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つくばで障害者の就労支援 吉田 美恵さん 仕事通じて自分理解して

 つくば市中心部の多目的施設「つくばカピオ」の一角にある喫茶店「カフェベルガ」。その運営会社の社長として、発達障害者や身体障害者らの就労を支援している。

 情報技術(IT)関係の企業に勤めている長男(34)は小学生のころ、教室の黒板の文字をノートに書き写したり、教科書を読んだりするのが苦手だった。医師から発達障害の一種である学習障害(LD)と診断された。

 一般的にLDの特徴として、読み書きや計算をするのが困難とされている。当時の社会的な認知度は今よりも低く、同じような子どもを持つ保護者らと一緒に教育面での配慮を市側に働き掛けた。LDのことを勉強し、障害者と社会の関わり方などについて深く考えるようになった。

 一九九六年四月、地元の障害者の保護者有志約二十人が計三百万円余りを出資し、「カフェベルガ」の運営会社「友遊舎」を設立した。この年の夏に営業をスタートし、初代店長としてパート従業員らと一緒に働いた。

 当初は「カフェベルガを福祉関係者の活動拠点や情報発信の場にしたい」と考え、「将来的には障害者の就労の場にできれば」という期待感もあった。だが、実際に店がオープンすると、日々の経営に追われて余裕がなかったという。

 店の経営が安定してきたことなどから二〇一一年春、障害者の生活支援や社会参加を目指すつくば市の事業を受託し、身体・知的障害者らにカフェベルガで食材の計量やパソコンを使った事務を体験してもらうようになった。一二年秋には県指定の就労支援の場となり、現在は五人が接客や皿洗い、軽作業に励んでいる。

 さらに一三年春には、コミュニケーションなどが苦手とされる発達障害者らの訓練の場として、市内にオフィスを開設した。二十代の七人にビジネスマナーやパソコン操作を教え、就職活動を手伝っている。

 「人間は他人とのつながりの中で成長し、仕事を通じて自分のことを理解することができると思う。障害者の出会いや就職の実現を支援していきたい」と語った。 

 よしだ・みえ 1949年12月、金沢市生まれ。つくば市内在住。カフェベルガの営業は午前11時〜午後5時。月曜定休。メニューは日替わりランチやカレー、スパゲティ、コーヒー・紅茶など。福祉施設などで製作された小物類も展示販売している。問い合わせは、カフェベルガ=電029(859)0194=へ。

東京新聞 : 2014年3月2日

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