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障害者虐待:認定758件…防止法後3カ月、本紙調査

 昨年10月に施行された障害者虐待防止法に基づき各自治体が虐待通報を受け付け始めておおむね3カ月間で、認定された障害者虐待が全国で758件に達したことが毎日新聞の調べで分かった。障害者虐待を巡る国の統計はこれまでなく、全国レベルで総数が判明するのは初めて。専門家は「全体像が不明だった障害者虐待に対応する上で貴重なデータだ。施策に生かしてほしい」としている。

 防止法は、通報窓口の設置を都道府県と市区町村に義務付け、初期対応は市区町村が担う。毎日新聞は、都道府県を通じて市区町村を含む虐待の通報・対応状況を照会。39都府県は昨年末までの3カ月間の状況を回答し、一部の県などは施行後2カ月など把握済みのデータを回答した。

 この結果、通報総数は47都道府県599市区町村で2529件(市区町村分2340件)に上り、このうち虐待があると認定されたのは44都府県318市区町村の758件。家族からの虐待が655件で86.4%を占め、入所先など福祉施設職員による虐待は67件(8.8%)、職場での虐待は36件(4.7%)だった。

 虐待内容は、把握している43都府県の複数回答(延べ1055件)でみると、身体的虐待40.2%、暴言などの心理的虐待23.4%、年金や賃金の搾取などの経済的虐待17.3%、介助や必要な治療をしないなどの放置12.7%、性的虐待0.6%。被害者の障害の種別は、把握している36府県の複数回答では知的障害が46.9%と最も多く、精神障害は28.3%、身体障害は21.5%。

 通報2529件の場所の内訳は、家庭1721件、施設590件、職場186件など。家庭での虐待は市区町村だけで対応するのに対し、施設は監督権限がある都道府県と連携、職場は厚生労働省が各都道府県に置く労働局と連携するため対応に時間がかかるとされ、虐待と認定されていない通報の中にも、調査中のケースが相当数あるとみられる。

 元厚生労働省障害福祉専門官の大塚晃・上智大教授(障害者福祉)は「深刻な被害が生じた反省から法律で通報制度ができたが、これだけの数字が出るのは予想以上。切実な支援を求められる本人や家族が一定規模で存在する手がかりが初めて示された。必要な援助体制や受け皿づくりにつなげる必要がある」と話している。

毎日新聞 2013年03月21日 15時00分

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