。

──なぜ問題になっていくでしょうか?

ワークフェア、ウェルフェアの議論は、障害というのをどう定義するかという話でもあります。すると一つの考え方としては社会から求められる生産性を満たしているかどうかを基準にすることもありえるし、現時点でもそういう側面は否めない。

今後、人工知能などの技術が発達すると、世の中が個人に求める生産性はどんどん高まります。すると求められる生産性を越えられない人の数が増える可能性がある。別に今の基準でいう「障害」を持っている人でなくても、必要な生産性をクリアできない人が増える。昔は障害と言われていなかった人や症状でも、それは社会が求める生産性や要素が変わっていくなかで、障害と呼ばれるようになってくる。発達障害なんかも、現代においてコミュニケーションの必要性が増したことで障害として可視化されてますよね。障害の定義は、これまでも変わってきたし、これからもどんどん変わっていくはずです。

ベーシックインカムは、要はお金の分配の仕方の問題

書籍画像(外部サイトに飛びます)

──ベーシックインカムの話は、稼げる人には稼いでもらって、無理にみなが働かなくてもいいのではないかという考え方につながるような気がします。

まさにその議論に直結します。ただ、ベーシックインカムの話は、「稼ぐ」・「分ける」・「使う」の3点から議論した方がいい。

実際に導入するとなれば可能なのは一人当たり月7万~8万と言われてます。それで国民皆保険とかなくなったら、暮らしていけないという人がいっぱい出てくるでしょう。そういう意味ではやはりベーシックインカムの底を上げていく”社会の余裕”をどうやって作るかという問題に帰着するんですよ。これが”稼ぐ”話です。ベーシックインカムの手前の部分ですね。

そしてベーシックインカムの議論の本質はあくまで配分の問題です。お金の配分をシンプルにすること。これはリバタリアンも効率性の観点からこの考えが大好きだし、わりと左寄り、リベラルの人たちもセーフティネットとして価値を感じている。それぞれ別の文脈ながら評価しやすい制度だと思いますが、要はお金の分配の仕方でしかない。そういう意味では過度に評価しすぎてはいけないでしょう。

そして”分けた”あとは”使う”わけです。そう考えると”使う”額はどれくらいなのか、本当は生存に必要なコストはどれくらいなのかという観点から考えた議論が重要ですよね。たとえば野菜を作るコストが極端に安くなったとします。それこそワンクリックで自動で野菜作れますくらいになったとする。限りなく自分の家に食材が届いてくるコスト、さらには、日常の生活をするというコストがすごく格段に下がりましたという社会においては、ベーシックインカムは結構、機能すると思うんですよね。医療などに必要な費用に関してもコストの低下という面ではまったく同じです。もし実際ベーシックインカムを導入するなら、お金の運用を長期で考えていけるような教育の整備も同時に必要です。

逆に、生存に必要なコストが一定以上に高いコストのままベーシックインカムをやっても、社会の不安定さが高まるだけのような気がします。今のベーシックインカムの議論はこの”稼ぐ”・”分ける”・”使う”の3つのフェーズでいうと特に”使う”の部分に関しての議論が不十分だと感じてしまいますね。生存に対するコストがどれくらい下がりますかということをちゃんと議論しなきゃいけないんじゃないかと思います。

──生存コストを大きく下げる方法って、たとえばイノベーションでということでしょうか。

ええ、基本的には技術革新ですよね。あと経済もひとつです。VCモデルがシリコンバレーを大きくしたのと同じように、お金の循環のモデルと技術革新のふたつの掛け算が社会の生産性とかを高めていく。これがどうなるのか。また我々がどう受け止めるかですよ。

受け止め方をどうするか、というこの問いを深めていくと、最終的には個人のマインドに行き着く気がします。結局、どれくらい子どもを産みたいかどうかになる。たとえば何人産んでも食っていける、教育にもコストかかりませんとなったとき、ヒトはどれくらい子どもを産みたくなるのか。

昔は産んだ後に口減らしというものがあって調整していたわけです。つまりとりあえず種としては産みたかったわけです。では、一方で現代はどうか。人類の生産性に対して地球の環境がサステナブルかという問題もあるけれども、食事の生産量的には全世界の人々が飢えずにすむと。世界中で食糧はあり、分配の問題だと言われているわけです。

