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精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差

 障害者手帳による交通運賃の割引を精神障害者にも適用している事業者は鉄道の場合、3割にとどまり、大手はどの社も適用していないことが読売新聞の全国調査でわかった。

 路線バスは7割の社が適用している。身体・知的障害は全社が半額割引を基本にしており、精神障害者は取り残されている形だ。

 各社のホームページの記載、自治体や業界団体の情報、個別の問い合わせなどで全社の制度を調べた。

 鉄道158社(ケーブルカーを除く)の中で、精神障害者にも割引するのは46社。うち43社は中小私鉄や第3セクターだ。JR6社、大手私鉄16社は適用せず、「新たな福祉割引は国や自治体の負担でやってほしい」などとしている。

 公営の地下鉄でも適用は仙台市だけ。東京都や政令市の多くは、住民に限り、福祉予算で精神障害者を含めて無料パスなどを出しているが、交通事業者としては身体・知的障害にしか割引していない。

 一般路線バス(高速バス、空港バス、コミュニティーバスを除く)は、450社のうち328社が精神障害者にも割引を適用、8社が一部地域で適用している。ただし地域差が大きい。25都県は全社が適用だが、山梨、愛知、愛媛、大分はゼロ。岩手、栃木、神奈川、京都、大阪、兵庫、高知、福岡も遅れている。

 国土交通省は「障害の種類で扱いが違うのはおかしく、精神障害者にも割引を適用するのが望ましい」とし、各社に理解と協力を要望している。バスでは2012年7月に標準的な運送約款を改正して精神障害者も割引対象に加えたこともあり、適用する社が拡大したが、鉄道は同様の制度がない。事業者への補助などは検討していないという。

 ◆栄セツコ・桃山学院大教授(社会福祉学)の話「国は3種類の障害の一元的な扱いを進めている。日本も批准した障害者権利条約は障害者が負担しやすい費用で移動できる措置を求めており、社会参加を促進する意味でも扱いの差をなくすべきだ。社会全体で解決方法を考える必要がある」

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(2014年7月3日 読売新聞)

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