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Channel: ゴエモンのつぶやき
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欄干のない歩道橋” ホームドア、さらなる設置を望む声も

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 電車のホームから線路に転落する事故を防ぐためのホームドアが都内でも徐々に増え始めています。国土交通省は鉄道事業者に対し「1日の利用客が10万人以上の駅」に設置を導入するよう求めていますが、現在では対象駅の14%にとどまっています。こうした中、障害者団体からは一刻も早く全ての駅に設置するよう望む声も上がっています。

 ホームドアの設置は2001年にJR新大久保駅でホームから転落した乗客を助けようと韓国人留学生らが電車にはねられ死亡した事故がきっかけで増え始めました。しかし国土交通省によりますと、ことし9月末現在で全国およそ9500駅のうち、539駅にしか設置されていません。
 JR東日本では新幹線の11駅にはホームドアを設置していますが、在来線では山手線の恵比寿駅と目黒駅にのみ設置されています。JR東日本によりますと山手線全線に設置する際の総工事費はおよそ550億円もかかるほか、ドアの数や位置が異なる車両があるため設置はかなり困難だと担当者は話します。JR東日本・鉄道事業部の釜瀬立哉さんは「ドアが4枚なのか3枚なのかによってホームドアの作り方も変わる。また、(相互乗り入れの)他会社が入ってくるかどうかによっても大きく違ってくる」と話します。先月30日に発表した計画では予定よりも2年前倒しして山手線全線のホームドアを設置する方針を明らかにしました。池袋駅では今年度中に設置予定であるほか、ことし12月には大崎駅、そして来年度は高田馬場駅や新大久保駅など、2014年度は原宿駅などに設置し運用開始する予定です。担当者は「(新しい経営構想の中では)山手線の後の、他の線の整備についても打ち出しているが、目の不自由な方などの状況を踏まえて整備をしたいと考えている」と話します。
 聴覚障害者や視覚障害者はホームドアをいち早く導入してほしいと訴えています。大塚ろう学校では、全校110人のうち、山手線の利用者はおよそ半数だといいます。小学2年生の本村音穏君と東條奈々子ちゃんは母親と一緒に毎日登下校しています。しかし学校では原則4年生からは1人で登下校するため、お母さんたちからは不安の声も上がります。奈々子ちゃんの母親・東條みちるさんは「(駅構内の放送は)音がしているのは聞こえたとしても、子どもには何を言っているのか分からないだろう」と話し、音穏君の母親・本村理恵さんは「子どもは手話に夢中になると(横に広がって)ホームの端に近づいてしまうので、お母さんが一緒ならいいが、いないとき…友達だけだと危ないと思う」と話します。
 日本盲人会連合会によりますと、ホームから転落したことのある視覚障害者は全体のおよそ4割にも上るといいます。文京区にある都立文京盲学校の最寄駅の1つ・JR飯田橋駅は急カーブに位置しているため、最大およそ30センチもの隙間があります。文京盲学校の三谷照勝総括校長は「飯田橋のような駅で(ホームと電車が)離れている所でも、大きくつえを使いながら一歩踏み出して電車に乗るという指導をしている」と話します。
 都立葛飾盲学校の講師を務める重田雅敏さんは20年前に全盲になってから、自身もホームから転落したことがあると話します。重田さんは「(視覚障害者にとって)ホームは“横断歩道橋の欄干がない状態”」と話し、つえや足裏の感触、音だけを頼りに歩行する困難さを日々感じています。重田さんの知人の中には、歩行に自信を持ちながらもホームから転落し亡くなった人もいるといいます。重田さんは「おしゃべり声や多くの人の歩行の音があるとなかなか自分が冷静に歩けない状況がある。ホームはすごく緊張する場所。ホームドアが設置されればいい」と話します。
 国土交通省は鉄道事業者からの取り組み・報告を受けながら、ホームドアを増やし、安心して電車を利用できる社会にしていきたいとしています。

 VTRで話をうかがった葛飾盲学校・講師の重田さんは「国内全ての駅でのホームドア設置を進めてほしい」と訴える一方で、視覚障害者や聴覚障害者が転落しそうになっていたら一声掛けたり、点字ブロックには荷物を置かないなど、ちょっとした配慮もお願いしたいと話していました。

Tokyo MX-2012年11月13日

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