災害発生時、避難所で共同生活をする障害者や高齢者を周囲がどのように支えるかが課題になる。日出町の育児ボランティア団体「カレイなる日出町母親クラブらんらん」は2日間かけて、町保健福祉センターで、子どもを対象に、障害者や高齢者の支援を含めた災害避難体験合宿を実施。サポート方法などを実体験した。
防災機運の高まりから、避難や避難所生活を体験する訓練は県内各地で開かれているものの、障害者や高齢者との共同生活に焦点を当てた訓練はまだ少数。町内には障害者が働く企業や入居する施設が多く、町も指針づくりを進めているという。
町内の3歳〜小学6年生の22人が参加。会場は災害時の避難所の一つで、6グループに分かれて段ボールの簡易トイレや非常口の位置把握、食事作りなどに挑戦した。
目の不自由な人や車椅子利用者、高齢者も加わり、「歩く速さを介護する人に合わせる」「進んでドアの開け閉めをする」「車椅子から離れる際は必ずブレーキをかける」などのアドバイスを受けた。多くの子どもは体験して初めて接し方に気付いた様子。始めは遠慮がちだったが終盤は自発的に声掛けするようになった。
訓練に参加した障害者、高齢者らでつくるNPO法人「あっとほぅむぷれいす」(別府市)の川野陽子さん=同市=は「いろいろな立場の人がおり、支援の内容も違うことを知ってもらえれば」という。
訓練に携わったNPO法人「レスキュー・サポート九州」(中津市)の木ノ下勝矢代表理事は「合宿を通して自分で何とかするという気持ちを養ってもらえたと思う」。
皆本万葉さん(12)=日出小6年=は「非常時には合宿で学んだことを生かして障害者や高齢者の人を支え、得た知識や技術をほかの人にも伝えたい」と話した。
※この記事は、9月24日大分合同新聞朝刊9ページに掲載されています。