障害者へ親族などから金銭を贈与しやすくする優遇制度が拡充されたようだけど、どんな内容ですか?
親から財産移転税優遇
「特定贈与信託」という制度で、最大6000万円まで、障害者への贈与に贈与税がかからないのがポイントだ。税負担による目減りなしに、親などの財産を移転できるようにすることで、障害者の生活の安定を図る狙いがある。
長期にわたって少額ずつ、障害者本人の預貯金口座に振り込む仕組みのため、贈与された財産を犯罪被害や詐欺的商法で失うリスクを小さくできるのも特徴だ。
制度は1975年に創設されたが、対象はこれまで、主に、知的障害者、精神障害者、身体障害者のうち、障害の程度が重い、税法上の「特別障害者」に限られていた。
それが今年度から、中・軽度の知的障害者と、障害等級が2・3級の精神障害者も制度の対象とし、知的障害者と精神障害者については、障害の重さにかかわらず税優遇の恩恵を受けられることになった。新たに優遇の対象になった「特定障害者」の非課税枠は3000万円で、特別障害者の半額だ。
特定贈与信託は、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行など、信託業務を行う金融機関で扱っている。基本の仕組みは、〈1〉障害者の父母などがまとまった額の金銭を信託〈2〉信託銀行などが管理・運用し、障害者本人の預貯金口座に定期的に少額ずつ振り込む――というものだ。
例えば、1000万円を信託し、月5万円を振り込む内容の契約を結んだ場合、単純計算では、16年以上にわたって金銭を渡し続けることができる。追加で資金ができた場合、非課税枠が残っていれば、信託額を後から増やすことも可能だ。
利用する際は、精神障害者保健福祉手帳など、障害を証明する書類が必要。信託の最低額や手数料は金融機関ごとに定めている。
信託協会による昨年の調査では、障害者の親の多くが「親の亡き後」の子どもの生活について、「生活費などに要する金銭の不足」「子の財産管理能力」などの不安を抱いていることがわかった。一方、特定贈与信託の利用は1000件程度にとどまっている。難解な制度というイメージもあり、知名度アップが大きな課題だ。
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(2013年7月23日 読売新聞)
親から財産移転税優遇
「特定贈与信託」という制度で、最大6000万円まで、障害者への贈与に贈与税がかからないのがポイントだ。税負担による目減りなしに、親などの財産を移転できるようにすることで、障害者の生活の安定を図る狙いがある。
長期にわたって少額ずつ、障害者本人の預貯金口座に振り込む仕組みのため、贈与された財産を犯罪被害や詐欺的商法で失うリスクを小さくできるのも特徴だ。
制度は1975年に創設されたが、対象はこれまで、主に、知的障害者、精神障害者、身体障害者のうち、障害の程度が重い、税法上の「特別障害者」に限られていた。
それが今年度から、中・軽度の知的障害者と、障害等級が2・3級の精神障害者も制度の対象とし、知的障害者と精神障害者については、障害の重さにかかわらず税優遇の恩恵を受けられることになった。新たに優遇の対象になった「特定障害者」の非課税枠は3000万円で、特別障害者の半額だ。
特定贈与信託は、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行など、信託業務を行う金融機関で扱っている。基本の仕組みは、〈1〉障害者の父母などがまとまった額の金銭を信託〈2〉信託銀行などが管理・運用し、障害者本人の預貯金口座に定期的に少額ずつ振り込む――というものだ。
例えば、1000万円を信託し、月5万円を振り込む内容の契約を結んだ場合、単純計算では、16年以上にわたって金銭を渡し続けることができる。追加で資金ができた場合、非課税枠が残っていれば、信託額を後から増やすことも可能だ。
利用する際は、精神障害者保健福祉手帳など、障害を証明する書類が必要。信託の最低額や手数料は金融機関ごとに定めている。
信託協会による昨年の調査では、障害者の親の多くが「親の亡き後」の子どもの生活について、「生活費などに要する金銭の不足」「子の財産管理能力」などの不安を抱いていることがわかった。一方、特定贈与信託の利用は1000件程度にとどまっている。難解な制度というイメージもあり、知名度アップが大きな課題だ。

(2013年7月23日 読売新聞)