一般的な仕事に就くことが難しい若者や障害者らを対象にした「中間的就労」の情報を集約し、支援団体と受け入れ事業者をつなぐ民間の中間支援機関が、この春に横浜市内で発足する。若者支援組織や障害者の就労支援団体などが協力し、それぞれが蓄積してきた事業者情報やノウハウなどを共有。それにより、中間的就労の利用者と事業所・支援者をバックアップすることが目的だ。取り組みに関心を寄せている横浜市によると、全国でも初めての試みだという。
中間的就労に携わる団体が集まる会合で「事務局的な組織が必要」という声が出たことが立ち上げのきっかけになった。若者の就労・自立支援を行うNPO法人ユースポート横浜(横浜市中区、綿引幸代理事長)がとりまとめ役になり、支援団体や一部の公的機関、中間的就労を受け入れている事業者など、9団体の参加でスタートする。
この機関の発足で期待できるのは、利用者の受け入れ先の幅が広がることだ。
現在は各支援団体が個別に受け入れ事業所を開拓し、それぞれ利用者に紹介していた。情報を集約できれば、利用者が所属する支援団体とは異なる団体が知っている受け入れ先を中間支援機関の橋渡しで紹介できる。綿引さんは「中間的就労を受け入れてくれる場はあるが、今はそれぞれが『点』で存在している状態。連携することでそれが『面』になる」と意義を強調する。
複数の支援団体が利用者に関われることも大きい。
参加団体の一つ、一般社団法人「ペガサス」(同市港北区)は、発達障害・精神障害のある人に特化した就労支援を行っている。代表理事の木村志義さん(47)は「障害者手帳や診断がなくても、困難を抱えている人は大勢いる。『ペガサス』の事業が、その人たちにもマッチするのではないかと思った」と話す。「いろいろな機関がつながれば、この団体では難しいが違う団体ならできる、という形で、利用者を複数で支援できるのではないか」と考えている。
事業者や支援者のフォローにも有効だ。現在は、「自分が受け持つ現場で精いっぱい」(綿引さん)なのが実情。支援者が感じている困りごとや、事業者の悩みなどを持ち寄ることで、新しい知識や適切な対応のアイデアが生まれることにもつながる。
中間支援機関は発足後も新しい参加団体を募り、行政への政策提言も行っていく予定だ。横浜市保護課は「この活動には関心を持っている。どんな形で一緒にやっていけるか、検討したい」とする。
「それぞれが開拓したものを集めることで市民の共有財産にしたい。継続的な仕組みをつくるとともに、中間的就労そのものにも光を当てたい」。綿引さんはそう期待を込める。
◆中間的就労 生育環境や障害など、さまざまな理由で一般的な仕事に就くことが難しい人を対象にした、支援付きの就労機会のこと。比較的負担の軽い働き方で、一般就労に向けた準備段階としてだけではなく、社会参加の場として活用されることもある。
カナロコ(神奈川新聞) : 2014年1月7日
中間的就労に携わる団体が集まる会合で「事務局的な組織が必要」という声が出たことが立ち上げのきっかけになった。若者の就労・自立支援を行うNPO法人ユースポート横浜(横浜市中区、綿引幸代理事長)がとりまとめ役になり、支援団体や一部の公的機関、中間的就労を受け入れている事業者など、9団体の参加でスタートする。
この機関の発足で期待できるのは、利用者の受け入れ先の幅が広がることだ。
現在は各支援団体が個別に受け入れ事業所を開拓し、それぞれ利用者に紹介していた。情報を集約できれば、利用者が所属する支援団体とは異なる団体が知っている受け入れ先を中間支援機関の橋渡しで紹介できる。綿引さんは「中間的就労を受け入れてくれる場はあるが、今はそれぞれが『点』で存在している状態。連携することでそれが『面』になる」と意義を強調する。
複数の支援団体が利用者に関われることも大きい。
参加団体の一つ、一般社団法人「ペガサス」(同市港北区)は、発達障害・精神障害のある人に特化した就労支援を行っている。代表理事の木村志義さん(47)は「障害者手帳や診断がなくても、困難を抱えている人は大勢いる。『ペガサス』の事業が、その人たちにもマッチするのではないかと思った」と話す。「いろいろな機関がつながれば、この団体では難しいが違う団体ならできる、という形で、利用者を複数で支援できるのではないか」と考えている。
事業者や支援者のフォローにも有効だ。現在は、「自分が受け持つ現場で精いっぱい」(綿引さん)なのが実情。支援者が感じている困りごとや、事業者の悩みなどを持ち寄ることで、新しい知識や適切な対応のアイデアが生まれることにもつながる。
中間支援機関は発足後も新しい参加団体を募り、行政への政策提言も行っていく予定だ。横浜市保護課は「この活動には関心を持っている。どんな形で一緒にやっていけるか、検討したい」とする。
「それぞれが開拓したものを集めることで市民の共有財産にしたい。継続的な仕組みをつくるとともに、中間的就労そのものにも光を当てたい」。綿引さんはそう期待を込める。
◆中間的就労 生育環境や障害など、さまざまな理由で一般的な仕事に就くことが難しい人を対象にした、支援付きの就労機会のこと。比較的負担の軽い働き方で、一般就労に向けた準備段階としてだけではなく、社会参加の場として活用されることもある。
カナロコ(神奈川新聞) : 2014年1月7日