Quantcast
Channel: ゴエモンのつぶやき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

東日本被災聴覚障害者の苦悩…鳥取で写真展

$
0
0
 東日本大震災から3年となるのに合わせ、鳥取県立鳥取聾(ろう)学校の元教諭高田啓一さん(65)(鳥取市雲山)と妻で元小学校教諭の啓子さん(62)が7日から、鳥取市片原の中電ふれあいホールで、写真展「東日本大震災から3年〜そのとき あなたは〜」を開く。

 被災した聴覚障害のある大学生らを中心に撮影した作品を展示、高田さんは「『聞こえないこと』がどれだけ大変かあまり知られていない。大災害に直面した聴覚障害者の当時の苦労から、命の大切さを伝えたい」と話している。

 高田さんは2008年から4年間かけて宮城から広島まで15都府県で聴覚障害のある大学生79人を撮影、昨年11月に同市内で写真展を開いた。

 撮影の過程で、学生から災害時の話を聞き、突き動かされた高田さんは、震災直後、聴覚障害者がどのような状況にあったかを広く知ってもらうため別の写真展を計画。12年5月から、撮影で出会った被災地在住、出身の大学生11人と社会人5人に順次、地震の時に避難所などでどう過ごし、どんなことを感じたのか、アンケートを実施した。

 同年9月〜13年9月の1年間に計4回、啓子さんと共に宮城、福島両県の被災地を巡り、聴覚障害者だけでなく遺族らとも交流を深めた。宮城県名取市閖上では、家族を亡くした女性らが快く出迎え、女性らは「二度と同じようなことが起こらないよう、震災のことを伝えたい」と、当時の状況を語ってくれたという。

 会場には、聴覚障害を持つ学生らの普段の様子のほか、津波で土台だけになった住宅地などいまだ爪痕の残る被災地の現状を切り取ったカラー・モノクロの写真約70点を並べる。

 添えられたアンケート結果には、「知人らが手話通訳で情報を伝えてくれていたが、避難生活の疲れからか、途中から手話を使ってくれなくなり、雑談に加われず孤独を感じた」(宮城県の女子大生)、「電気が消えてテレビがつかず、情報はラジオが頼りだったが、耳が不自由で放送が分からず、通訳してもらった」(岩手県の女子大生)など、率直な思いがつづられている。

 今回の写真展の企画を通じて被災地の児童との絆も生まれた。「何か役に立ちたい」と考えた啓子さんが、福島県立聾学校に、教材などを入れるバッグ約40枚を手作りして贈ったところ、「すてきー、はやく使いたいと思いました」など児童からのメッセージも届いた。

 高田さんは「遠く離れた鳥取から、被災地に思いをはせるきっかけになれば」としている。

 無料。写真展は12日まで(月曜休館)。午前9時半から午後5時半(最終日は午後4時まで)。

(2014年3月6日 読売新聞)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>