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Channel: ゴエモンのつぶやき
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「セッションズ」(米)…障害者の性 軽やかに

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 テーマは障害者の性。見過ごされがちな問題だが、当人は悩みを抱え込んでいる。

 1999年に49歳で亡くなった実在の男性、マーク・オブライエンの物語である。

 マーク(ジョン・ホークス=写真手前)は、6歳の時に感染したポリオのため、首から下の体を動かせない。重度の呼吸障害もあり、カプセル型の呼吸器の中で大半を過ごしている。そんな障害を抱えながら大学を卒業、詩人、ジャーナリストとして自活しているのだから、類いまれな精神力を持つ、前向きな努力家だったのだろう。その生き方自体に尊敬を覚えずにいられない。

 彼の悩みは「性」だった。愛する女性と出会ってもどうすることもできないのだ。ブレンダン神父(ウィリアム・H・メイシー)との会話は、まるで親友同士。開けっぴろげなやりとりに人間味を感じさせる。ホークスの、CGにも特殊メークにも頼らないリアルな演技からも目が離せない。

 心や体に何らかの障害を持つ男性を、女性と深い関係を持てるように導くセックス・サロゲート(代理人)のシェリル役のヘレン・ハント=写真奥右=が、まさに体当たりの演技だ。少しもいやらしさを感じさせず、軽やかにマークを導いていく。

 難しい題材だが、深刻すぎることなく、おおらかでユーモラス。それでいて、単なる性の問題を超え、生きるということの意味まで考えさせる人間ドラマとなった。監督は、自身も子供のころポリオにかかったベン・リューイン。1時間35分。新宿シネマカリテ。



(2013年12月13日 読売新聞)

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