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新鮮野菜作り障害者の自立促す 「岐阜なめきファーム」


 ダイコンを抜くと、笑みが広がった。「外で作業するのは気持ちがいい」。岐阜市次木(なめき)の「岐阜なめきファーム」。障害者を雇用し、野菜を栽培する。地元の日比野誠二さん(43)が一年八カ月前、知的障害のある三男(10)の将来を思い、「居場所をつくりたい」と会社を辞めて開業した。


 「おはようございます」。ネギやホウレンソウが育つ畑に声が響く。あいさつを交わしながら、ダイコンを抜き、一輪車に積んでいく。


 「切り干しダイコン用です」と男性(42)。内装の仕事を辞め、一年三カ月前から働く。「季節に応じて野菜が育っていくのがうれしい」


 働くのは、十八〜五十代の知的、精神、身体障害者十六人。日比野さんと妻、その両親ら五人が支える。


 畑は日比野家が所有する約二千平方メートル。タマネギ、ブロッコリー、ニンジンなど年間で約二十種を栽培。ビニールハウスではシイタケやクレソンを育てる。近くのコンビニやJAぎふの直売所などに毎朝届ける。


 開業は二〇一一年四月。その二年前に日比野さんの三男が小学校の養護学級に入学した。「高校までは居場所がある。でも、その後は…」


 保護者たちと、障害者が働く授産所や工場を見学する。山県市の農業法人に行くと、畑で働く障害者の笑顔がまぶしかった。


 「定年後に畑仕事を一緒にやろうかなと思っていた。が、居場所をつくりたいと考えるようになった」


 ガス会社を退社、ファーム開業の準備を進める。障害者を雇用できる就労継続支援施設の認可も受けた。


 家族ら五人と雇用した障害者二人でスタート。近くの喫茶店で野菜を販売すると、口コミで販路は広がっていった。「食べていただければ新鮮さが分かってもらえると思う」。作業の安全も考え、低農薬に抑えている。


 課題は給料。「自立できるほど払えないので、一般就労を考え、あいさつや言葉遣いは厳しく指導している」。これまで三人が一般企業に就職した。


 今、パンやだんごなど加工品を販売する店をオープンする夢を描く。耕されていない周囲の畑へと規模を広げる希望もある。狙いは雇用条件の改善だ。日比野さんは言う。


 「障害者の就労の場は限られている。ゆくゆくは自立できる場にして、障害者のイメージを少しでも変えていきたい」

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ダイコンを収穫する「岐阜なめきファーム」のスタッフたち=岐阜市次木で

中日新聞-2012年12月28日

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