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Channel: ゴエモンのつぶやき
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母さん助けて詐欺:元「出し子」の後悔 障害者引き込まれ

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 警視庁が「母さん助けて詐欺」と改名した後も被害が絶えない振り込め詐欺。現金を引き出す役割の「出し子」として有罪となった30代の男性は難聴で仕事がないことを見透かされ、詐欺集団に引き込まれていた。同じように障害者が振り込め詐欺で金の受け取りなどに使われる事例は多いという。今は東北で放射能の除染作業に従事する男性を訪ねると、「被害者の方々に申し訳ない。利用されるのは僕だけで十分です」と声を落とした。

 2011年4月。男性は関東でその日も運転手や別の出し子との3人でワンボックスカーに乗っていた。金融機関を1日に何軒も回って現金を引き出し、運転手に渡す役割だった。郵便局から少し離れた場所で車を降り、他の2人は車中で待機した。記帳のためATM(現金自動受払機)に通帳を入れると、機械が停止した。運転手に携帯電話で報告すると、「やばい。逃げろ」と告げられた。電話が切れた時には、職員3人に囲まれていた。

 「詐欺未遂容疑で逮捕する」。警察署に連れて行かれ、逮捕された。詐欺の被害金を引き出そうとした容疑だった。「なぜ逮捕されたのか分からず、混乱した」と振り返る。

 中学生の時、左耳が聞こえなくなった。6回手術を受けたが、回復せず、高校卒業後、飲食店など十数カ所を転々とした。意思疎通の難しさなどが原因で長続きしなかった。

 「名前を貸す仕事がある。犯罪じゃない」。同郷の知人に誘われたのは10年6月。貯金が底をつき、親の支援で何とか暮らしていた時期だ。飛びついた。間もなく、ある会社の社長として自身が登記されたと知らされ、会社名義の口座に振り込まれる預金を引き出すよう指示された。別の会社の口座からも金を引き出すようになり、多い日は計2000万円も引き出した。報酬30万円が月末に運転手から手渡された。

 「何のカネなのか」と知人に何度も尋ねたが、「悪いカネじゃない。大丈夫」と答えるのみ。知人はその後、「出し子」のスカウト役として逮捕された。

 男性は大阪地裁で11年10月、架空会社の口座から振り込め詐欺の被害金30万円を引き出そうとした詐欺未遂と、被害金820万円を引き出した詐欺の罪で懲役3年(執行猶予4年)を言い渡された。その後、指名手配中だった知人に会い、判決の話をすると、声を上げて笑った。「許せない」。心の中でつぶやくしかなかった。

 釈放前から除染と決めていた。誰でもすぐに雇ってくれると聞いていたからだ。月給二十数万円。「被ばくは心配だが、犯罪か被ばくかだったら、絶対に被ばくを選ぶ」という。ただ、将来への不安がある。除染の仕事が数年後にはなくなるかもしれないからだ。「もう人に迷惑はかけたくない。障害があっても仕事が見つかる環境があれば……」と男性は願う。

 「出し子の中には、障害があったりして就職できない人が少なくない」。ある捜査関係者は打ち明ける。警察庁によると、2012年の振り込め詐欺を含む特殊詐欺事件の検挙人数は1523人。うち「出し子」や被害者から現金を直接受け取る「受け子」など末端の役割が半数以上の899人だ。出し子や受け子は防犯カメラに映ったり、被害者と接触したりするため、検挙されやすい。振り込め詐欺に詳しい中井真雄弁護士(大阪弁護士会)は「詐欺グループは『捨て石』になる人材を探している。身体障害者だけでなく知的障害者が検挙された例もある。彼らが犯罪に加担しないようにする方策を社会全体で考えていかなければならない」と指摘する。

毎日新聞 2013年06月20日 07時37分

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