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手話通訳者などの養成講座

 2018年の福井国体と同時に県内で開かれる「全国障害者スポーツ大会」を控え、聴覚障害者を支援するための手話や要約筆記を行うボランティアの確保が急務となっている。県は500人のボランティアが必要としているが、12年4月現在、県内でその技術を持つのは223人と、半数に満たない状況だ。このため県は、手話通訳者などの養成講座の開催数を増やし、準備に本腰を入れる。(酒本友紀子)

 同大会は国体開催後に県内各地で行われ、陸上や水泳など13競技に選手約3500人が参加する。

 県は、聴覚障害を持つ選手や観客に対応するため、手話や要約筆記ができる「情報支援ボランティア」を会場の救護所や最寄り駅などに配置。開会式では大型スクリーンに手話通訳者や文字を映し出して状況を伝え、競技場近くに設けたホワイトボードに文字を書き込んで競技の経過も説明する。

 大会開催にはボランティアの存在が不可欠だが、県によると、聴覚障害者支援のための市町の派遣制度に登録している人は223人。内訳は、手話通訳者54人、手話奉仕員104人、要約筆記奉仕員65人。聴覚障害者の支援団体は「実際に活動している人は少ない」と指摘する。

 養成には一定以上の時間がかかる。日常会話ができる手話奉仕員は2年間で80時間、県の講座を受講する。より専門的な知識が必要な手話通訳者は、さらに3年かけて90時間、受講し、全国統一試験に合格する必要がある。来年度以降、国がカリキュラムを改訂する予定だが、手話通訳者の資格取得には最短でも3年は要する。

 要約筆記奉仕員は、県内の場合、1年間で110時間の講座を受けるとなれるが、より専門性の高い要約筆記者になるには、やはり全国統一試験をパスしなければならない。県内では13年度に初実施の予定で、今のところ、県内在住の有資格者はゼロだ。

 12年に同大会を開催した岐阜県では、3年前から準備を開始。手話ができる人を対象に研修を行うなどして約560人の態勢で臨んだ。同県の担当者は「手話通訳者など上級者が少なかったため、やり繰りに苦労した。ボランティアは多いほどいい」と話す。

 福井県は13年度、これらの養成講座の受講者定員を12年度の190人(実際の受講者は102人)から315人に増やし、5月から講座を始める。

 問い合わせは4月11日以降に、県の委託で講座を担当する県聴覚障がい者協会(0776・63・5572)へ。

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県内で開かれている要約筆記の講座。全国障害者スポーツ大会を5年後に控え、要約筆記や手話通訳ができる人の確保が急務となっている(2010年5月、坂井市で)

(2013年4月10日 読売新聞)

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