鳥取県は、障害者グループホームやケアホームについて、県内の施設の9割が既存住宅を転用した小規模施設である実態を重視し、建築基準法の防火基準を決める建物の用途について、ホテルや旅館並みの「寄宿舎」の取り扱いから、火を使わないなど一定の条件を満たした場合は「住宅」として取り扱うことを決め、2月から運用を行っている。
同法を厳格に適用した場合、大規模な改修が必要となり、閉鎖を余儀なくされる施設が出てくる可能性があるという実情を反映させた運用だが、一方で小規模な施設でもスプリンクラーの設置は必要という声もあり、課題は多い。
建築基準法では用途に関する明確な規定がないが、国は「食堂や浴室などが1か所、または数か所に設けられているグループホームについては、原則、寄宿舎として取り扱われている」との見解を示している。
既存住宅を転用した小規模な施設にまで一律に同法を当てはめると、防火間仕切り壁や非常用照明の設置など、大規模な改修が必要になる。昨年、県西部の小規模な障害者グループホームで同法違反が指摘され、閉鎖になった施設もあった。
県は県内の認知症グループホーム74施設については、これまで長崎市や札幌市などのグループホームで死傷者を出す火災が起きていることを踏まえ、従来通り「寄宿舎」として防火基準を適用。スプリンクラーは消防法の適用面積にかかわらず、全施設で設置されている。
一方で、障害者グループホームやケアホームについては、昨年8月に145施設のうち、約4割に当たる55施設を抽出し、立ち入り調査を実施。「寄宿舎」とした場合、9割が基準を満たしていなかった。
県はこの調査を受け、福祉、建築、消防の関係機関で協議。「同法の用途については、建築主事が個々に判断する」とした国の見解を踏まえた上で、障害者が暮らす施設として安全性が確保された場合に限り、既存住宅の転用施設については「住宅」として取り扱うことを決めた。
用途を「住宅」とする条件としては▽2階建て以下(地下含まず)▽延べ床面積が200平方メートル未満▽全室で火気の使用がない――など、8要件全てを満たす場合に限定している。
ただ、長崎市の認知症グループホームで5人が死亡した火災では、リコール(回収・無償修理)対象の加湿器が火元とみられることなどを受け、2月25日の県議会福祉生活病院常任委員会では、小規模な障害者用施設でもスプリンクラー設置をさらに進めるなど、対策を求める声が上がった。
県によると、障害者の145施設のうち、これまでスプリンクラー設置の義務が課せられた施設はなく、簡易型を含め任意で21施設が設置を行っているという。既存住宅を転用した小規模施設の場合、費用面の問題のほか、賃貸物件は大家の理解が得られないなどの理由で、設置が進まないことも報告された。
県は「長崎市での火災報道を深刻に受け止めており、関係各機関で協議し、対応を考えていきたい」としている。
(2013年3月16日 読売新聞)
同法を厳格に適用した場合、大規模な改修が必要となり、閉鎖を余儀なくされる施設が出てくる可能性があるという実情を反映させた運用だが、一方で小規模な施設でもスプリンクラーの設置は必要という声もあり、課題は多い。
建築基準法では用途に関する明確な規定がないが、国は「食堂や浴室などが1か所、または数か所に設けられているグループホームについては、原則、寄宿舎として取り扱われている」との見解を示している。
既存住宅を転用した小規模な施設にまで一律に同法を当てはめると、防火間仕切り壁や非常用照明の設置など、大規模な改修が必要になる。昨年、県西部の小規模な障害者グループホームで同法違反が指摘され、閉鎖になった施設もあった。
県は県内の認知症グループホーム74施設については、これまで長崎市や札幌市などのグループホームで死傷者を出す火災が起きていることを踏まえ、従来通り「寄宿舎」として防火基準を適用。スプリンクラーは消防法の適用面積にかかわらず、全施設で設置されている。
一方で、障害者グループホームやケアホームについては、昨年8月に145施設のうち、約4割に当たる55施設を抽出し、立ち入り調査を実施。「寄宿舎」とした場合、9割が基準を満たしていなかった。
県はこの調査を受け、福祉、建築、消防の関係機関で協議。「同法の用途については、建築主事が個々に判断する」とした国の見解を踏まえた上で、障害者が暮らす施設として安全性が確保された場合に限り、既存住宅の転用施設については「住宅」として取り扱うことを決めた。
用途を「住宅」とする条件としては▽2階建て以下(地下含まず)▽延べ床面積が200平方メートル未満▽全室で火気の使用がない――など、8要件全てを満たす場合に限定している。
ただ、長崎市の認知症グループホームで5人が死亡した火災では、リコール(回収・無償修理)対象の加湿器が火元とみられることなどを受け、2月25日の県議会福祉生活病院常任委員会では、小規模な障害者用施設でもスプリンクラー設置をさらに進めるなど、対策を求める声が上がった。
県によると、障害者の145施設のうち、これまでスプリンクラー設置の義務が課せられた施設はなく、簡易型を含め任意で21施設が設置を行っているという。既存住宅を転用した小規模施設の場合、費用面の問題のほか、賃貸物件は大家の理解が得られないなどの理由で、設置が進まないことも報告された。
県は「長崎市での火災報道を深刻に受け止めており、関係各機関で協議し、対応を考えていきたい」としている。
(2013年3月16日 読売新聞)