海を地域資源として活用し、安全・安心を守る「渚(なぎさ)の交番」が、小浜市鯉川の若狭鯉川シーサイドパークにオープンした。日本財団が全国で展開するプロジェクトの一環で、宮崎市、静岡県御前崎市に次いで全国3カ所目。運営は地元の社会福祉法人が引き受ける。障害者や高齢者らの就労の場として期待されている。「海洋型福祉拠点」としては全国初のケースで、他府県からも注目を集める。
渚の交番は、海を利用する人や海で活動する人の声を集め、それぞれの地域で活動する団体と協働し海辺の問題を解決する“海の窓口”。2010年、宮崎市の青島海水浴場に、地元のライフセービングクラブが主体となって第1号が誕生した。宮崎、御前崎両市が観光や海洋教育をメーンとしているのに対し、小浜は福祉に主眼を置いたのが大きな特徴といえよう。
小浜の運営は、障害者の自立や社会参加を支援している社会福祉法人コミュニティーネットワークふくい(C・ネットふくい)が当たる。C・ネットふくいは、鯉川がある小浜市加斗地区に事業所を長年構えている縁で、同パーク唯一となった浜茶屋の運営を引き継いできた。レジャーの多様化などで海水浴客が減少する中、再び地元に活気を取り戻すとともに、障害者や未就労者らの働く場を確保しようと、同財団とともにプロジェクトに取り組むことになった。
壁がなく風通しの良いオープンガーデンにはキッチンカーを置き、夏だけでなく通年型の浜茶屋とする。へしこカレーやへしこ焼きそばなど、地元の特産を使ったメニューを提供。ここでの接客や物品販売をはじめ、海水浴場などの清掃、花壇や樹木の保守管理など、C・ネットふくいの施設利用者らが一手に請け負うことになる。
また、近くには古墳時代後期から奈良時代まで都に塩を送っていたとされる岡津製塩遺跡(国指定史跡)があることから、同交番にも塩作りができる工房を設置した。C・ネットふくいが自然塩の製造工程の一部を同工房で行うほか、観光客にも塩作り体験ができるようにした。
開所式に出席した同財団の海野光行常務理事は「地元の人の熱意が実を結んだ形。海と福祉という組み合わせは今後のモデルケースになり得る」と強調。「(渚の交番は)当面は10カ所が目標で、各自治体同士の交流も進めばいい」と今後を見据える。
現状では、障害者らの働く場が十分に確保されているとはいえず、生きがいを持って働ける場をつくり出すのはなかなか難しい。今回の試みは、観光と福祉を結びつけた新たな雇用創出としても注目される。
福井新聞
渚の交番は、海を利用する人や海で活動する人の声を集め、それぞれの地域で活動する団体と協働し海辺の問題を解決する“海の窓口”。2010年、宮崎市の青島海水浴場に、地元のライフセービングクラブが主体となって第1号が誕生した。宮崎、御前崎両市が観光や海洋教育をメーンとしているのに対し、小浜は福祉に主眼を置いたのが大きな特徴といえよう。
小浜の運営は、障害者の自立や社会参加を支援している社会福祉法人コミュニティーネットワークふくい(C・ネットふくい)が当たる。C・ネットふくいは、鯉川がある小浜市加斗地区に事業所を長年構えている縁で、同パーク唯一となった浜茶屋の運営を引き継いできた。レジャーの多様化などで海水浴客が減少する中、再び地元に活気を取り戻すとともに、障害者や未就労者らの働く場を確保しようと、同財団とともにプロジェクトに取り組むことになった。
壁がなく風通しの良いオープンガーデンにはキッチンカーを置き、夏だけでなく通年型の浜茶屋とする。へしこカレーやへしこ焼きそばなど、地元の特産を使ったメニューを提供。ここでの接客や物品販売をはじめ、海水浴場などの清掃、花壇や樹木の保守管理など、C・ネットふくいの施設利用者らが一手に請け負うことになる。
また、近くには古墳時代後期から奈良時代まで都に塩を送っていたとされる岡津製塩遺跡(国指定史跡)があることから、同交番にも塩作りができる工房を設置した。C・ネットふくいが自然塩の製造工程の一部を同工房で行うほか、観光客にも塩作り体験ができるようにした。
開所式に出席した同財団の海野光行常務理事は「地元の人の熱意が実を結んだ形。海と福祉という組み合わせは今後のモデルケースになり得る」と強調。「(渚の交番は)当面は10カ所が目標で、各自治体同士の交流も進めばいい」と今後を見据える。
現状では、障害者らの働く場が十分に確保されているとはいえず、生きがいを持って働ける場をつくり出すのはなかなか難しい。今回の試みは、観光と福祉を結びつけた新たな雇用創出としても注目される。
福井新聞