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活動9年半、発達障害支援のNPO休止へ

 発達障害(◎)の子どもたちとその家族の支援に取り組んできた伊丹市のNPO法人・TRY(トライ)アングルが、18日に開く月に一度のフリートーク会を最後に、9年半の活動を休止する。財政難が大きな理由だが、「発達障害への理解も広がり、一定の役割を果たせた」と判断したと、関係者は説明する。

 TRYアングルは2004年10月、発達障害の長男(24)を持つ宇和川美保理事長(54)らが発足。現在も10人前後の保護者らがスタッフとして、ほぼ手弁当でフリートーク会の開催、会報誌の発行といった活動を支えている。

 発足した当時、発達障害はあまり知られておらず、「動き回って落ち着きがない」「勉強に集中しない」といった行動が、学校などで周囲から「困った子」と見られがちだった。

 家族でも当惑するケースが多くみられた。宇和川理事長らスタッフはフリートーク会などを通じて、阪神間を中心に約100人の子どもとその家族に向き合い、話し合いを重ねて解決策を模索。また、心理学などを学ぶ大学院生らを先生に招き、学習支援にも取り組んできた。

 アドバイスを受けた親からは、「相談に行く度に、心のもやもやがすっと軽くなる感覚を味わった。子どもも元気に登校している」と感謝の言葉が届く。今春、兵庫教育大大学院を修了する古瀬弘訓さん(24)は先生を務め、「悩んでいた親子が『ここに来るのが楽しい』と言ってくれるようになった」と振り返る。

 しかし、年間に最低でも約600万円の人件費が必要な上、事務所の家賃や通信費にも約180万円がかかる。宇和川理事長は「会員の負担を増やせず、寄付に頼るのも限界。発達障害を身近な問題として捉える素地が作れた」と、休止を決断した理由を語る。

 その上で、「まだまだ苦しんでいる人は多い。そんな人たちが生き生きと暮らせる社会にするためにも、個人的に相談活動は続けていきたい」と語る。

 18日のフリートーク会は午前10時半から、伊丹市西台の事務所で開催。会員以外も参加費500円で出席できる。問い合わせはTRYアングル(072・770・6533)。

 ◎発達障害 発達障害者支援法では、社会性などに障害のある自閉症やアスペルガー症候群などの「広汎性発達障害」、読み書きや計算の習得が難しい「学習障害(LD)」、集中力が続きにくい「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」などが定義されている。文部科学省によると、2012年に被災地3県を除く都道府県で公立の小中学校に通う児童・生徒約5万3000人を調査した結果、約6・5%が発達障害の可能性があったという。

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学習支援で先生を務める大学院生らと話し合う宇和川理事長(右から2人目)(伊丹市西台で)

(2014年3月16日 読売新聞)

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