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長野市立長野高校で、障害者が暮らしやすい社会を考える授業で点字を学ぶ2、3年生の生徒14人が、目の不自由な東御市の夫婦にも読み聞かせできるようにと、自分たちで打った点字入りの絵本を贈った。
贈られたのは、両角幾雄さん(48)と妻雪弥さん(34)、長女弥恵ちゃん(2)の親子。弥恵ちゃんは目が見えるが、幾雄さんは全盲で、雪弥さんも病気の影響で右目がうっすらと見える程度だという。
絵本は、生徒たちが自宅から持ち寄った童話「ぐりとぐら」や「はらぺこあおむし」など10冊で、本文を点字に訳して張り付けた。
視覚障害者を招いた5月の講演で、両角さん夫婦が「子供に読み聞かせができない」と困っていることを聞き、授業で点訳に取り組むことになった。授業を担当する長野点字研究会の戸崎公恵代表が6月に点訳した絵本1冊を届け、両角さん夫婦が喜んでいたことを伝えると、生徒たちはもっと絵本を贈ろうと、自宅でも点訳に励んだ。
両角さん親子は14日に同校を訪れ、生徒たちと交流。雪弥さんは弥恵ちゃんを屋外で自由に遊ばせてあげられないといった視覚障害者の育児の苦労を話した。幾雄さんは「街で一緒に歩いて案内してもらうだけで安心できる。視覚障害者を見かけたら、積極的に声を掛けてほしい」と呼び掛けた。
贈られた絵本の点字を指で読み取りながら、弥恵ちゃんに物語を音読した幾雄さんは「読み聞かせをせがまれても『ごめん』と言うしかなかったのでうれしい」と語った。
(2012年11月18日 読売新聞)