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カレッジ北九州:知的障害者向け4年制教育機関、来春発足

 特別支援学校高等部を卒業した知的障害者向けに、大学を模した4年制の教育機関「カレッジ北九州」が来年4月、北九州市で発足する。知的障害者は就職後、周囲とコミュニケーションがうまくとれず、退職するケースも多いといい、「カレッジ」では主にコミュニケーション能力を身につけてもらう。福岡市、長崎県大村市に続く3カ所目の開設となり、九州は「カレッジ」の先進地になりつつある。

 運営するのは3カ所とも社会福祉法人「鞍手ゆたか福祉会」(福岡県鞍手町)。同会によると、一般の高校にあたる特別支援学校高等部は、就職用の技術指導が中心で、社会に出た際に必要なコミュニケーション指導まで十分に行き届いていないのが現状。このため、卒業後に就職しても周囲とのコミュニケーション不足から仕事が長続きせず、離職すると再就職が難しいことが課題となっている。高等部の後に2年間程度、職業訓練を行う「専攻科」がある特別支援学校は全国で12校しかない。

 カレッジ北九州は、厚生労働省の「自立訓練事業」と「就労移行支援事業」を活用して設立する。運営費と教員の人件費は国からの支援費で賄う。

 一般大学を模して1、2年生は教養課程、3、4年生は専門課程となり、コミュニケーション能力を高めるためのグループ学習や職場体験、面接の練習なども実施する。入学金・授業料は無料で定員は各学年20人を予定している。ビルの1フロアを借り上げ、特別支援学校の教員免許を持っている人など教員4人でスタートする予定。

 同会は昨年に「カレッジ福岡」(福岡市東区)を、今年は「カレッジながさき」(長崎県大村市)を発足させ、現在、両校で18歳から20歳代後半までの計18人が学んでいる。長谷川正人理事長(52)は「社会に出るには高等部の3年間だけでは不十分。4年間学び、力と自信をつけてほしい」と語る。

 北九州市にも開設されることに、保護者の期待は大きい。全国障害者問題研究会会員の近藤和子さん(43)=同市小倉北区=は「よりよい就職につながる選択肢が増えるのはうれしい」と歓迎。長女芹香(せりか)さん(15)が市立小倉南特別支援学校高等部1年生で、卒業後の進学を考えている。

 神戸大大学院の渡部昭男教授(特別ニーズ教育論)は「社会に出るには何よりも彼らの『自信』が必要。在学中に成人を迎え、社会との関わりを深く考える場にもなれば」とエールを送る。

毎日新聞 2013年06月05日 15時00分(最終更新 06月05日 15時46分)

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