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「健常者と同居」は除外…車いす男性と妻犠牲に

 広島市北部の土砂災害で、災害対策基本法に基づき、自治体が災害弱者らを把握するために作成する避難行動要支援者名簿に、健常者の同居人がいるとして掲載されなかった身体障害者が犠牲となった。

 市は、75歳未満の同居人がいれば、原則として名簿に掲載しない。今回、身の危険を感じながらも避難できずに自宅で耐えた障害者がおり、障害者団体から扱いの見直しを求める声が上がっている。

 「妹は、利さんを車いすに乗せて逃げようとしたんじゃないか」。同市安佐南区緑井で亡くなった村田利主(としかず)さん(59)夫妻。四肢が不自由な利主さんを介護していた妻宏美さん(54)の姉、佐々木康子さんは推測する。

 電気技師だった利主さんは2011年3月、仕事中の事故で首から下がほとんど動かせなくなった。宏美さんが世話をしており、名簿に利主さんの名前はなかったという。

 8月20日、2階建ての家は土石流で1階が押し流され、2階部分は近くの家に引っかかっていた。2人の遺体は利主さんのベッド脇で寄り添うように見つかり、そばに車いすがあった。

 「2階に上がっていれば助かったかもしれない。でも、妹1人の力では無理」と康子さん。地元の民生委員(64)も村田さん夫妻のことを把握していなかったといい、「知っていたら、何か手助けできたかも」と悔やむ。

 支援がないまま、命をつないだ人もいる。

 車いす生活の同市安佐南区の吉川(きっかわ)一彦さん(55)も妻とよ子さん(50)と同居し、名簿の掲載対象になっていなかったという。

 同日午前3時頃、自宅1階でとよ子さんは突然、泥の臭いに気付いた。そばで寝る一彦さんを2階に移動させたかったが、無理だった。「2人とも流されてしまうのか」。祈るような思いで朝を待った。家は無事だったが、泥水は玄関のすぐ先まで迫っていた。

 広島県内の障害者団体でつくる「広島障害フォーラム」は11日、市に掲載の対象見直しなどを要請した。内閣府は、13年の指針に「同居家族がいることのみで除外するのは不適切」と明記。フォーラムの藤岡耕二代表は「困っている障害者らの情報が届くよう対象を広げるべきだ」と訴える。

 これに対し、市は「対応を検討している」という。

 避難行動要支援者

 高齢者、障害者ら災害発生時に自力で避難が困難な人。個別に避難支援計画が作成され、担当の民生委員らが避難所へも連れて行く。政府は、東日本大震災を教訓として、2013年に災害対策基本法を改正、市町村に名簿作成を義務づけた。

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車いすで暮らす吉川一彦さん(手前)と妻とよ子さん。災害発生日に玄関先まで泥水が迫ったが、2階に上がれなかった(13日、広島市安佐南区で)=枡田直也撮

(2014年9月16日 読売新聞)

これは重大な問題です。早急な見直しをお願いします。


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