「おまえは誰だ」−−。10年前ほど前、てんかんを持つ小室聡さん(52)=日立市大みか町=は親戚の葬式に出席。男性から投げつけられた言葉が忘れられない。かつては家族内にてんかん患者がいるだけで、村八分にされたという。母は差別を恐れ、小室さんの存在を一部の親戚に伝えていなかったのだ。
てんかんは慢性の脳疾患。意識を失うとともに、全身がけいれんしたり、力が抜けて倒れたり症状はさまざまだ。ただし、8割程度は適切な治療で発作がなくなる。4歳でてんかんと診断された小室さんも朝、夕に薬を飲み、発作は約15年間、起きていない。しかし、差別と偏見は根強く、高校3年時の就職活動では、てんかんを理由に応募全社から不採用を告げられた。
今は、てんかんに理解のある職場で働いているものの、てんかん患者が起こした交通事故などで、世間の目はさらに厳しくなっている。「かつて『てんかん』という言葉は忌み嫌われていた。今でもインターネット上には私たちが人間じゃないような差別的な言葉が並んでいる」
小室さんは日本てんかん協会県支部世話人も務める。小室さんの元には「家族を養うためには車を使って働かないといけない。どうしたらいいのか」などと苦悩する患者の声が届いている。小室さんは「適切な治療を受ければ、てんかん患者も車の運転は可能。すべてのてんかん患者の運転を悪というのはおかしい」と訴える。
てんかんへの理解促進を図ろうと、講演会などを開催しているものの、出席者はほとんどが関係者ばかり。より一層の活動をしようと思っても、多くの患者は偏見が怖く、二の足を踏むのが実情だ。だからこそ、小室さんは自治体の取り組みが欠かせないと考えている。「てんかんをオープンに語れる環境を作ってほしい。そうでなければ、社会の理解は深まらない」
毎日新聞 2014年03月04日 地方版
てんかんは慢性の脳疾患。意識を失うとともに、全身がけいれんしたり、力が抜けて倒れたり症状はさまざまだ。ただし、8割程度は適切な治療で発作がなくなる。4歳でてんかんと診断された小室さんも朝、夕に薬を飲み、発作は約15年間、起きていない。しかし、差別と偏見は根強く、高校3年時の就職活動では、てんかんを理由に応募全社から不採用を告げられた。
今は、てんかんに理解のある職場で働いているものの、てんかん患者が起こした交通事故などで、世間の目はさらに厳しくなっている。「かつて『てんかん』という言葉は忌み嫌われていた。今でもインターネット上には私たちが人間じゃないような差別的な言葉が並んでいる」
小室さんは日本てんかん協会県支部世話人も務める。小室さんの元には「家族を養うためには車を使って働かないといけない。どうしたらいいのか」などと苦悩する患者の声が届いている。小室さんは「適切な治療を受ければ、てんかん患者も車の運転は可能。すべてのてんかん患者の運転を悪というのはおかしい」と訴える。
てんかんへの理解促進を図ろうと、講演会などを開催しているものの、出席者はほとんどが関係者ばかり。より一層の活動をしようと思っても、多くの患者は偏見が怖く、二の足を踏むのが実情だ。だからこそ、小室さんは自治体の取り組みが欠かせないと考えている。「てんかんをオープンに語れる環境を作ってほしい。そうでなければ、社会の理解は深まらない」
毎日新聞 2014年03月04日 地方版