障害者陸上競技に取り組む福知山市広峯町の大槻浩二さん(51)が、障害者区分F55クラスのやり投げで、13年世界ランキング8位につける22メートル66の日本新記録を樹立した。IPC(国際パラリンピック委員会)B標準記録を突破しており、日本代表選手の強化指定が確実視される。
F55は、腕は自由に使えるが車いすを常用する人らのクラス。世界8位の記録は大阪市内で8、9日に開かれた第24回日本身体障害者陸上競技選手権大会で大槻さんが優勝した時のもの。
もともとやっていた砲丸投げと円盤投げの記録が伸び悩み、気分転換にと昨年始めたやり投げが急速な成長を見せている。
すぐに頭角を現し、今春にそれまでの日本記録を約1メートル上回る18メートル69を出して日本記録保持者になった。更に練習を重ねて挑んだ選手権で、IPC・B標準記録の22メートル10を上回る会心の投てきが決まった。
投てき台に座って利き手にやりを持ち、腹筋が使えないのでもう一方の手で支えの棒を握り構える。下半身の「ため」の代わりに、棒を引く力をうまく連動させてやりを放つ。
世界1位の29メートル77を「夢のように遠い記録ではないはず」と大槻さん。「手を放すタイミングが分かってきたし、記録はまだ伸びると思う。国際パラリンピックに出て入賞したい」と意欲を燃やす。
■障害者スポーツの注目度を高めたい■
記録が伸びていくことはうれしいが、障害者スポーツが置かれている苦しい現実がある。
大会会場への移動は家族や周囲の人たちの協力がなければ難しい。遠征費もほぼ自腹で、「遠すぎると行けない。障害者はお金がないとスポーツが出来ないというのは悲しい」と話す。
障害者スポーツの注目度を高めていきたい。そのために自分が出来ることは「結果を残すしかない」。
次は9月に山口県であるジャパンパラ陸上競技大会に出場して記録更新を狙う。
両丹日日新聞2013年6月21日のニュース