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東京五輪準備、障害者目線で 車いす工房社長ら、政府に提案書

 二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京都内の障害者や支援者らが当事者の視点から整備面の提案書をまとめ、政府に手渡した。施設建設で計画段階から障害者の意見を反映させることや、バリアフリー情報の発信などを求めている。「六年後は障害のある人がもっと自由に街に出て、いきいきと過ごせる東京に」と訴える。 (奥野斐)

 呼び掛け人は、墨田区本所で主に重度障害者用の特注電動車いすを製作する「さいとう工房」社長の斎藤省(しょう)さん(66)。「五輪は、スポーツ選手だけでなく誰もが差別なく生きがいを持って暮らしていると世界にアピールする絶好の場。そのための準備をせねば」と語る。

 交流のある当事者団体のNPO法人「DPI日本会議」(千代田区)のメンバーや従業員、大学の研究者ら約十人で昨年末から話し合った。「ユニバーサルデザイン」「移動や利用の保障」「当事者の参画」を基本に、接遇サービス▽情報提供▽ハード整備▽災害等への対応−の課題を挙げて具体策を盛り込んだ。

 最近では駅や商業施設にエレベーターや多機能トイレの設置が進むが、場所が一目でわかる地図や一覧表などの情報は乏しい。トイレマップの整備や音声・手話通訳などでの案内、車いすがパンクした際の故障修理ステーションの設置などを提案した。

 斎藤さんは工房を始めて二十年間で、約千五百台の電動車いすを製作・販売した経験から、「当事者の視点がなければ、本当に使いやすいものはできない」と実感した。開業当初、階段を上がる電動車いすがあればと設計したが、利用する側からバッテリーの持ちや走行距離、重量の指摘を受け「技術先行だった」と反省した。「五輪整備でもいろんな障害者の意見を反映させる場が必要」と強調する。

 提案書は先月、工房を見学に訪れた内閣官房の「オリンピック・パラリンピック東京大会推進室」の平田竹男室長に手渡した。DPI日本会議バリアフリー担当アドバイザーの今西正義さん(65)は「今後も五輪の組織委員会や関連団体にも提案していきたい」と話している。

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電動車いすの製作を通じ、東京五輪に向けた提案書作成を呼び掛けた斎藤省さん=東京都墨田区本所で

東京新聞 : 2014年2月19日 夕刊





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