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Channel: ゴエモンのつぶやき
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仕事生み戦力に 国内外から注目

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 精神障害者の働く場が今後増えそうだ。厚生労働省は精神障害者の雇用を5年後に義務づける法案の今国会提出を目指している。すでに精神障害者を多数雇い、海外からも注目されている鎌倉市のIT関連企業の取り組みをみた。

 3月中旬の夕方、東京・秋葉原駅近くのオフィスビルの30階。「富士ソフト企画」(鎌倉市)の秋葉原営業所の社員11人が忙しく働く。全員、精神障害がある。

 リーダーの堀越隆之さん(47)は、同じビルに入る親会社のソフトウエアメーカー「富士ソフト」から受け取った荷物を、横浜市の本社に発送する準備をしていた。サブリーダーの大塚経さん(45)は、親会社の郵便物を郵便局まで出しに出かけた。堀越さんは、くも膜下出血が原因で物が覚えられなくなり、勤めていたゴルフメーカーをやめざるを得なかった。大塚さんは摂食障害がある。

 富士ソフト企画は、富士ソフトなどグループ8社が関わり、2000年から障害者の雇用を積極的に始めた。148人の社員のうち、障害者が124人を占める。精神障害者は03年から採用を始め、現在では半数以上の67人にのぼる。

 堀越さんは、07年に同営業所を立ち上げた際のメンバーだ。最初は社内便と郵便の仕事しかなかったが、親会社にかけ合い、少しずつ仕事を増やしてきた。今はグループ会社から依頼されたデータ処理や資料作成、イベントの手伝いなども手がける。「忙しすぎて、息つく暇もないぐらい」と苦笑する。

 仕事は、なるべく2人1組。ミスを防ぐ目的のほか、突然の体調不良で急な欠勤もあり得るからだ。同営業所の花園一晃さん(37)はそううつ病で会社を休むことも多かった。そんな時、同期の社員が電話で「一緒に頑張ろうよ」と声をかけてくれた。「仲間に守られている、という安心感がありますね」

 人材開発グループ長の遠田千穂さん(37)は「互いに支え合うので、離職率も低くなる。そして障害者が働きやすい職場は、健常者にとっても働きやすい職場なんです」と語る。

 同社の社員が、県の障害者向け職業訓練の講師を務めたり、親会社でうつ病になった社員の復職プログラムを作成したりする取り組みは、海外からも関心を集め、昨年は国内外から約250件の見学を受けた。

■県も仲介・定着支援

 障害者雇用促進法は、企業が身体・知的障害者を雇用する割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけている。3月までは1・8%だったが、この4月からは2・0%に引き上げられた。法定雇用率に達しない企業は、ペナルティーとして納付金が徴収され、改善が見られない場合は企業名が公表される。

 県によると、県内の企業の障害者雇用率は、昨年6月現在で1・63%で、全国36位。1・8%を達成している企業は45・1%にとどまり、全国43位と低い。

 義務づけは身体・知的障害者のみで、精神障害者は義務づけられていないが、雇えば雇用率に含めることができる。法定雇用率が0・2ポイント上がったことに加え、5年後に精神障害者の雇用義務づけが実現することになれば、精神障害者の雇用は加速しそうだ。

朝日新聞-2013/04/09

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