昔に比べれば、口減らしの必要がなくなってくる。先進国では必要なくなっているし、途上国でもだんだんそうなってきたとき、さらに人口を増やそうとなるかどうかですよね。増やそうとなるなら、結局イタチごっこになり生産コストは下がっていかないけど、人類はもう増えなくてもいいかなーという感じになりそうな気がするんですよね、今の様子を見ていると。

──ただずっと均衡したままでいくとは限らないですよね。

そうそう。外部環境を踏まえて我々のマインドがどう変化するかですよね。それが結果として、種としてどう残っていきたいかみたいなところになるかなと。

種の進化みたいなものを考えたとき、遺伝子の突然変異というイノベーションを繰り返しながら、結果的に適応したものが残ったわけですよ。ヒトも今の所残っている。

しかし、ヒトに関して言うと、いわゆる遺伝子レベルでの進化の側面と、たとえば社会との共進化の二つの側面がある。後者について、ヒトは道具を使って身体性を拡張してきたし、メタ認知能力もあって、他者の気持ちも分かる。そうして社会というものを作ってきた。人間そのものとしては、それこそ4000年前とか1万年前とそんなに変わってないはずなんだけど、技術や社会との共進化のなかで、我々の”できること”というのは、突然変異以上のレベルで進化してきてはいないか、と考えるわけです。

身体性の拡張という観点でいっても、たとえば人間が外部メモリをつけられるとなったら、脳の容量が増えた新しい種族が生まれてくるのを待たなくていいし、それは遺伝子レベルの進化よりもよっぽど革新的な変化なわけで。

なので種としての人類がどの方向に行くのかをすごく考えさせられます。
僕が所属していた研究室でのテーマである人工生命(A Life)の研究が結局どこに行き着くかというと、モチベーションの研究です。なぜ生命は種を残したいと思うのか。なんでそういうモチベーション持ってるの?ということです。

人工知能は今の所そういうモチベーションを持ってないですよね。人工知能などが進化していくなかで、これから先、人類はもしかすると、種を存続するほうにモチベーションを持たないかもしれない。SF小説とかで散々言われてきた内容だと思いますけど。

僕はもともと人間と社会の相互作用にとても興味があって、そういう未来の社会と人間のあり方についても今後もより深めて考えていければと思っています。

お金や投資の話を周囲としない現状はよくない

──ところで安部さんは資産運用や投資についてどう考えてらっしゃいますか。

いいんじゃないですか。少なくともたんす預金や銀行に預けるよりは。個人にとっても社会にとっても。お金を使って社会の前進にレバレッジをかけて欲しいと思うんですよ。資本主義のいいところはクレジット(信用)を作ったり使ったりできること。いい面も悪い面もあるでしょうが、信用創造できるという側面はおおいに評価すべきだなと思います。

ただ世界的にも日本を見ても金余りといわれているこの様子を見ていると、人間が信用創造とか、クレジットをもとにレバレッジをかけることに対して過信しちゃったようにも思います。

金融の役割も必要なのだけど、金融が行きすぎてしまっているのなら、社会全体で現業にインセンティブを与えるしかないと思うんですよ。これは現業を行なっている人々へのインセンティブですから、基本的にはマジョリティが支持するという意味で政治的にも促しやすい。そういう風に社会が動けば、若いうちは資産運用で金を増やすよりも、どうやって現業を作っていくかに時間を割いたほうがいいか、というふうにはなると思います。
金融的な部分と現業的な部分の歯車が上手に噛み合って機能するような社会にしていきたいですよね。

──同世代で株式投資などの話をすることがありますか?

僕も株を買いますが、そういう話は周囲とはあんまりしないですね。でも確かにしないのはよくないですよね。普通に「お金は汚いもの」と思っている人がまだいっぱいいるんじゃないかな。学校教育でもやらないですから。これは問題ですよね。

お金という発明品の本質を学ばせないと、未来にお金とか貨幣とかの意義や立ち位置がどう変わっていくかを考える機会がなくなっちゃいますよね。短期的な金融という観点も必要だし、長い目で見るときに人類史のなかでも相当大きな発明である貨幣というものの本質を理解しないと、それを乗り越えるものを作っていけないじゃないですか。

