重度障害者にタクシーの初乗り運賃相当額を助成する福岡市の福祉事業で、市が今年度、4月の消費増税に伴うタクシー運賃の値上げ分を助成金に反映させていないことが分かった。利用者は一定の距離を超えて小型タクシーに乗車すると20円の負担増となり、障害者支援団体から「実質的な助成金の切り下げだ」との批判が出ている。
事業は、重度障害者の社会活動の範囲拡大などを目的に、タクシーの初乗り運賃相当額分の利用券を交付する。利用券は申請に応じて月4枚、年間最大48枚交付され、市内および周辺のタクシー会社133社で使える。
タクシー会社によって初乗り運賃は違うが、市は3月まで、小型タクシーの場合は多くの会社が採用していた550円を「相当額」と設定。4月に消費税が8%に引き上げられ、初乗りは570円に値上がりしたが、「相当額」は550円に据え置いた。今年度の対象者を約6200人と見込み、当初予算に約9200万円を計上した。
市の担当者は「3月上旬にタクシーの値上げ額が分かったが、既に利用券を印刷しており、再印刷はコストがかかり、4月からの交付にも間に合わないので難しかった」と釈明するが、運賃の値上がり分を上乗せするかどうかについては2015年10月に消費税が10%へ増税される場合に検討するとしており、すぐの引き上げには消極的だ。一方で、同様の福祉事業を実施する北九州市や福岡県久留米市は今回の消費増税に伴う運賃値上げ分も助成しており、福岡市の姿勢が問われそうだ。
「障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会」の石松周(ちかし)会長は「福岡市は見えないところで福祉を削減している。初乗り運賃を助成するという制度の趣旨に反したものだ」と批判している。
毎日新聞 2014年04月22日 08時00分
事業は、重度障害者の社会活動の範囲拡大などを目的に、タクシーの初乗り運賃相当額分の利用券を交付する。利用券は申請に応じて月4枚、年間最大48枚交付され、市内および周辺のタクシー会社133社で使える。
タクシー会社によって初乗り運賃は違うが、市は3月まで、小型タクシーの場合は多くの会社が採用していた550円を「相当額」と設定。4月に消費税が8%に引き上げられ、初乗りは570円に値上がりしたが、「相当額」は550円に据え置いた。今年度の対象者を約6200人と見込み、当初予算に約9200万円を計上した。
市の担当者は「3月上旬にタクシーの値上げ額が分かったが、既に利用券を印刷しており、再印刷はコストがかかり、4月からの交付にも間に合わないので難しかった」と釈明するが、運賃の値上がり分を上乗せするかどうかについては2015年10月に消費税が10%へ増税される場合に検討するとしており、すぐの引き上げには消極的だ。一方で、同様の福祉事業を実施する北九州市や福岡県久留米市は今回の消費増税に伴う運賃値上げ分も助成しており、福岡市の姿勢が問われそうだ。
「障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会」の石松周(ちかし)会長は「福岡市は見えないところで福祉を削減している。初乗り運賃を助成するという制度の趣旨に反したものだ」と批判している。
毎日新聞 2014年04月22日 08時00分