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Channel: ゴエモンのつぶやき
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障害者条例制定へ/6 中途失聴・難聴者 手話分からない人も /茨城

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◇要約筆記者の認知進めたい

 NPO法人「県中途失聴・難聴者協会」理事長の斎藤正昭さん(68)=つくば市=の元に一通の案内状が届いた。水戸市内で開催される政府主催の集会だった。案内状には手話通訳者の手配が明記される一方、「要約筆記者」はなかった。斎藤さんは主催者側に要約筆記者を手配するよう依頼したものの、「財政的に厳しい」と実現しなかった。

 中途失聴・難聴者は途中から耳が悪くなるため、幼児期から手話を学んでおらず、手話が分からないケースも少なくない。このため、斎藤さんらは各種イベントで要約筆記者を配置し、出席者の発言をプロジェクターに文字で映すよう求めている。しかし、手話通訳者に比べ、要約筆記者はほとんど認知されていないのが実情だ。

 斎藤さん自身も難聴者だ。小学校高学年のころ、聞こえづらいと思い始めた。高校卒業後、国土地理院に就職。その間、ゆっくりと聴力は悪化し、28歳のころに補聴器が手放せなくなった。同僚が談笑していることは分かるが、内容は分からない。「穴があったら、入りたい気持ちだった」。いつも取り残されているように感じていた。

 斎藤さんも2008年から3年間、本格的に手話を学んだものの、習熟できなかった。また、補聴器も万能ではない。2メートル程度離れた場所の音はよく聞こえるが、人が多く集まる場所では聞き取りづらくなってしまうのだ。ホームに入る電車音が感じられる程度の高度難聴だった斎藤さんは退職後の09年、右耳に人工内耳を埋め込み、普通の話し声が聞こえるようになった。

 厚生労働省「身体障害児・者実態調査」(06年)によると、聴覚障害者のうち30・2%が筆談や要約筆記で意思疎通を図っており、手話や手話通訳(18・9%)を上回っている。斎藤さんは「聴覚障害者は手話が分かるという思い込みがある。手話の分からない難聴者がいることも知ってほしい」。理解一つで問題は解決するはずだ。

毎日新聞 2014年03月21日 地方版【杣谷健太】=随時掲載

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