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Channel: ゴエモンのつぶやき
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彼女と発達障害わかりたい 市川の男性、交際の日々本に

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 発達障害のある彼女の行動を理解したい−。大学職員の木村仁(ひとし)さん(29)=千葉県市川市=が二人の日常をつづったコミックエッセーが話題になっている。彼女の困りごとをどう受け止め、一緒に行動したかを明るく紹介。発達障害のある読者からも「仕事場で読んでもらったら、特性を分かってもらえてトラブルが少し改善した」などと好評という。 

 「いっでー」。満席のレストランで突然、彼女のあおさん(28)=仮名=に腕をかみつかれ、思わず声を出した木村さん。店を出て路地で泣くあおさんに聴くと、子どもの泣き声や親の叱責(しっせき)で頭が真っ白になり、叫び出すのを我慢するためと明かされる。「ごめん」と謝るあおさんに「気にしなくていいよ」と木村さん。

 「ナイト(夜用)ハーブティーを朝飲んじゃった」と騒がれたり、計算が苦手なので店で紙幣ばかり出し、財布の中は小銭だらけだったり。二人でドタバタと過ごす日々が、いとおしい目でつづられている。

 木村さん自身も進行性の聴覚障害がある。二〇〇八年、補聴器に関するインターネットの掲示板で、都内に住むあおさんと知り合い、交際が始まった。「くらげ」のハンドル名(ネット上の別名)で、のろけ話を紹介するうち、あおさんの障害に由来するエピソードが話題に。発達障害のある人やその家族からも「もっと書いて」と反応が寄せられ、編集者の目に留まった。

 「自分も聴覚障害があったからこそ、彼女を理解するのに役立った。発達障害にどんな困難があり支援を必要としているのか、面白く読んで理解に役立ててもらえれば」と木村さん。あおさんは「自分ってこういう感じなんだ」と感想を述べつつ、やはり「少しでも助けになれば」と話しているという。

 本を監修した宇都宮大教育学部の梅永雄二教授は、あとがきで「社会参加を阻む最も大きな要因は、周りの人たちが彼らを理解していないこと」と指摘。「くらげさんのように恋人、友人、家族が発達障害の人のニーズや特性を把握し、必要な支援をともに考えることによって、社会参加は容易になる」としている。

 昨年九月に「くらげ」のペンネームで出版した「ボクの彼女は発達障害 障害者カップルのドタバタ日記」(学研教育出版)はA5判百六十ページ、税抜きで千四百円。十二月に増刷し、今年一月、市川市内の全公立小中学校に寄贈した。障害のある人から「人生を楽しんでいいんだと前向きになれた」などの反響もあるという。

 <発達障害> 脳機能の発達に関係する障害の総称。自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などがある。同じ人にいくつかの障害があることも珍しくなく、個人差が大きい。行動や態度が「自分勝手」「変わった人」と誤解されることも。文部科学省の2012年調査では、発達障害の可能性がある児童生徒は公立小中学校の通常学級に6・5%いると推定される。


本を手に「面白く読んで障害の理解に役立てば」と話す木村さん=千葉県市川市で

東京新聞 -2014年2月1日 夕刊

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