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被災地の思い知って、桜美林大で絵画や作文など展示へ/相模原

 東京都町田市の桜美林大学で3、4両日に行われる大学祭で、東日本大震災の被災地から寄せられた作品が展示される。絵画や作文、「感謝」の文字が記された色紙など約30点。うち福島の作品は、相模原市に移住してきた障害者の橋渡しで集められた。主催の学生は「作品を通じ、被災地の思いを知ってほしい」と話している。

 福島県いわき市の女性が寄せた文章にはこうある。

 〈今でも余震は続き余震がくる度恐怖を感じます〉

 障害のため車いす生活。昨年の3月11日、ガソリン不足と渋滞でヘルパーがたどり着けず、空腹に震えた。そして福島第1原発の爆発。ヘルパーとともに車で8時間かけ都内へ逃げた。

 作品展「今ここにある想い」を企画した4年生の江口亜由美さん(23)=茨城県常総市=はいま「風化させまい」の思いを強くする。

 「震災は社会のさまざまな問題に気付くきっかけになった。でも多くは、思いを口にする場がなく孤立している。考え続けるには人々がつながらなければ」
 より広く関心を、と考えついたのが視覚に訴えるアートだった。

 「壁」は江口さん自身にもあった。福島の被災者には「放射能の複雑な問題もある。作品を頼んでいいものか、変な気を遣っていた」。

 取り払ってくれたのが、福島からやって来た小野和佳さん(29)。福島には放射能への不安から避難したくてもできない障害者がいる。小野さんは同じ障害者である後藤弘樹さん(30)と相模原市中央区のアパートに移り住み、避難受け入れの支援活動を始めていた。大学に協力を得ようと連絡したのがきっかけで、知り合った。

 原発事故の被災者で、車いすの障害者でもある。行動する小野さんの姿に固定化されたイメージが覆された。同じ企画メンバーの4年生、藤本真璃子さん(23)=川崎市高津区=は「ハンディや葛藤は誰しもが抱えている。障害のあるなしを超えて思いを共有できるはず」。被災地を見詰め、寄り添う意味をそこに見る。被災地の苦しみは、いまの社会全体が抱えたひずみでもあると思うからだ。

 福島から絵画4点、作文7点、織物1点が集まった。障害者仲間に呼び掛けた小野さんは「作品を通じ、それぞれの思いを感じてもらえれば」と話している。

 会場は同大荊冠堂チャペル地下1階。午前9時〜午後5時。3日午後1時からは太平館A201号室で「震災から見つめなおす豊かさとは」をテーマに来場者によるトークセッションもある。

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福島との橋渡し役となった小野さん(左)と後藤さん=相模原市中央区

カナロコ(神奈川新聞)-2012年11月1日

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