障害を理由にした不当な差別的取り扱いを禁ずる障害者差別解消法が19日成立した。1990年代に米国で同種の法律が施行された後、日本でも必要とする議論が長年あり、関係者にとっては待ちわびた法制定となった。公共機関だけでなく、民間企業にも差別解消のための「合理的配慮」を求める内容だが、何が差別に当たるのか、合理的な配慮とは何かの基準策定が、2016年4月の施行までの国の重要課題として残っている。
「差別は相手に対する無理解から始まる。理解が深まるきっかけにしてほしい」。生まれつき肛門のない「鎖肛(さこう)」のため生後直後に人工肛門の手術をした清水辰馬さん(61)=奈良県斑鳩(いかるが)町=は、法成立に声を弾ませた。
小中学生時代、腹部に布を巻いて通学したが、便で服まで汚れてしまうこともあった。いじめられ、囲まれて殴られたこともある。腹部を蹴られると命が危うい。地面にうずくまり、耐え続けた。
会社勤めなどを経て一昨年から、障害者差別禁止条例の制定を求める市民組織の役員として奔走。政権交代で新法制定機運が遠のいたのでは、と感じることもあったが、実態把握のため差別体験の聞き取りなどを続けた。
19日成立した新法は、公共機関と民間事業者に対し、過重負担にならない限り、障害者の性別や年齢、障害の状態に応じた「合理的な配慮」を行うよう求めた。ただ、条文に差別の具体的定義はなく、今後3年間で各省庁が定めるガイドラインが実生活に大きく関わることになる。
「家族経営の店にすぐエレベーターをつけろと言えない。事業者の規模や種別で線を細かく引くのは難しい」(経済産業省産業人材政策室)など、担当者からは困難な道のりを予想する声も出ている。施行後3年で見直すことが定められており、民間事業者に関し「努力義務」にとどめたことも見直しの焦点となる可能性が高い。
それでも誕生した新法に障害者団体の期待は熱い。清水さんは「差別の悩みを訴えても行政窓口で十分聞いてもらえなかった人は多い。今後も法運用に必要な体制作りを訴えていきたい」と話した。
毎日新聞 2013年06月19日 20時20分(最終更新 06月19日 21時49分)
「差別は相手に対する無理解から始まる。理解が深まるきっかけにしてほしい」。生まれつき肛門のない「鎖肛(さこう)」のため生後直後に人工肛門の手術をした清水辰馬さん(61)=奈良県斑鳩(いかるが)町=は、法成立に声を弾ませた。
小中学生時代、腹部に布を巻いて通学したが、便で服まで汚れてしまうこともあった。いじめられ、囲まれて殴られたこともある。腹部を蹴られると命が危うい。地面にうずくまり、耐え続けた。
会社勤めなどを経て一昨年から、障害者差別禁止条例の制定を求める市民組織の役員として奔走。政権交代で新法制定機運が遠のいたのでは、と感じることもあったが、実態把握のため差別体験の聞き取りなどを続けた。
19日成立した新法は、公共機関と民間事業者に対し、過重負担にならない限り、障害者の性別や年齢、障害の状態に応じた「合理的な配慮」を行うよう求めた。ただ、条文に差別の具体的定義はなく、今後3年間で各省庁が定めるガイドラインが実生活に大きく関わることになる。
「家族経営の店にすぐエレベーターをつけろと言えない。事業者の規模や種別で線を細かく引くのは難しい」(経済産業省産業人材政策室)など、担当者からは困難な道のりを予想する声も出ている。施行後3年で見直すことが定められており、民間事業者に関し「努力義務」にとどめたことも見直しの焦点となる可能性が高い。
それでも誕生した新法に障害者団体の期待は熱い。清水さんは「差別の悩みを訴えても行政窓口で十分聞いてもらえなかった人は多い。今後も法運用に必要な体制作りを訴えていきたい」と話した。
毎日新聞 2013年06月19日 20時20分(最終更新 06月19日 21時49分)