僕個人としては社会性を可視化してそこに貨幣的な価値をどうつけるかをテーマとして持っているので、お金のありかたを、本質に基づいて考えていきたい。そして、そういうことを考えられる人を増やしたほうがイノベーションの確率も上がると思うんです。その意味でも、人類社会とお金や貨幣の関係を考える機会を学校教育が避けているいまの状況は危険だなと思います。もっと教えたほうがいい。

(ZUU online 編集部)

すごいお金持ちがいたとして、その人がどうやって財産を獲得して来たのか、やっぱり気になっちゃうじゃないですか。その好奇心というのは人間の本能的な欲求ですし、今はそれに応えるだけのテクノロジーが存在していると思うんですよね。

2017/05/04   Written by 濱田優

AIの普及で求められる生産性のレベルが高まれば「障害者」の問題は他人ごとでなくなる<下>

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ロッカールームトークが許されない時代 将来「マンションの管理組合」が問題化する

──ZUU onlineは投資や資産運用に関心のある読者に向けて記事を発信しています。安部さんは「お金」というものをどう見ていますか。

いまの時代、お金って色がついてきていると思うんですよね。一昔前はなかった、「そのお金はどういうふうに得たお金なんですか?」というところが問われつつあるというか。既存の制度のなかだと、それこそ犯罪に手を染めて楽に奪ったものでも100万円は100万円だし、苦労して働いても100万円は100万円だったわけです。いい悪いは別として。

ただこれからは、お金に色がついて、どういう経路で得たお金なのかとか、どういうストーリーに基づいたお金なのかということが問われ、付加価値も変わると思うんです。

──なぜそういうふうに変化してきたと思うのでしょうか?

一つに資金調達の方法が変化、多様化したこと。あとは個人の信用が可視化しやすくなってきたことの影響もあるでしょうね。

基本的にSNSもクラウドワーキングも、あるいはビットコインもブロックチェーンの技術からすればそうですが、今はあらゆるものの履歴が残る時代です。昔はそうした履歴なんて残らなかったし、最終的なアウトプットだけが評価される時代だった。ただ今はプロセスが全部ネット上などに残っちゃうんです。

その人の持っている目に見える資産もそうだし、信頼などを含めた広義の資本という観点で見ると、昔よりも資本の蓄積の仕方というのが、ずいぶんと変わってきています。

すごいお金持ちがいたとして、その人がどうやって財産を獲得して来たのか、やっぱり気になっちゃうじゃないですか。その好奇心というのは人間の本能的な欲求ですし、今はそれに応えるだけのテクノロジーが存在していると思うんですよね。

──資金をどうやって作ったのかまで見られるのは息苦しいですね。

息苦しいですよ。トランプ大統領の話ではないですが、ロッカールームトークが許されるのかという話です。どんな場所でも好き勝手話せないようになるのと同じで、息苦しくて息苦しくて仕方ない時代になって来てますよね。そこへの反発は存在していると思います。

僕は今地元のソフトボールチームの監督をやっているんですが、人によっては「地元」や「地域」も逃げられない場所ですよね。ただ、これからはそういう逃げられないものに対しての貢献がある程度大事になると思います。

たとえば高層マンションが立つと地域のコミュニティが分断して崩壊しやすくなるとか言われますよね。あるいはマンションの中を一つとってみても、管理組合というコミュニティが高齢化や住民の交流の不在により機能しなくなってきているところがある。こういうところが弱くなっていくというのは将来大きなリスク要因だと思います。面倒でも貢献というか、やらなきゃいけないことがある。

ということは地域貢献やボランタリー的な活動も、いずれどこかで可視化して評価の対象にするしかないでしょう。マンションに限らず地域の活動でも、何もせずにゴミは出しておけば勝手に誰かが片付けてくれてゴミ置場の周りも掃除されると思っている人もいたり、子どもを地域の子ども会に預けても、子ども会というのがどういうふうに運営されているか知らなかったり。そういうところの多くはボランティアによって成り立っていて、何もしないのはフリーライダーな訳ですよ。

でも昔はそんなのは問題にならなかった。「仕事が忙しいから出られない」で済んでいた。履歴残らなかったから。そこで履歴が残るようになると、困る人が多いと思うんです。息苦しさの理由は履歴が残るところ。それで「放って置く」ということができなくなって肩身が狭くなる。

