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知的障害者詐欺:「更生への体制整う」 県支援委の計画評価−−地裁益田支部判決 /島根

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 「被告の更生を支援する体制が整えられている」。精神、知的障害があり、詐欺罪に問われた男性(48)に対し、松江地裁益田支部が23日に言い渡した懲役1年、執行猶予4年の判決。矢作泰幸裁判官は「県障がい者調査支援委員会」がまとめた被告の支援計画を評価した。比較的軽微な犯罪を重ねた障害者を地域で支援していこうという取り組みで、支援委が関わった初めての裁判。福祉関係者や担当した弁護士は判決を前向きにとらえた。

 支援委は、県社会福祉協議会が2013年10月に設置した。知的障害などがある被告を、障害の特性に配慮した司法判断や再犯の防止につなげる狙いだ。長崎、宮城、滋賀県に次いで全国4番目の設立で、島根では精神科医ら5人が委員を務める。

 対象は、万引きや無銭飲食など比較的軽微な事件の被告。弁護人の依頼を受けた支援委が被告の障害の程度や生育歴などを調べ、福祉による支援の必要性を判断する。

 判決によると、男性は昨年9月、益田市内の飲食店でビールなどを注文し、代金計9800円を支払わなかった。裁判資料などによると、男性は父と同居して親の年金で暮らしていた。父の死亡後、生活保護を受給し、寂しさを紛らわすために飲みに出掛けた。これまでにも警察に通報されたが、無銭飲食について処罰を受けることはなかった。

 弁護側は昨年10月、支援委に調査を依頼。支援委は男性との接見や通院していた病院、市職員から話を聞き、「父の死後に孤立し、支援者もなく生活が乱れた。男性に関わる人を増やし、福祉サービスにつなげることで生活を安定させられる」と判断。弁護側は昨年12月の第2回公判で支援計画を提出した。

 計画は、医療▽収入▽住居▽就労▽関係者の連携−−の5本柱で構成。男性は市営住宅に住みながら通院と、2週間に1回の訪問看護を受ける。生活保護を引き続き受け、市職員が浪費防止を指導。障害者の相談支援事業所が就労支援やホームヘルプなどを担当する。定期的に医療、市、福祉関係者が集まってミーティングも行う。

 一方、検察側は「支援の期待はあるが、再犯の可能性がある」として懲役1年を求刑していた。

 この日、紺色のスエットにジーンズ姿で出廷した男性は落ち着かない様子だったが、矢作裁判官が「被告は支援計画を受け入れ、まじめに更生すると述べている」などと判決を読み上げると、ほっとした表情を見せた。24日には、医療や福祉関係者らによる男性との面談が予定されている。

 法務省の統計(2011年)によると、新規受刑者2万5499人のうち、知的障害とされる受刑者は5532人で、全体の21・6%を占める。

 男性の調査に携わった県社協の足立卓久・生活支援部長は「どこまで地域で支援していけるか責任を感じている。いろいろな人が関わることで男性の社会復帰につなげたい。障害者が生活苦や疎外感などから再び罪を犯してしまうことを防ぎたい」と話す。

 一方、今回担当した国選弁護士は「裁判所は支援計画を踏まえて被告が更生できると考えたのだろう。社会的な受け皿として重要な制度だ。今後は本人の努力と各機関の協力で成果を出すことが必要だ」とコメントした。

毎日新聞 2014年01月24日 地方版

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