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自助グループ 精神障害者が運営し、悩みを語り合う 社会に出る足がかりに /兵庫

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 ◇さまざまな困難抱える人たち「心が軽くなる」

 精神障害者が、悩みを互いに語り、情報交換の場となっている相互支援(自助)グループ。家族にもなかなか分かってもらえない病気の苦しみや生活上の悩みを、「同じ経験を持つ人に聴いてもらうことで、心が軽くなる」という参加者も多い。地域に根ざしたグループは、当事者(障害者)自身が運営しており、さまざまな困難を抱えている。

 県内八つの自助グループの連絡会「いこいの場ひょうご」事務局長、高瀬建三さん(63)=宝塚市=によると、各団体とも運営費の調達や事務作業の担い手不足が課題という。当事者同士の会の他に、医療機関や福祉施設が運営するグループ、障害者の家族会などがある。高瀬さんは「障害者をひとりぼっちにさせないことが目的。仲間ができることで、家族や医療機関への過度の依存から抜け出すきっかけになる」と言う。

 尼崎市の自助グループ「ゆっくり」は当事者運営の会として2007年4月に発足した。毎月第2、4土曜の夕方、地域の会館を借りて定例会を開き、花見や花火見物などで交流を深めている。1月下旬の定例会では、メンバー6人が障害者の仕事について意見交換した。

 通信販売会社で商品の梱包(こんぽう)作業のリーダー役を務める男性(43)は、発達障害と精神障害を抱えている。作業中、同僚から別の作業の手順などについて尋ねられると、元々自分が手をつけていた作業が意識から完全に抜け落ちるという。「ミスをして注意されるのは仕方ないが、怒鳴られたり『自分で考えろ』と突き放されたりすると、どうしていいか分からなくなる」と訴える。

 統合失調症に苦しみながら短大を卒業した女性(23)は、ホテルでアルバイトをした際に同様の困難に直面した。「指示されたことを控えたメモを読み返しても仕事が覚えられず、仲間に聞くと『また同じこと聞いてるわ』という顔をされたような気がして、すぐに辞めてしまった」と打ち明ける。

 事務局長で、県の精神障害者相談員を務める田中里子さんはかつてうつ病を患い、寛解した経験を持つ。「精神疾患になると、判断力が低下するので、周囲のペースに合わせるのが難しくなる」。自身も症状が和らいだ時、簡単な作業のアルバイトに就いたが、「上司から怒られ通しで、何ができていないかも把握できなかった」と振り返る。この日集まった意見は市の自立支援協議会を通じて提言し、福祉政策に反映させたい考えだ。

 会合は、お茶やお菓子を机上に並べ、打ち解けた雰囲気で笑い声も起きる。すぐには解決策が見つからない話題も多いが、統合失調症の女性は「こうした場で、丁寧に向き合ってくれる人たちと接すると『人と話すことも楽しいな』と思える」と言う。

 これまで二十数人が在籍し、「再び外へ出よう」と思った障害者の足がかりになっている。ただ、症状の悪化で突然連絡がつかなくなるメンバーもいる。田中さんは「一人で苦しんでいる障害者も多いので、こうした活動を広く知ってほしい」と願っている。

 ゆっくり事務局(06・4256・7993=地域生活支援センターポルタ内)。メールはyukkuri_tanpopo@yahoo.co.jpへ。

毎日新聞 2014年02月02日〔阪神版〕

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