「ならそんなコミュニティ要らないんじゃないの」という人もいるんだけど、たとえば地域の子どもを支えるコミュニティが消滅すると、子どもの貧困が進んでも見えづらくなるんですよ。そうすると最終的には治安が悪くなって、最後おやじ狩りされて自分自身が被害にあうかもしれない。そのとき買ったマンションを売って引っ越すようなことになるくらいだったらいまからコミュニティの問題に向き合った方がいいじゃないですか。

だから基本的にはコミュニティも含めてみんなで作らないといけない。そもそも公共と個人は当然地続きなんです。ただ両者の間にあるギャップにつけこんで、フリーライドしちゃおうぜみたいな人がいたわけですが、この”履歴の時代”においてはそういう考え方を変えたほうが、個人のためにもなるし、みんなのためにもなるかもしれないと思います。時代的にも新しく私たち一人ひとりがそこに折り合いをつける必要が出て来てますよね。

社会問題には「縦」と「横」の軸がある

──考えれば分かるはずなんですけどね。想像力がないということでしょうか。

僕は、社会課題には「縦」と「横」があると考えているんですね。縦は時系列の問題でいまはまだ関わりがないもの、横は同時代にありながら空間的な広がりなどの影響で意識や思いが交わらないもの。どちらも無関心になりやすいんですけど。縦の問題は(自分自身に起こりうるリスクとして)まだ想像力を刺激しやすいんです。例えば介護はまさに時系列的な問題の典型例で、多くの人がいずれかかわるものです。

ちなみにこの国で一番介護に関わっているのは40代、50代の女性です。色々な言い方はできると思いますが、この国では女性という存在が、ここ数十年というスパンで見てもやはり虐げられてきた側面がある。20~30代で結婚、妊娠、出産を経験し、子育てがひと通り終わったなと思うと、次は親の介護がくる。必ずしも女性だけがやる必要はないんですけど、実際問題そうなっている。

とはいえこれは縦の問題だから、アナウンスすれば男性もイメージしやすい。あなたのお父さん、お母さんもいずれ介護が必要になるかもしれないですよって。縦の問題というのは時系列を考えさせて当事者意識を促せば解決に近づくというのが一つですよね。

ただ横の問題はより想像することが難しい。たとえばホームレスの問題。安定した仕事を持って稼ぎがあったらホームレスになる可能性は低いので、その問題に想像がつかない。子供がいなければ地域の子ども会とかの話に関わることはないし、障害の問題もそう。ふつうの人はなかなか自分の手足がなくなるとは考えないですよね。そういうものは、自分の将来に関わってこない問題なので想像がしづらい。だからこそ、横の問題が回りまわって自分に返ってくるんだということをどれだけ認識できるかが大切なんです。

社会への関わり方を考えると、我々自身も未来の障害者?

abe05

障害者の問題も複数の現場に行って考えると色々なことが見えて来ます。例えば障害者施設の考え方のメインストリームは「ワークフェア」。ワークフェアとは障害がある人も働くことを通して社会参画をしましょうという考え方です。

でも、生産性という観点で考えると障害者はハイパフォーマーではないし、できるとしても単純な作業しかありません。だから納期が近づいてくると結局、施設の職員が代わりに夜なべしてやります、みたいなことが起こってしまうわけです。もちろん全ての施設がそうではないですが、そもそもの話として、そうまでして障害者の人たちを働かせる仕組みが本当にいいことなのかはきちんと考えなくちゃいけない。

そこで出てくるのが「ウェルフェア」という考え方です。ウェルフェアとは生産性ばかり求めるのではなくて、農業をして土と触れて生きていると感じてもらうとか、芸術活動や音楽をさせて、人生の喜び悲しみを感じてもらうことを大切にする考え方です。こういう施設も少ないけどあるんです。確かに必ずしも働くだけが社会参画じゃないよな、と。どちらがいいというよりは、使い分けの問題ですが、そもそも働くことでしか本当に社会に参画できないのか、という議論はしないといけない。

こうして現場を回っていて思うのは、多くの人が障害者を取り巻く環境を他人ごとのように感じているけど、あと30年もしたらこれは多くの健常者にも突きつけられる大きな問題になっていくことでもあるわけです。

──なぜ問題になっていくでしょうか?

