戸田市新曽の市立スポーツセンターで、「第1回戸田市ウィルチェアーラグビーフェスタ」が開かれた。四肢に障害を抱える人が車いすを巧みに操り、激突しながら丸いボールを追う"闘う車いす"に、初めて体験したり見学者たちから驚きの歓声が上がった。
ウィルチェアーラグビーは障害者が車いすで競技するラグビーで、激しい接触があるのが特徴。フェスタではウィルチェアーラグビーのデモ演技や、車いすの体験乗車が行なわれた。
「それではぶつかってみましょう」と司会の三坂洋行さん(34)。戸田市に住む証券会社員で、元ロンドンパラリンピック選手だ。正面から車いすがぶつかると、ドスーンという衝撃音で車いすが数十センチも飛び上がり、見物の人から「ウォー」と驚きの声が何度も上がった。
競技用の車いすは車輪のタイヤは空気ではなく硬いゴム製、スポークの外側にプラスチック板を張っている。前にカタツムリの角のようなバンパーがついた守備用と、細かく動けるようにコンパクトにできている攻撃用の2種類がある。
さいたま市に本拠を置くチーム「AXE]の選手、峰島靖さん(35)の車いすは激突の傷跡が光る。8年前にバイクに乗車中の事故で両手足に障害を負ったという。競技の魅力について「衝突のように危ないことが許される。そんな迫力に魅せられた。向かっていく姿勢も好きです」と峰島さんは語る。
普段は荒川河川敷で普通のラグビーをしている戸田ラグビースクールのメンバー2人も参加。戸田喜沢小5年の中田優斗君は「車いすは意外に軽く動くのに驚いた」。川口芝南小6年生の阿部圭剛君は「怖くない。楽しい」と話していた。
会場ではほかに市立スポーツセンターを拠点に活躍する体操クラブや、健常者と車いすの人がペアを組んで社交ダンスを踊る「戸田ユニークダンス」「戸田車いすダンスサークル」の2団体が演技を披露した。あいさつで神保国男市長は「これを機会に障害者スポーツへの理解を広めたい」と話した。
2015年2月2日 東京新聞