第33回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)がきょうから22日まで長野市で開かれる。それぞれに職場などで培ってきた技能を競う。障害者の就労に理解を深める機会でもある。ともに関心を向けたい。
1972年から、ほぼ毎年開かれている。長野県内では初の開催になる。アビリンピックは、アビリティー(能力)とオリンピックを合わせた造語だ。
県内の23人を含め、約300人が参加する。競技は21日だ。洋裁や電子機器組立、ビルクリーニングなど23種目を行う。ITなど雇用拡大が期待される3職種のデモンストレーションもある。
より速く正確にパソコンを操作する、見栄えにも気を配りながら電子機器を組み立てる…。参加者は大会に向けて練習を重ね、腕を磨いてきた。落ち着いて実力を出し切ってほしい。目標を定めて挑む姿は、広く励みになる。
競技を通じての技能向上とともに、障害者雇用を後押しすることも狙っている。自立や社会参加を進めていくために大事な点だ。企業や働く一人一人の理解、協力が欠かせない。大会が弾みをつけるきっかけになるといい。
障害者雇用促進法は、官民それぞれに一定割合以上、障害者を雇うよう義務付けている。企業の法定雇用率は今、1・8%だ。従業員56人以上なら雇わないといけない。昨年6月時点で達成していた企業の割合は全国で45・3%にとどまる。県内は57・0%だ。働く障害者は全国的に増えているものの、まだ十分でない。
来年度は2・0%に引き上げられ、対象が従業員50人以上の企業まで広がる。障害者の就労意欲は高まっている。全国のハローワークを通じての就職者と新規求職の申し込みは昨年度、ともに過去最多だった。取り組みをさらに強めなくてはならない。
企業にすれば、職種が限られたり、バリアフリー化が必要だったりと難しい面もあるだろう。国の支援策なども生かしながら可能性を探ってほしい。
障害者が働きやすい環境づくりは一部の人のためではない。交通事故などで障害を負うことは誰にでもあり得る。個人差はあるにせよ、年齢とともに身体能力は衰えていく。一人一人が身近な問題として向き合う必要がある。
大会に合わせ、関連の催しも開かれる。就労支援機器の展示、障害のある人を雇っている企業の紹介などがある。障害者雇用に目を向ける場として生かしたい。
信濃毎日新聞-10月20日(土)
1972年から、ほぼ毎年開かれている。長野県内では初の開催になる。アビリンピックは、アビリティー(能力)とオリンピックを合わせた造語だ。
県内の23人を含め、約300人が参加する。競技は21日だ。洋裁や電子機器組立、ビルクリーニングなど23種目を行う。ITなど雇用拡大が期待される3職種のデモンストレーションもある。
より速く正確にパソコンを操作する、見栄えにも気を配りながら電子機器を組み立てる…。参加者は大会に向けて練習を重ね、腕を磨いてきた。落ち着いて実力を出し切ってほしい。目標を定めて挑む姿は、広く励みになる。
競技を通じての技能向上とともに、障害者雇用を後押しすることも狙っている。自立や社会参加を進めていくために大事な点だ。企業や働く一人一人の理解、協力が欠かせない。大会が弾みをつけるきっかけになるといい。
障害者雇用促進法は、官民それぞれに一定割合以上、障害者を雇うよう義務付けている。企業の法定雇用率は今、1・8%だ。従業員56人以上なら雇わないといけない。昨年6月時点で達成していた企業の割合は全国で45・3%にとどまる。県内は57・0%だ。働く障害者は全国的に増えているものの、まだ十分でない。
来年度は2・0%に引き上げられ、対象が従業員50人以上の企業まで広がる。障害者の就労意欲は高まっている。全国のハローワークを通じての就職者と新規求職の申し込みは昨年度、ともに過去最多だった。取り組みをさらに強めなくてはならない。
企業にすれば、職種が限られたり、バリアフリー化が必要だったりと難しい面もあるだろう。国の支援策なども生かしながら可能性を探ってほしい。
障害者が働きやすい環境づくりは一部の人のためではない。交通事故などで障害を負うことは誰にでもあり得る。個人差はあるにせよ、年齢とともに身体能力は衰えていく。一人一人が身近な問題として向き合う必要がある。
大会に合わせ、関連の催しも開かれる。就労支援機器の展示、障害のある人を雇っている企業の紹介などがある。障害者雇用に目を向ける場として生かしたい。
信濃毎日新聞-10月20日(土)