障害者雇用に向けた法的整備が進む一方、採用する企業側では試行錯誤が続いている。中小企業を中心に法定雇用率を達成する事業所数が伸び悩む中、重要な戦力として活躍する障害者も少なくない。宮城県内で先進的な取り組みを展開する宮城県内の職場を取材した。(報道部・熊谷吉信)
CD・書籍販売店「スクラム」を運営するイオングループのアビリティーズジャスコ(宮城県利府町)。障害者雇用率が36%に上る同社は、「障害者は顧客の前に出ないケースが多かったが、積極的に店頭に配置している」と説明する。
![]()
スクラム古川店で接客する千葉さん。レジや商品陳列など幅広い業務を担う
スクラム古川店(宮城県大崎市)の千葉剛史さん(28)は、3歳の時に事故で右手首を切断した。レジや商品の陳列を担う千葉さんは「来店した子どもに接することで、障害者への理解も進む。障害者の社会参加が当たり前になってほしい」と期待する。
同社は今年から、障害者の職業訓練を行う就労移行支援事業所の機能も担う。現在、3店舗で13人が接客などの実践トレーニングを受けている。
4月から古川店に併設された事業所に通う女性(36)は、大学生の時にうつ病を発症した。長く昼夜逆転の生活が続いていたといい、「最初は不安だったが、ようやく慣れてきた」と笑顔を見せる。
貨物カートの洗浄事業を手掛けるクリーン&クリーン(仙台市)は、宮城野区の東北工場で知的障害を中心に18人を雇う。作業の補佐役ではなく、他工場に出張して業務指導に当たっている。
猪又明美社長は「ハンディはあっても適した仕事なら十分に能力を発揮できる。今後はキャリアアップの手法を考えたい」と期待する。
◎「法定雇用率達成を」/宮城労働局 5経済団体へ要請
宮城労働局は5日、宮城県内の五つの経済団体を訪れ、障害者の雇用促進を要請した。今年4月に障害者の法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられたのに伴い、宮城県や仙台市などと合同で実施した。
県中小企業家同友会(仙台市)では、労働局の井上真局長が要望書を手渡し、「法定雇用率の早期達成に最大限努力してほしい」と求めた。
同友会の鍋島孝敏代表理事は「障害者も健常者も職場で区別しないことが大切だ。会員の意識向上に努める」と応じた。井上局長らは同日、県商工会議所連合会なども訪問した。
障害者の雇用は、従業員規模50人以上の事業所に義務付けられる。労働局は県内の対象1500社に要望書を郵送する。
![]()
障害者の雇用促進を求める宮城労働局の井上局長(右)
河北新報-2013年09月06日金曜日
CD・書籍販売店「スクラム」を運営するイオングループのアビリティーズジャスコ(宮城県利府町)。障害者雇用率が36%に上る同社は、「障害者は顧客の前に出ないケースが多かったが、積極的に店頭に配置している」と説明する。

スクラム古川店で接客する千葉さん。レジや商品陳列など幅広い業務を担う
スクラム古川店(宮城県大崎市)の千葉剛史さん(28)は、3歳の時に事故で右手首を切断した。レジや商品の陳列を担う千葉さんは「来店した子どもに接することで、障害者への理解も進む。障害者の社会参加が当たり前になってほしい」と期待する。
同社は今年から、障害者の職業訓練を行う就労移行支援事業所の機能も担う。現在、3店舗で13人が接客などの実践トレーニングを受けている。
4月から古川店に併設された事業所に通う女性(36)は、大学生の時にうつ病を発症した。長く昼夜逆転の生活が続いていたといい、「最初は不安だったが、ようやく慣れてきた」と笑顔を見せる。
貨物カートの洗浄事業を手掛けるクリーン&クリーン(仙台市)は、宮城野区の東北工場で知的障害を中心に18人を雇う。作業の補佐役ではなく、他工場に出張して業務指導に当たっている。
猪又明美社長は「ハンディはあっても適した仕事なら十分に能力を発揮できる。今後はキャリアアップの手法を考えたい」と期待する。
◎「法定雇用率達成を」/宮城労働局 5経済団体へ要請
宮城労働局は5日、宮城県内の五つの経済団体を訪れ、障害者の雇用促進を要請した。今年4月に障害者の法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられたのに伴い、宮城県や仙台市などと合同で実施した。
県中小企業家同友会(仙台市)では、労働局の井上真局長が要望書を手渡し、「法定雇用率の早期達成に最大限努力してほしい」と求めた。
同友会の鍋島孝敏代表理事は「障害者も健常者も職場で区別しないことが大切だ。会員の意識向上に努める」と応じた。井上局長らは同日、県商工会議所連合会なども訪問した。
障害者の雇用は、従業員規模50人以上の事業所に義務付けられる。労働局は県内の対象1500社に要望書を郵送する。

障害者の雇用促進を求める宮城労働局の井上局長(右)
河北新報-2013年09月06日金曜日