鳥取市の看護師の女性2人が、精神障害者専門の訪問看護ステーションを市内で立ち上げた。県東部では初めて。長い精神科勤務の経験を土台に、入院が長期化しがちな患者の退院や退院後の暮らしをサポートする。2人は「患者さんの人生を豊かなものに」と張り切っている。
「やらなかったらきっと後悔すると、思い切った」。訪問看護ステーション「結(ゆい)」を立ち上げた所長の小林美加さんと副所長の枡田京子さんは話す。市内の精神科がある医療機関で、小林さんは13年、枡田さんは22年働き、退職前は同じ勤務先だった。
設立はある研修会がきっかけ。島根県出雲圏域の精神障害者の退院や生活支援に関わる看護師と知り合った。2011年秋、勤め先の有志でその支援の状況を視察した。
「とにかく衝撃を受けた」と2人。「自分たちなら退院や地域生活はできないだろうと思う症状の患者もすんなり退院の対象だった」(小林さん)。それを受け止められるだけの関係機関の充実した支援ネットワークもあった。「病院は患者さんの悪い時期を治療して安定させる場であって、一生を送る場ではない。あるべき姿はこれだと思った」と枡田さんは振り返る。
2人は精神障害者専門の訪問看護ステーション設立を決意。出雲市はもちろん、岡山、大阪など、先駆者らのステーションの視察を重ねて準備し、ことし4月に「結」を鳥取市的場2丁目に構えた。退院支援から退院後の支援体制の構築、地域生活の代行ではない、あくまでも自立した生活を送るための指導やサポートを訪問して行う。
長年の経験で精神科患者の病状悪化のサインや緊急対応の必要性の有無などを見極め、医療や行政の関係機関と連携して患者を引き継ぐ。「相談することがハードルになってはいけない」と相談は無料にした。家族は異変を感じてもどうしていいか分からず、家族以外に話すべきではないと思っているうちに悪化したケースも見てきたためだ。
「本人の力を引き出し、足りない部分を補える訪問看護をしていきたい」と小林さん。自分たちがネットワークのパーツの一つになることで支援強化の輪が広がり、長期入院患者が退院してやってみたいと思う夢を一つずつかなえていく−。それが2人の目標だ。
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訪問先の女性と外出する(右から)小林さんと枡田さん。自立した人生のために必要なサポートを探る=鳥取市内
日本海新聞- 2013年06月22日
「やらなかったらきっと後悔すると、思い切った」。訪問看護ステーション「結(ゆい)」を立ち上げた所長の小林美加さんと副所長の枡田京子さんは話す。市内の精神科がある医療機関で、小林さんは13年、枡田さんは22年働き、退職前は同じ勤務先だった。
設立はある研修会がきっかけ。島根県出雲圏域の精神障害者の退院や生活支援に関わる看護師と知り合った。2011年秋、勤め先の有志でその支援の状況を視察した。
「とにかく衝撃を受けた」と2人。「自分たちなら退院や地域生活はできないだろうと思う症状の患者もすんなり退院の対象だった」(小林さん)。それを受け止められるだけの関係機関の充実した支援ネットワークもあった。「病院は患者さんの悪い時期を治療して安定させる場であって、一生を送る場ではない。あるべき姿はこれだと思った」と枡田さんは振り返る。
2人は精神障害者専門の訪問看護ステーション設立を決意。出雲市はもちろん、岡山、大阪など、先駆者らのステーションの視察を重ねて準備し、ことし4月に「結」を鳥取市的場2丁目に構えた。退院支援から退院後の支援体制の構築、地域生活の代行ではない、あくまでも自立した生活を送るための指導やサポートを訪問して行う。
長年の経験で精神科患者の病状悪化のサインや緊急対応の必要性の有無などを見極め、医療や行政の関係機関と連携して患者を引き継ぐ。「相談することがハードルになってはいけない」と相談は無料にした。家族は異変を感じてもどうしていいか分からず、家族以外に話すべきではないと思っているうちに悪化したケースも見てきたためだ。
「本人の力を引き出し、足りない部分を補える訪問看護をしていきたい」と小林さん。自分たちがネットワークのパーツの一つになることで支援強化の輪が広がり、長期入院患者が退院してやってみたいと思う夢を一つずつかなえていく−。それが2人の目標だ。
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訪問先の女性と外出する(右から)小林さんと枡田さん。自立した人生のために必要なサポートを探る=鳥取市内
日本海新聞- 2013年06月22日