■地元自治会の理解得られず
さまざまな活動で障害者に雇用の場を提供している社会福祉法人「まるこ福祉会」(上田市)は8日夜、建設を予定していたジビエ処理加工施設について、今年度中の建設は断念せざるを得ないと表明した。施設の敷地として土地を取得した同市腰越地区の自治会が1月下旬に反対を決議し、その後も姿勢を変えておらず、県から補助金が交付されないためだ。また、この問題は2月の県議会定例会でも、共産党の高村京子県議が地元住民の反対を理由に補助金を交付しないよう求めた経緯がある。ただ、同会では自治会が説明を聴かないまま誤った認識で反対していることから、同意を得るべく説得を続け、平成27年度の建設を目指す方針だ。
◆説明拒んだまま決議
まるこ福祉会は8日夜、上田市内で、「ジビエ処理加工施設説明会」を開き、施設建設の意義と現状などについて約150人の参加者と意見交換を行った。この中ではまず、同会の柳沢正敏理事長が今年度中の施設建設が断念に追い込まれた経緯について説明した。
それによると、同会は施設建設のため、同市腰越の土地を取得し、自治会に説明の機会を設けてくれるよう要請していたが、自治会はそれを拒んだまま、1月26日に施設建設反対の決議をしたという。その後、2月28日に腰越地区を含む丸子地域の協議会で、この問題が議題となり、同自治会が反対の理由を述べたが、「施設建設について説明がなかった」「施設はと畜場だ」「血や内臓、皮をどう処理するのか明らかにしていない」など事実と異なる内容で、障害者への差別的発言もあったという。
こうした点について、8日夜の説明会では、まるこ福祉会側から施設は法的にと畜場ではなく食品衛生法に基づく処理加工施設であることや、施設には保健所の認可が得られるよう浄化設備を整える計画であることなどが改めて説明された。これに対し、一般参加者からは野生鳥獣による農業被害防止やジビエ振興、障害者の雇用創出の観点から、「地元住民を何とか説得して進めてほしい」など、施設建設に賛同する意見が相次いだ。
◆同意へ説明続ける
説明会終了後、柳沢理事長は記者団に対し、「この問題に高い関心を持っていただいていることを実感した。腰越地区の自治会には引き続き説明の場を設けてもらえるようお願いしており、理解を得たうえで、計画から1年遅れても施設を建設したい」と語った。
まるこ福祉会のジビエ処理加工施設建設は、農林水産省の交付金を活用する県の信州産シカ肉認証処理施設整備事業の補助金を受けて行う計画だが、交付金の活用は「地域住民の同意」を要件としているため、県は自治会の同意がなければ補助金を交付できない。同会が今年度中の建設を断念せざるを得ないとしているのはこのためだ。
◆自治会も「協議続行」
施設建設に反対の決議をした腰越地区自治会の宮坂雄一会長は9日、産経新聞の取材に対し、まるこ福祉会の説明を拒んだまま反対を決議した事実を認めたうえで、理由については「説明を聴く時間がなかった」とだけ語った。そのうえで、今後、説明を聴く場を設けるかどうかについては「自治会内部でも意見が割れて困っているが、協議は続けていきたい」と述べた。
一方、県議会で問題を取り上げた高村県議は同日、「腰越地区自治会から話を聞いたところ、臭いが出る、子供に悪影響を与えるなど施設建設に反対の意見が強かったので、質疑で取り上げた」と説明。ただ、「ジビエ振興はいいことなので、自治会が同意すれば建設に賛成する」との考えを示した。
問題を所管する県上小地方事務所は「県としてはジビエ振興を積極的に進める方針で、地元の理解が得られることを望んでいる。補助金は26年度予算に計上してあり、要件である自治会の同意が得られれば今年度中に交付することは可能だ」と話している。
2014.4.10 02:09 MSN産経ニュース
さまざまな活動で障害者に雇用の場を提供している社会福祉法人「まるこ福祉会」(上田市)は8日夜、建設を予定していたジビエ処理加工施設について、今年度中の建設は断念せざるを得ないと表明した。施設の敷地として土地を取得した同市腰越地区の自治会が1月下旬に反対を決議し、その後も姿勢を変えておらず、県から補助金が交付されないためだ。また、この問題は2月の県議会定例会でも、共産党の高村京子県議が地元住民の反対を理由に補助金を交付しないよう求めた経緯がある。ただ、同会では自治会が説明を聴かないまま誤った認識で反対していることから、同意を得るべく説得を続け、平成27年度の建設を目指す方針だ。
◆説明拒んだまま決議
まるこ福祉会は8日夜、上田市内で、「ジビエ処理加工施設説明会」を開き、施設建設の意義と現状などについて約150人の参加者と意見交換を行った。この中ではまず、同会の柳沢正敏理事長が今年度中の施設建設が断念に追い込まれた経緯について説明した。
それによると、同会は施設建設のため、同市腰越の土地を取得し、自治会に説明の機会を設けてくれるよう要請していたが、自治会はそれを拒んだまま、1月26日に施設建設反対の決議をしたという。その後、2月28日に腰越地区を含む丸子地域の協議会で、この問題が議題となり、同自治会が反対の理由を述べたが、「施設建設について説明がなかった」「施設はと畜場だ」「血や内臓、皮をどう処理するのか明らかにしていない」など事実と異なる内容で、障害者への差別的発言もあったという。
こうした点について、8日夜の説明会では、まるこ福祉会側から施設は法的にと畜場ではなく食品衛生法に基づく処理加工施設であることや、施設には保健所の認可が得られるよう浄化設備を整える計画であることなどが改めて説明された。これに対し、一般参加者からは野生鳥獣による農業被害防止やジビエ振興、障害者の雇用創出の観点から、「地元住民を何とか説得して進めてほしい」など、施設建設に賛同する意見が相次いだ。
◆同意へ説明続ける
説明会終了後、柳沢理事長は記者団に対し、「この問題に高い関心を持っていただいていることを実感した。腰越地区の自治会には引き続き説明の場を設けてもらえるようお願いしており、理解を得たうえで、計画から1年遅れても施設を建設したい」と語った。
まるこ福祉会のジビエ処理加工施設建設は、農林水産省の交付金を活用する県の信州産シカ肉認証処理施設整備事業の補助金を受けて行う計画だが、交付金の活用は「地域住民の同意」を要件としているため、県は自治会の同意がなければ補助金を交付できない。同会が今年度中の建設を断念せざるを得ないとしているのはこのためだ。
◆自治会も「協議続行」
施設建設に反対の決議をした腰越地区自治会の宮坂雄一会長は9日、産経新聞の取材に対し、まるこ福祉会の説明を拒んだまま反対を決議した事実を認めたうえで、理由については「説明を聴く時間がなかった」とだけ語った。そのうえで、今後、説明を聴く場を設けるかどうかについては「自治会内部でも意見が割れて困っているが、協議は続けていきたい」と述べた。
一方、県議会で問題を取り上げた高村県議は同日、「腰越地区自治会から話を聞いたところ、臭いが出る、子供に悪影響を与えるなど施設建設に反対の意見が強かったので、質疑で取り上げた」と説明。ただ、「ジビエ振興はいいことなので、自治会が同意すれば建設に賛成する」との考えを示した。
問題を所管する県上小地方事務所は「県としてはジビエ振興を積極的に進める方針で、地元の理解が得られることを望んでいる。補助金は26年度予算に計上してあり、要件である自治会の同意が得られれば今年度中に交付することは可能だ」と話している。
2014.4.10 02:09 MSN産経ニュース