ワークフェア、ウェルフェアの議論は、障害というのをどう定義するかという話でもあります。すると一つの考え方としては社会から求められる生産性を満たしているかどうかを基準にすることもありえるし、現時点でもそういう側面は否めない。

今後、人工知能などの技術が発達すると、世の中が個人に求める生産性はどんどん高まります。すると求められる生産性を越えられない人の数が増える可能性がある。別に今の基準でいう「障害」を持っている人でなくても、必要な生産性をクリアできない人が増える。昔は障害と言われていなかった人や症状でも、それは社会が求める生産性や要素が変わっていくなかで、障害と呼ばれるようになってくる。発達障害なんかも、現代においてコミュニケーションの必要性が増したことで障害として可視化されてますよね。障害の定義は、これまでも変わってきたし、これからもどんどん変わっていくはずです。

ベーシックインカムは、要はお金の分配の仕方の問題

書籍画像(外部サイトに飛びます)

──ベーシックインカムの話は、稼げる人には稼いでもらって、無理にみなが働かなくてもいいのではないかという考え方につながるような気がします。

まさにその議論に直結します。ただ、ベーシックインカムの話は、「稼ぐ」・「分ける」・「使う」の3点から議論した方がいい。

実際に導入するとなれば可能なのは一人当たり月7万~8万と言われてます。それで国民皆保険とかなくなったら、暮らしていけないという人がいっぱい出てくるでしょう。そういう意味ではやはりベーシックインカムの底を上げていく”社会の余裕”をどうやって作るかという問題に帰着するんですよ。これが”稼ぐ”話です。ベーシックインカムの手前の部分ですね。

そしてベーシックインカムの議論の本質はあくまで配分の問題です。お金の配分をシンプルにすること。これはリバタリアンも効率性の観点からこの考えが大好きだし、わりと左寄り、リベラルの人たちもセーフティネットとして価値を感じている。それぞれ別の文脈ながら評価しやすい制度だと思いますが、要はお金の分配の仕方でしかない。そういう意味では過度に評価しすぎてはいけないでしょう。

そして”分けた”あとは”使う”わけです。そう考えると”使う”額はどれくらいなのか、本当は生存に必要なコストはどれくらいなのかという観点から考えた議論が重要ですよね。たとえば野菜を作るコストが極端に安くなったとします。それこそワンクリックで自動で野菜作れますくらいになったとする。限りなく自分の家に食材が届いてくるコスト、さらには、日常の生活をするというコストがすごく格段に下がりましたという社会においては、ベーシックインカムは結構、機能すると思うんですよね。医療などに必要な費用に関してもコストの低下という面ではまったく同じです。もし実際ベーシックインカムを導入するなら、お金の運用を長期で考えていけるような教育の整備も同時に必要です。

逆に、生存に必要なコストが一定以上に高いコストのままベーシックインカムをやっても、社会の不安定さが高まるだけのような気がします。今のベーシックインカムの議論はこの”稼ぐ”・”分ける”・”使う”の3つのフェーズでいうと特に”使う”の部分に関しての議論が不十分だと感じてしまいますね。生存に対するコストがどれくらい下がりますかということをちゃんと議論しなきゃいけないんじゃないかと思います。

──生存コストを大きく下げる方法って、たとえばイノベーションでということでしょうか。

ええ、基本的には技術革新ですよね。あと経済もひとつです。VCモデルがシリコンバレーを大きくしたのと同じように、お金の循環のモデルと技術革新のふたつの掛け算が社会の生産性とかを高めていく。これがどうなるのか。また我々がどう受け止めるかですよ。

受け止め方をどうするか、というこの問いを深めていくと、最終的には個人のマインドに行き着く気がします。結局、どれくらい子どもを産みたいかどうかになる。たとえば何人産んでも食っていける、教育にもコストかかりませんとなったとき、ヒトはどれくらい子どもを産みたくなるのか。

昔は産んだ後に口減らしというものがあって調整していたわけです。つまりとりあえず種としては産みたかったわけです。では、一方で現代はどうか。人類の生産性に対して地球の環境がサステナブルかという問題もあるけれども、食事の生産量的には全世界の人々が飢えずにすむと。世界中で食糧はあり、分配の問題だと言われているわけです。

昔に比べれば、口減らしの必要がなくなってくる。先進国では必要なくなっているし、途上国でもだんだんそうなってきたとき、さらに人口を増やそうとなるかどうかですよね。増やそうとなるなら、結局イタチごっこになり生産コストは下がっていかないけど、人類はもう増えなくてもいいかなーという感じになりそうな気がするんですよね、今の様子を見ていると。

