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聴覚障害者と健常者、訓練に手応え 相互理解から分かる課題 /和歌山

 ◇障害者「ホワイトボードでも説明を」/健常者「普通に歩けば音気にならぬ」

 橋本市や伊都郡の聴覚障害者と手話サークルの健常者ら計約80人が先月、避難所体験訓練に初めて取り組んだ。聴覚障害の有無は外見からは分かりにくく、災害時に情報が得にくい問題点がこれまで指摘されている。周りの音や自分の声が聞こえないために音の調整が難しく、訓練では、健常者の迷惑になることを気にして、必要以上に物音を立てないよう静かに歩いた人もいた。「橋本・伊都聴覚障がい者防災対策推進委員会」委員長の谷口作男さん(72)は「健常者と訓練してみて、初めて分かることが多かった」と手応えを感じている。

 同委員会は2010年に発足した。きっかけは、1995年の阪神大震災の際、避難所で聴覚障害者に食料配給の情報が伝わらず、飲食物をもらえなかった例があると知ったからだ。月1回会合を開き、和歌山大学防災研究教育センターの協力も得て、防災活動に取り組んでいる。

 2011年には、健常者向けの冊子「災害SOS〜知ってほしい!聴覚障がい者のこと〜」を作成。障害者とのコミュニケーション方法(例・手話や筆談)▽災害時に困ること(例・放送が聞こえない)▽避難所で出来ること(例・掃除や物資運搬)−−などを盛り込んだ。

 避難所体験は3月8、9両日、かつらぎ町中飯降の県立紀北青少年の家で行った。給水車からの給水訓練のほか、竹と毛布を使った応急担架でけが人搬送訓練も実施。体育館に段ボールで間仕切りをして床にシートや毛布を敷き、一晩を過ごした。

 この訓練の反省会を今月7日に開き、「手話だけでなく、ホワイトボードに文字を書いて説明してもらえれば、分かりやすかった」などの意見が出た。また、ある障害者が「夜間に大きな音をたてないように、翌日に筋肉痛になるぐらいゆっくり歩いた」と伝えると、健常者からは「普通に歩いても音は気にならない」と応じていた。

 訓練に協力した和歌山大学防災研究教育センターの今西武客員教授は「今回は、障害者をよく知る手話サークルの人たちと一緒だった。今後は、地域の一般の健常者たちと訓練してみては」と提案した。

毎日新聞 2014年04月22日 地方版

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