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わかる?:障害者支援間に合わぬ 利用計画作成進まず 報酬低く、専門員不足

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 障害者が福祉サービスを受けるために2015年度から必要となる「サービス等利用計画」の作成が遅れている。12年施行の障害者総合支援法に基づき、国は14年度までに障害者ごとに計画を作るよう自治体に求めているが、このままではサービスを受けられない事態も生まれかねない。背景には報酬が低く、作成資格のある専門員の不足があるようだ。

 福岡市の女性(52)は知的障害がある息子(19)の将来を案じる。特別支援学校を卒業する際、保護者間で情報交換し、平日のケアホーム入居や休日の移動サービスなどを選んだ。だが、このサービスで良かったのか確証は得られない。「私が亡くなっても息子のことを考えてくれる人がいたらうれしい」

 こうした不安に応えるのが「サービス等利用計画」制度といえる。障害者や保護者が希望する生活・居宅介護、自立訓練、就労支援などのサービスを組み合わせ、一人一人に適したプランを作成。これに基づいて市町村が支給を決定する。障害者の生活を施設から地域へと移行させる際には支援が必要となるため、その受け皿として同法で設けられた。

 法令上は自ら計画を作ることも可能だが、専門知識が必要で、厚生労働省は「相談支援専門員」による作成を原則としている。専門員は実務経験や研修受講を条件に都道府県が認定、市町村指定の事業所で働く。計画作成後も障害者に寄り添って相談を受け、不足があればサービスの見直しも行う。

 厚労省はサービスを受けている障害者約68万人を対象に、14年度までに計画を作るよう市町村に要請。13年度は全国で月平均13万2000件の計画作成・見直しが必要と見込んでいた。しかし、最新の実績となる同年8月は3万4000件と目標の4分の1しか達成できていない。

 毎日新聞が九州・山口の県庁所在・政令市の10市を調べたところ、福岡市では対象となる障害者の99%以上が未作成。北九州市も98%、佐賀市は90%近くが作られていない。最も進捗(しんちょく)率が高いのは鹿児島市の56・98%。福岡市は「(国と自治体で折半する)計画作成への報酬が低いため専門員が増えず、対応できない」と話す。

 報酬は計画作成1件につき1万6000円。計画見直し・確認は1回1万3000円。福岡市西区の相談事業所「わくわくランド」の専門員、原口侑子さん(27)によると、計画を作るには何度も相手の家に通うなどして1カ月を要することもあり、採算を取るのが難しいという。

 13年4月現在、専門員は全国で8915人。厚労省は「足りない」と認識しているが「介護保険のケアマネジャーと比べて必ずしも専門員の報酬が低いとは考えていない。市町村が専門員を増やす努力をしてほしい」と話している。

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 ◆九州、山口の県庁所在・政令市のサービス等利用計画作成状況◆

自治体    対象者  計画作成人数 進捗率(%) 専門員数

福岡  1万 419人    81人  0.78   42人

北九州   8812人   206人  2.34   37人

佐賀    1916人   195人 10.18   22人

長崎    4389人   567人 12.92   43人

大分    3599人  1455人 40.43   54人

熊本    5849人  1738人 29.71   53人

宮崎    3400人   580人 17.06   44人

鹿児島   5566人  3172人 56.99   52人

那覇    3100人   698人 22.52   38人

山口    2506人   688人 27.45   18人

 ※進捗(しんちょく)率は那覇が昨年8月

 現在、北九州、長崎、鹿児島は同9月現在、他は同10月現在

毎日新聞 2014年01月06日 西部朝刊

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