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駅ホームの安全対策 埼玉県で「ハード」「ソフト」両面で取り組み

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 視覚障害者にとって「欄干のない橋」とも形容される駅のホーム。転落など重大事故が起きるたび対策の必要性が指摘されながら、ホームドアをはじめとする「ハード面」の拡充は道半ばだ。こうした中、埼玉県内ではコスト面や、技術的な課題をアイデアで克服する実験が進んでいる。同時に、視覚障害者の立場に立った「ソフト面」を充実させる動きも広がりつつあるようだ。(川峯千尋)

■相次ぐ転落に危険訴え

 「視覚障害者の多くがホームからの転落事故を経験しています」

 JR大宮駅前で15日、県立特別支援学校塙保己一学園(川越市笠幡)の荒井宏昌校長(56)が駅利用者に呼びかけた。同校は過去に3人、ホームの転落事故で生徒らを亡くした。この日は関東甲信越にある18校の盲学校の校長らとともに、点字ブロックの重要性などを啓発した。

 高校時代に視力を失った同校教諭の中野亮介さん(46)は、ホームから転落した経験が3回もある。中学3年の時は、ひざを5針縫うけがを負った。「ホームドアがあれば精神的な負担が減り、行動範囲も広がる。健常者にとっても安全で、鉄道会社の信頼につながるのでは」。中野さんはこう期待を込める。

■20%が「ヒヤリ」

 平成23年8月の国の調査では、駅利用者の約20%がホームから転落しそうになった経験があるという。関東運輸局によると24年度、関東圏の駅でホームからの転落や電車との接触などの人身傷害事故は207件。県内でも同年度、22件の転落・接触事故が発生し、増加傾向にあるという。

 207件のうち約6割は酔客による事故だが、視覚障害者などの交通弱者が事故に巻き込まれるケースも後を絶たない。県内では24年3月、東武東上線川越駅のホームを1人で歩いていた視覚障害者の男性が線路に転落、電車にはねられて死亡した。

 相次ぐ事故を受け、注目されたのが、ホームと線路を物理的に隔てるホームドアだ。だが、県内234駅中、設置されているのは埼玉高速鉄道などの計13駅。国は1日の利用者が10万人以上の駅で優先的設置を推奨しているが、大宮や浦和駅など、県内で該当する14駅は設置に至っていない。

■ハードに「思いやり」も

 設置が進まない背景には1駅あたり4〜8億円かかるとされる費用やホームの強度、ドア数の異なる車両への対応など多くの壁がある。こうした中、目先を変えた実験も始まっている。

 西武新所沢駅(所沢市緑町)では昨年8月、電車の種類を判断し、扉の数や位置に応じて柵ごと動く戸袋移動型の「どこでもホームドア」を設置。乗客の反応や耐久性などを約半年間検証した。神奈川県の駅でも従来型に比べ重量が約3分の1のロープ型ホームドアが新設されている。

 一方、人のつながりで事故を防ぐ「ソフト面」の取り組みもある。埼玉県は25年度から視覚障害者をサポートする「声かけ・サポート」活動を始めた。月数回、視覚障害者へのサポートスキルを身につける講習を開いている。県交通政策課は「ホームドアはすぐ設置できるものではない。ソフト面の充実も図り事故を防ぎたい」と狙いを説明する。

 県視力障害者福祉協会は「『お手伝いしましょうか』の一言が視覚障害者にとって心強い。点字ブロックをさえぎらないなど、思いやり一つで防げる事故をもある」と強調した。

2014.5.17 22:54   MSN産経ニュース

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