重い肝機能障害を対象とした身体障害者手帳の取得者が、2010年4月の交付開始以降、厚生労働省の想定数の1〜2割にとどまることが分かった。
患者団体は「基準が厳しすぎる」と見直しを求めており、同省は、今月から研究班による実態調査を始め、基準見直しに乗り出す。担当の同省障害保健福祉部は「調査結果を受け、早急に対応したい」としている。
同障害者手帳は、血液製剤投与による薬害肝炎訴訟をきっかけに、重度の肝機能障害患者を幅広く救済する目的で交付が決まった。その認定基準がわずか数年で見直されることになれば異例だ。
交付対象は、肝硬変などの肝疾患で生活に支障があり、治療による症状改善が難しい人。腹水や意識障害、肝機能などを評価し、国際指標で「最重症」に当たる状態が3か月以上続くことが要件で、手帳があれば自治体の医療費助成や交通運賃割引などを受けられる。
肝硬変の患者だけでも国内に約30万人いる。同省の検討会が「うち1割が最重症」との見解を示し、同省は交付対象を計3万〜5万人と試算したが、初年度の交付者数は5876人で、12年度末でも6556人と想定を大きく下回った。
患者団体や、検討会委員を務めた長崎医療センターの八橋やつはし弘・臨床研究センター長によると、交付基準が厳しく、腹水で歩けない状態でも交付されない人がいる。肝がんを併発する患者も多いが、抗がん剤治療で肝機能の数値が一時的に改善したため、基準から外れるケースもある。
八橋センター長は「入院して腹水を抜くだけでも5万〜6万円かかり、年金世帯には負担が大きい。一度でも最重症になった患者の3割は1年以内に死亡している。早急な基準の見直しが必要」と話している。
(2014年6月7日 読売新聞)
患者団体は「基準が厳しすぎる」と見直しを求めており、同省は、今月から研究班による実態調査を始め、基準見直しに乗り出す。担当の同省障害保健福祉部は「調査結果を受け、早急に対応したい」としている。
同障害者手帳は、血液製剤投与による薬害肝炎訴訟をきっかけに、重度の肝機能障害患者を幅広く救済する目的で交付が決まった。その認定基準がわずか数年で見直されることになれば異例だ。
交付対象は、肝硬変などの肝疾患で生活に支障があり、治療による症状改善が難しい人。腹水や意識障害、肝機能などを評価し、国際指標で「最重症」に当たる状態が3か月以上続くことが要件で、手帳があれば自治体の医療費助成や交通運賃割引などを受けられる。
肝硬変の患者だけでも国内に約30万人いる。同省の検討会が「うち1割が最重症」との見解を示し、同省は交付対象を計3万〜5万人と試算したが、初年度の交付者数は5876人で、12年度末でも6556人と想定を大きく下回った。
患者団体や、検討会委員を務めた長崎医療センターの八橋やつはし弘・臨床研究センター長によると、交付基準が厳しく、腹水で歩けない状態でも交付されない人がいる。肝がんを併発する患者も多いが、抗がん剤治療で肝機能の数値が一時的に改善したため、基準から外れるケースもある。
八橋センター長は「入院して腹水を抜くだけでも5万〜6万円かかり、年金世帯には負担が大きい。一度でも最重症になった患者の3割は1年以内に死亡している。早急な基準の見直しが必要」と話している。
(2014年6月7日 読売新聞)