──ただずっと均衡したままでいくとは限らないですよね。

そうそう。外部環境を踏まえて我々のマインドがどう変化するかですよね。それが結果として、種としてどう残っていきたいかみたいなところになるかなと。

種の進化みたいなものを考えたとき、遺伝子の突然変異というイノベーションを繰り返しながら、結果的に適応したものが残ったわけですよ。ヒトも今の所残っている。

しかし、ヒトに関して言うと、いわゆる遺伝子レベルでの進化の側面と、たとえば社会との共進化の二つの側面がある。後者について、ヒトは道具を使って身体性を拡張してきたし、メタ認知能力もあって、他者の気持ちも分かる。そうして社会というものを作ってきた。人間そのものとしては、それこそ4000年前とか1万年前とそんなに変わってないはずなんだけど、技術や社会との共進化のなかで、我々の”できること”というのは、突然変異以上のレベルで進化してきてはいないか、と考えるわけです。

身体性の拡張という観点でいっても、たとえば人間が外部メモリをつけられるとなったら、脳の容量が増えた新しい種族が生まれてくるのを待たなくていいし、それは遺伝子レベルの進化よりもよっぽど革新的な変化なわけで。

なので種としての人類がどの方向に行くのかをすごく考えさせられます。
僕が所属していた研究室でのテーマである人工生命(A Life)の研究が結局どこに行き着くかというと、モチベーションの研究です。なぜ生命は種を残したいと思うのか。なんでそういうモチベーション持ってるの?ということです。

人工知能は今の所そういうモチベーションを持ってないですよね。人工知能などが進化していくなかで、これから先、人類はもしかすると、種を存続するほうにモチベーションを持たないかもしれない。SF小説とかで散々言われてきた内容だと思いますけど。

僕はもともと人間と社会の相互作用にとても興味があって、そういう未来の社会と人間のあり方についても今後もより深めて考えていければと思っています。

お金や投資の話を周囲としない現状はよくない

──ところで安部さんは資産運用や投資についてどう考えてらっしゃいますか。

いいんじゃないですか。少なくともたんす預金や銀行に預けるよりは。個人にとっても社会にとっても。お金を使って社会の前進にレバレッジをかけて欲しいと思うんですよ。資本主義のいいところはクレジット(信用)を作ったり使ったりできること。いい面も悪い面もあるでしょうが、信用創造できるという側面はおおいに評価すべきだなと思います。

ただ世界的にも日本を見ても金余りといわれているこの様子を見ていると、人間が信用創造とか、クレジットをもとにレバレッジをかけることに対して過信しちゃったようにも思います。

金融の役割も必要なのだけど、金融が行きすぎてしまっているのなら、社会全体で現業にインセンティブを与えるしかないと思うんですよ。これは現業を行なっている人々へのインセンティブですから、基本的にはマジョリティが支持するという意味で政治的にも促しやすい。そういう風に社会が動けば、若いうちは資産運用で金を増やすよりも、どうやって現業を作っていくかに時間を割いたほうがいいか、というふうにはなると思います。
金融的な部分と現業的な部分の歯車が上手に噛み合って機能するような社会にしていきたいですよね。

──同世代で株式投資などの話をすることがありますか?

僕も株を買いますが、そういう話は周囲とはあんまりしないですね。でも確かにしないのはよくないですよね。普通に「お金は汚いもの」と思っている人がまだいっぱいいるんじゃないかな。学校教育でもやらないですから。これは問題ですよね。

お金という発明品の本質を学ばせないと、未来にお金とか貨幣とかの意義や立ち位置がどう変わっていくかを考える機会がなくなっちゃいますよね。短期的な金融という観点も必要だし、長い目で見るときに人類史のなかでも相当大きな発明である貨幣というものの本質を理解しないと、それを乗り越えるものを作っていけないじゃないですか。

僕個人としては社会性を可視化してそこに貨幣的な価値をどうつけるかをテーマとして持っているので、お金のありかたを、本質に基づいて考えていきたい。そして、そういうことを考えられる人を増やしたほうがイノベーションの確率も上がると思うんです。その意味でも、人類社会とお金や貨幣の関係を考える機会を学校教育が避けているいまの状況は危険だなと思います。もっと教えたほうがいい。

