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Channel: ゴエモンのつぶやき
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絵通じて「可能性」花開く 指導の画家「他人が気付かないもの描く」−−甲府・県立美術館 /山梨

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 障害者の描いた芸術作品「エイブルアート(可能性の芸術)」。甲府市貢川1の県立美術館で31日まで、作品展「山梨・人ねっこアート展」が開催されている。彼らの作品の魅力とは、彼らにとってアートとは−−。創作の現場を取材した。【片平知宏】

 「先生、描けた」。「うまいね。いいじゃん。これは良い絵だよ」

 甲府市下帯那町の障害者支援施設「千代田荘」の一室で毎週水曜日、恒例の絵画教室が行われている。参加しているのは知的障害や精神障害などがある15人の利用者。講師の画家、浅川洋さん(55)が一人一人見て回り、声を掛けると利用者から笑顔がこぼれる。

 花や動物、野菜、好きなアイドル、画用紙にひたすら丸を描いたもの。モチーフはそれぞれだが、紙に向き合う利用者の表情はみな真剣そのものだ。

 教室は2003年に始まり11年目。施設に絵の好きな利用者の男性がいたことがきっかけだ。美術教員として盲学校や支援学校で教えた経験がある浅川さんらが指導を引き受けた。

 その男性(42)は鉛筆を使い、バイクなどを細部まで観察した緻密な画風が特徴。この日もヒヤシンスの花の色の濃紺を鉛筆で見事に表現していた。浅川さんも「他人にはまねできない物を見る才能があり、私も刺激になる」と舌を巻く。

 一方、女性(72)の絵はカラーペンで花を描き、牧歌的で優しい色遣いが魅力だ。「描くことが楽しい」とはにかむ女性は教室以外でも絵を描き続けており、作品は100点を超える。

 千代田荘の主任職員、岸本望さん(33)は「絵を描くことが日課になっている人もいる。楽しみながら続けてもらうことが大切」と語る。浅川さんは「こだわりの強い人が多い。しかし、それが作品に結びついた時、他の人が気付かないものを描ける」。絵を通じて障害が「可能性」へと花開く。

 「山梨・人ねっこアート展」は千代田荘など県内26施設から10〜70代184人の作品を展示。主催する「山梨・人ねっこアートワーク」の事務局、川口園子さん(65)は「作品はアートとしても素晴らしいが、人間が生きる意味をも垣間見させてくれる」と話す。

 県立美術館県民ギャラリー。午前9時〜午後5時(31日は午後3時)。無料。県立美術館(電話055・228・3322)。

毎日新聞 2014年01月30日 地方版

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