◇西川紀子さん
−−どんな活動をされてきましたか。
私の長男(29)は知的障害と身体障害があり車椅子に乗っている。その長男が特別支援学校の高等部にいた2000年に、障害児を持つ母親仲間約40人とともに、障害児が放課後、夕方まで過ごせる場所を作った。これは今も「くるーる」という名で続き、身体障害の子や、発達障害のため30人、40人という集団の中では過ごしにくい子たちが通える場所になっている。その後▽障害児や世話をする母親のための自宅へのヘルパー派遣▽学校を卒業した障害者が機能訓練や社会適応訓練を受けられる「スペースあると」▽障害者10+件が働けるレストラン「きっちんポテト」−−などを柏崎市内に作ってきた。
−−政治への希望は。
障害者に、もっと社会で働くチャンスを与えてほしい。今は働いても、報酬は「工賃」として月1万〜2万円だったりする。しかし障害にもいろいろあり、短時間や在宅なら仕事ができる人も多い。そうした人が働くことで、それぞれが自分の役割を果たせて社会に居場所ができる。健常者の側からみても、走れなければ、笑えなければ、パソコンができなければ就職はダメ、と言っていると結局は職に就けない人が増えて福祉コストが増大する。また、福祉予算の基礎は税金だ。だから経済を安定させて、税収を確保してほしい。
もう一つは介護・福祉関係者の賃金上昇だ。この業界では今、新人は年収200万円程度。高齢化が進み介護される側が増えるのに、これでは福祉に人手が集まらない。
国の福祉制度はこの十数年で4回も大きく変わり、現場は振り回されてきた。私は障害は社会制度の問題だと思っている。視力が低くても眼鏡をかければいいように、障害があっても困らなければ、障害は障害でなくなる。それを目指し充実・安定した福祉制度を作ってほしい。【高木昭午】=つづく
==============
■人物略歴
◇さいかわ・のりこ
1956年、福岡市生まれ。結婚で柏崎市に転居。長男の治療で東京女子医大に通い地域間の福祉格差を知る。2000年に市民団体「トライネット」(現NPO)を作り柏崎市から障害児の放課後支援事業を受託。11年に「ロングラン」を設立し理事長に。
毎日新聞 2013年07月14日 地方版
−−どんな活動をされてきましたか。
私の長男(29)は知的障害と身体障害があり車椅子に乗っている。その長男が特別支援学校の高等部にいた2000年に、障害児を持つ母親仲間約40人とともに、障害児が放課後、夕方まで過ごせる場所を作った。これは今も「くるーる」という名で続き、身体障害の子や、発達障害のため30人、40人という集団の中では過ごしにくい子たちが通える場所になっている。その後▽障害児や世話をする母親のための自宅へのヘルパー派遣▽学校を卒業した障害者が機能訓練や社会適応訓練を受けられる「スペースあると」▽障害者10+件が働けるレストラン「きっちんポテト」−−などを柏崎市内に作ってきた。
−−政治への希望は。
障害者に、もっと社会で働くチャンスを与えてほしい。今は働いても、報酬は「工賃」として月1万〜2万円だったりする。しかし障害にもいろいろあり、短時間や在宅なら仕事ができる人も多い。そうした人が働くことで、それぞれが自分の役割を果たせて社会に居場所ができる。健常者の側からみても、走れなければ、笑えなければ、パソコンができなければ就職はダメ、と言っていると結局は職に就けない人が増えて福祉コストが増大する。また、福祉予算の基礎は税金だ。だから経済を安定させて、税収を確保してほしい。
もう一つは介護・福祉関係者の賃金上昇だ。この業界では今、新人は年収200万円程度。高齢化が進み介護される側が増えるのに、これでは福祉に人手が集まらない。
国の福祉制度はこの十数年で4回も大きく変わり、現場は振り回されてきた。私は障害は社会制度の問題だと思っている。視力が低くても眼鏡をかければいいように、障害があっても困らなければ、障害は障害でなくなる。それを目指し充実・安定した福祉制度を作ってほしい。【高木昭午】=つづく
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■人物略歴
◇さいかわ・のりこ
1956年、福岡市生まれ。結婚で柏崎市に転居。長男の治療で東京女子医大に通い地域間の福祉格差を知る。2000年に市民団体「トライネット」(現NPO)を作り柏崎市から障害児の放課後支援事業を受託。11年に「ロングラン」を設立し理事長に。
毎日新聞 2013年07月14日 地方版