就労支援や教育など農業の多面的な効果を取り入れた「ユニバーサル農業」が、県内でも広まりつつある。県の研究会が4日、県庁で開かれ、福祉や農業の関係者ら約30人が、昨年度から実施している実証事業の成果や課題を共有した。
ユニバーサル農業は農作業に取り組むことで、▽内職などが中心の障害者の収入アップ▽就学も就業もしていない「ニート」の就労へのリハビリ効果▽小中高校生に食べ物ができるまでの過程を伝える教育効果−−などが期待できるとして、近年注目を集めている。
県は2011年に「とちぎユニバーサル農業研究会」を設置し、12年度に県内の民間の先進事例を視察するなどして推進方策をまとめた。県農政課によると、県内では13年度に83件が実施され、内訳は教育40件、障害者への作業委託14件などだった。県はさらに取り組みを広めようと、同年度から障害者、若いニートを対象に2カ所で実証事業を始めた。
この日の研究会では、▽障害の異なる複数の施設でも合同での作業が可能なことが分かり、大人数などさまざまな農家側の要望にも対応できることが分かった▽能力に合わせた農作業の細分化ができ、受け入れ農家と施設が事前に確認すべき事項がリスト化できた−−などと実証事業の成果が報告された。
県は14年度も事業を続け、窓口となる県農業振興事務所や各地区の障害者施設の代表が共有できる事業モデルを構築することを目指している。県の担当者は「施設ごとに障害の程度や作業能力などが異なり、画一的な対応は不可能。事例を共有し、研究会で顔を合わせることで、相談して円滑にユニバーサル農業を広めていける下地づくりができれば」と話している。
毎日新聞 2014年07月05日 地方版
ユニバーサル農業は農作業に取り組むことで、▽内職などが中心の障害者の収入アップ▽就学も就業もしていない「ニート」の就労へのリハビリ効果▽小中高校生に食べ物ができるまでの過程を伝える教育効果−−などが期待できるとして、近年注目を集めている。
県は2011年に「とちぎユニバーサル農業研究会」を設置し、12年度に県内の民間の先進事例を視察するなどして推進方策をまとめた。県農政課によると、県内では13年度に83件が実施され、内訳は教育40件、障害者への作業委託14件などだった。県はさらに取り組みを広めようと、同年度から障害者、若いニートを対象に2カ所で実証事業を始めた。
この日の研究会では、▽障害の異なる複数の施設でも合同での作業が可能なことが分かり、大人数などさまざまな農家側の要望にも対応できることが分かった▽能力に合わせた農作業の細分化ができ、受け入れ農家と施設が事前に確認すべき事項がリスト化できた−−などと実証事業の成果が報告された。
県は14年度も事業を続け、窓口となる県農業振興事務所や各地区の障害者施設の代表が共有できる事業モデルを構築することを目指している。県の担当者は「施設ごとに障害の程度や作業能力などが異なり、画一的な対応は不可能。事例を共有し、研究会で顔を合わせることで、相談して円滑にユニバーサル農業を広めていける下地づくりができれば」と話している。
毎日新聞 2014年07月05日 地方版