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Channel: ゴエモンのつぶやき
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<はたらく>少しの理解で働けるのに… 障害や難病者の就労に配慮を

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 外見からは分かりづらい障害や病気のある人が就労する場合、通勤や勤務時間、職場の環境などで困難に直面することが多い。だが、周囲からは理解されにくいのが現状だ。中には障害や病気を隠して働き、症状を悪化させる人もいる。患者団体は「勤務上配慮すべきことを職場に伝える仕組みが必要では」と訴える。 (稲田雅文)


 愛知心臓病の会に所属する名古屋市の安田昭雄さん(53)は一見すると健常者だが長年、心臓病に苦しんできた。数年前まで勤めた名古屋市内の広告会社で長年、勤務で配慮されなかったことが、体調が悪かった一因と考えている。


 幼いころから疲れやすさや息切れ、不整脈を自覚していた。「心房中隔欠損」と診断されたのは遅く、二十九歳のときだった。手術後、内臓機能に障害がある「内部障害」として身体障害者手帳を取得。復職したものの、心肺機能のバランスが崩れたためか、より疲れやすくなり、無理ができなくなった。


 広告原稿を制作する仕事は、忙しいときには二〜三日帰宅できなかったことも。上司には体調について伝えていたのに、残業や休日出勤で特に配慮してもらえなかった。早めに帰宅すると同僚からは白い目で見られ、給料でも差をつけられた。


 四十歳を目前に転勤を命じられた。通院のため転勤はできないと会社に伝えていたが、年齢的に新しい仕事は見つけられないとあきらめ、受け入れた。体に無理がかかり、数カ月後、出勤途中に路上で意識を失い、病院へ運ばれた。


 名古屋に戻されると、仕事が何も与えられなかった。出社して座っているだけの日々が八カ月続いた。暗に退職するよう求められていると感じたが、耐えた。営業に回されると、自分のペースで休憩しながら仕事ができるようになり、体調は改善した。


 その後、別の会社へ移った安田さんは「あまりにも理解がなかった。労使間で話し合うなど、働き方を考えてほしかった」と語る。


    ◇


 障害者の場合、法律で企業などに法定雇用率以上の割合で雇用することが義務付けられ、来年四月には民間企業の場合、現在の1・8%から2・0%に引き上げられる。より厳しい立場に置かれているのが難病患者だ。


 医療の進歩で多くの人が就業可能な状態にもかかわらず、難病は「重症で就労は難しい」とのイメージが根強い。障害者手帳や法定雇用率のような制度もない。


 稀少(きしょう)難病者全国連合会・あせび会会長の佐藤エミ子さんによると、腸が炎症を起こす「クローン病」や潰瘍性大腸炎の人の場合、薬で病状を制御し、症状が悪化しない限りは日常生活を送ることができる。しかし、通勤電車や職場で冷暖房の影響を受けやすいという。職場に病気を隠して働き、症状を悪化させる人もいる。


 難病対策を考える厚生労働省の委員会では、障害者手帳に倣い、難病がある人向けの「難病手帳」を検討する。しかし、佐藤さんは「手帳だけでは職場の理解は広がらない」と疑問を投げかける。


 難病患者の症状は千差万別だが、勤務の時間や休憩時間で配慮したり、空調を抑えた部屋を用意したりと、少しの工夫で働き続けられる人が多い。佐藤さんは「就労に当たっての注意すべき点を医師から雇用主に書面で渡し、配慮させる制度ができれば、ハンディがある人の就労がもっと進むはず。病気を隠さず職場に理解を求めやすくもなる」とする。

◆身体障害者手帳持つ内部障害者 06年は107万人に


 厚生労働省の統計によると、心臓や腎臓、肺などの疾患により、身体障害者手帳を交付された内部障害者は、2006年で107万人に上る。国が指定する130の難病のうち、医療費の公費助成が受けられるのは56の特定疾患で、全国で約78万人。平均発症年齢は41.0歳。

東京新聞-2012年11月23日

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