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八王子 中核市めざして(4) ともに生きる社会目指し

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 市は「障害がある人もない人も共に安心して暮らせるまちづくり条例」を二〇一一年、政令指定都市を除く全国の市町村で初めて制定した。中核市移行に合わせ、この条例を補完する取り組みをめざしている。

 一つは、すべての福祉施設職員に「虐待防止研修」を義務づけることだ。障害者はもちろん、子どもからお年寄りまで利用者の人権を守るため、関連条例に盛り込むことを検討している。法律は研修を努力義務とし、都条例には記載がない。

 障害者の社会参加を促すため、障害者の雇用促進と作業所製品の購入を福祉施設の努力義務とする案もある。障害者雇用促進法はすべての事業所に障害者を雇用する努力を求めており、従業員五十人以上の事業所には法定雇用率(2%)の達成を義務づけている。だが、福祉施設は小規模事業所が多く、ほとんどが法定雇用率の適用対象から外れる。

 障害者福祉課の古川由美子課長は「小規模な福祉施設も法律では障害者雇用が努力義務とされており、さらに市の条例で努力義務と明記することで市の施策として進めやすくしたい。福祉施設だからこそ協力してほしいと考えている」と話す。

 福祉の面では、児童保育も注目される。中核市になると、保育園の設備や運営基準を独自に条例で決めることができるからだ。

 識者を交えた「子ども・子育て支援審議会」で検討中だが、園児数に対する職員の配置基準を都条例よりも引き上げ、保育の質を高める方針だ。約二百五十人(昨年四月)の待機児童の解消も引き続き懸案とされている。

 市内の認可保育園は九十一。認可に準じる認証保育園のうち十園は認可園への移行を希望しており、数年後に認可園が百園に達する見込みだ。配置基準の引き上げは、いかに多くの保育士を確保できるかが課題となり、現場の理解が必要だが、保育対策課の久間毅課長は「関係団体から意見を聞いているが、前向きな手応えを感じている」と話す。

 独自色も打ち出そうとしている。食の安全の徹底と食育の促進を目的に、すべての園児の給食を園内の調理室でつくる「自園調理」を義務づける方針だ。都条例は自園調理を原則としながら、特例として三歳以上の園児給食で「外部搬入」を認めている。

 市内の園児約一万人のうち食物アレルギーのある子は三百七十六人(3・7%)。外部搬入には、関係者から食物アレルギーの原因食材が混入しても園側は判断が難しいといった指摘などもあった。

 市は市政の指針とする基本構想の中で、理想の都市像の一つに「健康で笑顔あふれる、ふれあい、支えあいのまち」を掲げる。福祉の現場に細かく目配りできる中核市への移行は、目標への確かな一歩となる。

2014年4月11日 東京新聞

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