(ZUU online 編集部)

すごいお金持ちがいたとして、その人がどうやって財産を獲得して来たのか、やっぱり気になっちゃうじゃないですか。その好奇心というのは人間の本能的な欲求ですし、今はそれに応えるだけのテクノロジーが存在していると思うんですよね。

2017/05/04   Written by 濱田優

障がい者と健常者選手 下諏訪で合同水泳合宿

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諏訪、上伊那地方のスイミングクラブの選手と松本市を拠点に活動する障がい者水泳クラブ「ウルトラ☆スターズ」の選手が参加する初の合同合宿が3日、下諏訪町西浜のAFASスワのプールで始まった。障害の有無に関係なく一緒に練習を重ね、それぞれの目標に向けて切磋琢磨し、実力アップを目指す。

合宿は諏訪地方の選手の競技力向上を目的に、諏訪以外の選手にも参加を呼び掛けて毎年開いており、今年で7年目。今回は119人が参加して5日まで同町と箕輪町の2会場で行われる。レベルや種目に応じて10グループに分かれ、それぞれの練習メニューをこなす。

「ウルトラ☆スターズ」の参加は今回が初めて。同クラブの選手にとってはほかのスイミングクラブの選手とともに高いレベルの練習ができる。健常者の選手にとっては「ウルトラ☆スターズ」の選手の練習に臨むひたむきさを近くで感じられるという相乗効果が期待されている。

合宿に参加した選手たちは中体連、高体連、日本知的障害者選手権水泳競技大会、ジャパンパラ水泳競技大会などでの健闘を誓い、練習に励んでいる。

「ウルトラ☆スターズ」の木下翔平さん(26)=安曇野市=は「合宿では、スピードアップを目標にしたい」と意気込み、ジャパンパラに出場する小祝千果さん(19)=松本市=は「大会での自己新を目指してこの合宿を頑張りたい」と語った。

練習に励む「ウルトラ☆スターズ」の選手ら

2017年5月4日   長野日報


愛知県、障害者就労支援に力、ワースト2位の汚名返上へ

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 愛知県が障害者雇用支援を強化している。昨年度、障害者雇用について企業からの相談に応じる専用窓口を開設。本年度は障害者を初めて雇用する中小企業に助成金を支給する全国的にも珍しい制度をスタートした。支援策を相次ぎ拡充するのは、中小企業で雇用がなかなか進まないことが背景にある。

2017年 5月 4日    中部経済新聞

障害者就労 農業へ広がれ

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土沢地区の生産者人手不足解消に期待

 就労機会を求める障害福祉施設と高齢化や担い手不足に悩む農家が連携する地域振興モデルを確立しようと、官民一体の「農福連携プロジェクト」が土沢地区で進められている。プロジェクト開始から4年、知的障害者がどのような作業で力を発揮できるのか実地試験を重ね、試行錯誤している。

 同プロジェクトに参加する「ひらつか障がい福祉ショップ運営協議会」(高橋眞木会長)は市内34施設で組織。各施設では、福祉に理解のある企業から受託した軽作業をはじめ、パンや工芸品といった自主製品の販売などに取り組みながら、知的障害者が工賃や生きがいを得られる場を提供している。

 農福連携プロジェクトは、こうした障害者の就労機会を地域農業へと拡充しようという取り組み。就労を受け入れる農家にとって、人手不足の解消につながるという期待がある。

 国の調査「農林業センサス」によると、平塚市の農業従事者の平均年齢は2000年が54・9歳だったのに対し、15年は62・0歳と、高齢化が進む。担い手不足も深刻だ。

 プロジェクトの実地試験が行われている土沢地区では、300世帯が農業に従事しているものの、4000aの耕作放棄地を有す。市がアンケートをした結果、有償でも障害者に農作業を手伝ってほしいと、農家16件が就労の受け入れに手を挙げた。

 課題となっているのは、剪定や収穫、青果物の梱包といった一連の農作業で、知的障害者がどのように活躍できるのか、そのシステムの構築だ。市はこれまで5回の実地試験を重ね、延べ100人以上の知的障害者が参加。タマネギ畑の除草やネギの収穫、出荷用ビニール包装など、開催ごとに参加者の得手不得手を確認してきた。

