映像作家の今村彩子さん(35)=名古屋市=が東日本大震災で耳の不自由な人たちの状況を撮った映画「架け橋きこえなかった3・11」が16日、長野県内で初めて塩尻市で上映される。自らも聴覚障害のある今村さんが震災直後、「聞こえない人たちはどうしているか」と思い、被災地に通って撮影したドキュメンタリー。「長野も災害とは無縁ではない。この映画を通し、万が一の備えに役立ててほしい」と訴えている。
今村さんは名古屋市出身。生まれつき耳が聞こえなかった。小学生のころ、父親が借りてきた洋画のビデオを字幕で理解し、映像の世界に興味を持った。
愛知教育大在学中に1年間、米国に留学。映像技術を学んだ。帰国後、交通事故で手話ができなくなった聴覚障害者が直面する課題や、海外の聴覚障害者の暮らしなどを映像作品にしてきた。
東日本大震災では、聴覚障害者がどうしているのか気になり、発生から11日後に撮影スタッフ2人と新潟県経由で宮城県に入った。
津波警報が聞こえなかった70代の女性は揺れが収まった後、家財道具が散乱した自宅を夫と片付けていた。様子を見に来た近所の人に車に押し込まれ高台に逃れた。自宅は津波に流された。女性は避難所で情報を得るため、常に緊張していた。
津波を免れた聴覚障害者の男性は、聴覚障害者の「命綱」ともいえる携帯メールが不通になったため、安否の分からない仲間を捜し避難所を訪ね歩いていた。
その後も被災地に通い、取材を重ねた。特別支援学校の耳が不自由な生徒たちは、学校が長期間休みになり、手話で会話する人がいなくて不安をため込んでいた。
「架け橋きこえなかった3・11」は昨年秋、撮りためた映像を1時間14分に編集して仕上げた。「いざという時に頼りになるのは、人の支え合いだと思う」と、取材を通して得た思いを伝えたいという。
上映会は午後7時から、塩尻市レザンホール。当日券1200円(前売り千円)。障害者手帳を持つ人と小学生以下は半額。当日は今村さんも会場を訪れ、上映後手話で思いを伝える予定だ。問い合わせは実行委の中村さん(電話090・7845・0419)へ。
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「災害時は互いの助け合いが大事だと思う」と手話で伝える映像作家の今村さん
07月15日(火) 信濃毎日新聞
今村さんは名古屋市出身。生まれつき耳が聞こえなかった。小学生のころ、父親が借りてきた洋画のビデオを字幕で理解し、映像の世界に興味を持った。
愛知教育大在学中に1年間、米国に留学。映像技術を学んだ。帰国後、交通事故で手話ができなくなった聴覚障害者が直面する課題や、海外の聴覚障害者の暮らしなどを映像作品にしてきた。
東日本大震災では、聴覚障害者がどうしているのか気になり、発生から11日後に撮影スタッフ2人と新潟県経由で宮城県に入った。
津波警報が聞こえなかった70代の女性は揺れが収まった後、家財道具が散乱した自宅を夫と片付けていた。様子を見に来た近所の人に車に押し込まれ高台に逃れた。自宅は津波に流された。女性は避難所で情報を得るため、常に緊張していた。
津波を免れた聴覚障害者の男性は、聴覚障害者の「命綱」ともいえる携帯メールが不通になったため、安否の分からない仲間を捜し避難所を訪ね歩いていた。
その後も被災地に通い、取材を重ねた。特別支援学校の耳が不自由な生徒たちは、学校が長期間休みになり、手話で会話する人がいなくて不安をため込んでいた。
「架け橋きこえなかった3・11」は昨年秋、撮りためた映像を1時間14分に編集して仕上げた。「いざという時に頼りになるのは、人の支え合いだと思う」と、取材を通して得た思いを伝えたいという。
上映会は午後7時から、塩尻市レザンホール。当日券1200円(前売り千円)。障害者手帳を持つ人と小学生以下は半額。当日は今村さんも会場を訪れ、上映後手話で思いを伝える予定だ。問い合わせは実行委の中村さん(電話090・7845・0419)へ。

「災害時は互いの助け合いが大事だと思う」と手話で伝える映像作家の今村さん
07月15日(火) 信濃毎日新聞