厚生労働省の「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」が9日に開かれ、委員からのヒアリングが行われた。委員からは、居住系施設の拡充や重度慢性統合失調症患者への対応をテーマとした病院間の連携システムなど、精神障害者の病院からの退院や地域での生活を支えるための手法に関する提言が相次いだ。
伊豫雅臣委員(千葉大大学院教授)は、精神病棟に長期入院している重度慢性統合失調症患者の中には、通常の抗精神病薬治療で効果が得られなかったり、副作用の影響で抗精神病薬治療が受けられなかったりする「治療抵抗性統合失調症」(TRS)患者が多く含まれている可能性が高いと指摘。服薬の中断や投薬量の減少、ストレスなどで再発しやすい「ドパミン過感受性精神病」(DSP)への適切な予防や治療が行われていない点も、患者の長期入院の要因になっているとした。その上で、「重度慢性統合失調症患者に対し、TRSやDSPの診断や治療の適否を判断する体制を構築する必要がある」と主張。具体的には、TRSへの薬効が期待できる「クロザピン」や修正型電気痙攣療法(mECT)などを実施できる医療機関を地域ごとに設けた上で、その病院と地域内のほかの病院や診療所がネットワークを構築する「重度慢性統合失調症地域医療連携」の創設を提案した。
伊澤雄一委員(NPO全国精神障害者地域生活支援協議会代表)は、精神障害者が住み慣れた場所や選んだ居場所で安心して自分らしく年を重ねるためには、まずグループホームやケアホームの増設が必要と主張。さらに「看護付きホーム」や「ミニ緊急救護施設」など、多様な住まい方に対応できる居住支援メニューを充実させる必要があるとも訴えた。
平田豊明委員(千葉県精神科医療センター長)は、日本の精神科救急医療の改革指針案として、▽電話相談窓口の拡充など「アクセシビリティの向上」▽身体救急との連携による「身体合併症対策の推進」▽全国共通患者データベースの普及など「救急病棟における医療水準の向上」―を提示。また、吉川隆博委員(日本精神科看護技術協会専務理事)は、「精神障害者のニーズに合わせて訪問看護が提供できるようにする必要がある」と指摘。そのためにも、市町村や保健所などの行政機関と民間のサービス提供機関が相互に協力を求めたり、協働対応したりする制度の導入などが必要とした。
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「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」(9日、東京都内)
キャリアブレイン-5 時間前
伊豫雅臣委員(千葉大大学院教授)は、精神病棟に長期入院している重度慢性統合失調症患者の中には、通常の抗精神病薬治療で効果が得られなかったり、副作用の影響で抗精神病薬治療が受けられなかったりする「治療抵抗性統合失調症」(TRS)患者が多く含まれている可能性が高いと指摘。服薬の中断や投薬量の減少、ストレスなどで再発しやすい「ドパミン過感受性精神病」(DSP)への適切な予防や治療が行われていない点も、患者の長期入院の要因になっているとした。その上で、「重度慢性統合失調症患者に対し、TRSやDSPの診断や治療の適否を判断する体制を構築する必要がある」と主張。具体的には、TRSへの薬効が期待できる「クロザピン」や修正型電気痙攣療法(mECT)などを実施できる医療機関を地域ごとに設けた上で、その病院と地域内のほかの病院や診療所がネットワークを構築する「重度慢性統合失調症地域医療連携」の創設を提案した。
伊澤雄一委員(NPO全国精神障害者地域生活支援協議会代表)は、精神障害者が住み慣れた場所や選んだ居場所で安心して自分らしく年を重ねるためには、まずグループホームやケアホームの増設が必要と主張。さらに「看護付きホーム」や「ミニ緊急救護施設」など、多様な住まい方に対応できる居住支援メニューを充実させる必要があるとも訴えた。
平田豊明委員(千葉県精神科医療センター長)は、日本の精神科救急医療の改革指針案として、▽電話相談窓口の拡充など「アクセシビリティの向上」▽身体救急との連携による「身体合併症対策の推進」▽全国共通患者データベースの普及など「救急病棟における医療水準の向上」―を提示。また、吉川隆博委員(日本精神科看護技術協会専務理事)は、「精神障害者のニーズに合わせて訪問看護が提供できるようにする必要がある」と指摘。そのためにも、市町村や保健所などの行政機関と民間のサービス提供機関が相互に協力を求めたり、協働対応したりする制度の導入などが必要とした。

「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」(9日、東京都内)
キャリアブレイン-5 時間前