 最も成功を収めたのが、昨年12月に実施されたハウスキュウリの苗の撤去作業だったという。障害者4人と支援員4人が、収穫が終わった苗を台車に乗せ廃棄場所まで運び出したり、自動水やり機のパイプを解体したりと、広さ10aのビニールハウス内を約2時間で片付けた。

 撤去作業を依頼した布施喜英さんは、「普段は2人で作業に取り組んでも一日かかるが短時間で終わらせてくれた」とその働きぶりに目を丸くする。JA湘南関係者は「ハウス栽培は天候に左右されにくい上に、農家ごとで栽培時期が異なるから、年間を通してニーズがある」と期待を寄せる。

 同運営協議会の高橋会長は、「このモデルが各地域に根付けば、知的障害のある方々が地域のなかで就労する場が確保できるのでは」と実現を心待ちにしている。

2017年5月4日   タウンニュース

夫は発達障害? 苦しむ妻らへ、支援団体が小冊子

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 発達障害やその可能性のある夫との関係に苦しむ妻らに向け、支援団体が小冊子「パートナーがアスペルガーかな?と思ったあなたへ 脱出カサンドラ/入門編」を発行した。障害の特性や対応策の例、妻らの苦悩を和らげる方法などを紹介している。

「夫に発達障害の疑い」 言動に悩む妻、各地に自助会も

 発達障害の一つ、アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の人は、相手の心情を想像するのが苦手といった特性がある。障害のある配偶者を持つ人は、相手の言動に傷つき、その苦しさを周囲にも理解されず、心身に不調をきたすこともある。その状態は「カサンドラ症候群」とも呼ばれる。

 冊子は、障害のあるパートナーへの対応について、「感情的な伝え方は、最も苦手なことのひとつ。要件を箇条書きにして伝えましょう」「口頭での連絡は避け、スケジュール表やメールなどの視覚伝達を」などと例示している。

 カサンドラを脱出するために、自助会に参加するなど仲間とつながる▽DVに発展しかねないような場合は別居も必要▽自分を優先する、などと助言する。自助会や関係機関、図書の紹介もある。

 冊子を発行した「アスペルガー・アラウンド」は、カサンドラ症候群の人を支える非営利団体。性別は問わず、きょうだいや職場関係者も支援対象にしている。代表のSORAさんは、「障害に気づいてもどうすべきかわからなかったり、相談相手がいなかったりする人もいる。正しい知識を得て、カサンドラから回復する一助としてほしい」と話す。

 A5判26ページ、税込み280円(送料別)。同団体のサイト(http://asperger-around.blog.jp/別ウインドウで開きます)から申し込む。

 <アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

アート展8日まで 蔵まえギャラリー

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 「湘南vividアート展」が5月8日まで、蔵まえギャラリー(藤沢630の1)で開かれている。時間は午前11時から午後6時(最終日午後4時)まで。

 4回目となる今年は、プロやアマ、障害者などのアーティストが描いた作品130点が展示されている。

 綿棒で描かれた絵画や、デザインした小さなマス目に色を塗ったマス目絵画、修正ペンで非常に細かく点描した風景画など、オリジナルの作品が並ぶ。

 期間中は、プロの似顔絵作家が描いてくれる「似顔絵アート(有料)」、出展作家の作品が購入できる「ミニアートバザール」、6日午後1時からは「サックスと書のコラボパフォーマンス」も行われる。

 問い合わせは蔵まえギャラリー【電話】0466・25・9909へ。

山下雄平作『マンドリル』   2017年5月5日   タウンニュース  

GWバージョン? 落書き地下鉄、連休の神戸走る

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 4日午前5時すぎ、神戸市須磨区中落合の市営地下鉄名谷駅構内で、発車前の点検をしていた乗務員が、車両にスプレーを吹き付けたような落書きがあるのを見つけた。須磨署が器物損壊容疑で調べている。

 市交通局によると、落書きがあったのは6両編成のうち2両。それぞれ縦約1メートル、横約15メートルにわたり、赤やピンク色でアルファベットが書かれていた。車両は同日午前0時半ごろまで運行した後、ホームに停車していたという。

 この車両は、谷上行きの始発として乗客を乗せ、ダイヤ通り運行。同6時35分に名谷駅に戻った後、別の車両と交換した。ダイヤに乱れはなかった。

画像 落書きされた車両=神戸市須磨区中落合   2017/5/4    BIGLOBEニュース
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